車は単なる移動の道具ではなく、大切な人たちとの時間や自分の可能性を広げ、人生をより豊かにしてくれるもの。車の数だけ、車を囲むオーナーのドラマも存在する。この連載では、そんなオーナーたちが過ごす愛車との時間をご紹介。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?

▲ともに90年代のスポーツカーを所有する、小柳偉さんと柳田早穂さんのカップル ▲ともに90年代のスポーツカーを所有する小柳偉さんと柳田早穂さんのカップル

2人揃って父親譲りの車好き

三菱 ランサーエボリューションVとマツダ RX-7(FD型)に乗るカップル。

若い2人が90年代のスポーツカー(もちろん2台ともMT車!)に乗っているのには、父親の影響という共通の背景がある。

父親が若い頃に乗っていたのが、三菱 GTOだったというランエボオーナーの小柳さん。

それに憧れ、免許取得後に自分も乗りたいと思っていたが、「お前にはまだ無理」と言われた。

「ランエボも反対されそうだったけど、母を味方につけてモノにしました」(小柳さん)
 

▲ワイドなボディと大きなフォグランプがお気に入りのポイント ▲ワイドなボディと大きなフォグランプがお気に入りのポイント
▲自分が最後のオーナーのつもりで大切に乗るという小柳さん。毎週、休日のドライブを楽しみにしている ▲自分が最後のオーナーのつもりで大切に乗るという小柳さん。毎週、休日のドライブを楽しみにしている

柳田さんも同じく父親の影響でRX-7を購入した。

「私の家には『頭文字D』の単行本が揃っていて、小学生の時点で車を買うならFDだって決めていました」

漫画の持ち主の父親は、柳田さんが生まれる直前までFC型に乗っていたそうだ。

DNA、恐るべし!
 

▲「エンジンの状態がとてもいい」と父親も太鼓判だそうだ ▲「エンジンの状態がとてもいい」と父親も太鼓判だそうだ
▲購入後に付けたというオリジナルのエンブレム。RX-7愛を感じる ▲購入後に付けたというオリジナルのエンブレム。RX-7愛を感じる

ドライブデートはそれぞれの車で

専門学校時代の同級生だという2人。

ずっと友達の関係だったが、昨年の夏前に付き合い始めた。

小柳さんは彼女が車好きなのは知っていたそうだが、スポーツカーに憧れているとは思わなかったそうだ。

「まさかFDを買うまでとは。驚きでした」(小柳さん)

ともに実家暮らしで距離も離れているため、会うときはどちらかが迎えに行くか、2台で待ち合わせをする。

群馬県にある上毛三山のひとつ榛名山に2台で行ったこともあったそうだが、「峠を攻めるというより、湖が見たくて出かけました」と柳田さん。

2人とも走るのは好きだけど、車がすべてではないというのが今っぽい。

「私は無駄使いしませんけど、彼は服とかアクセサリーを買いすぎ!」と不満気な柳田さんにクロムハーツやサンローランに散財するという小柳さんは、思わず苦笑い。

それでも気が合うのは、車を通じて同じ時間を過ごしているからなのだろう。

どんなクルマと、どんな時間を?

90年代を代表する2車種の人気はいまだ衰えず

【ランサーエボリューションV】

ランサーエボリューション初の3ナンバーとなった通称『エボⅤ』はそのワイドなボディが特徴的だ。これは当時のWRCに参戦するライバルに対抗するための改良であった。先代に装着されていた大型のリアスポイラーはエボⅤにも継承され、このモデルのひとつの特徴でもある。

【RX-7】

2002年の販売終了から15年以上たった今も、だ多くのファンを魅了するスポーツカー。軽量な車体と高い出力をもつロータリーエンジンとの組み合わせで、スポーティな走りを楽しむことができる。中古車相場では、新車販売価格を超える物件もあるほどの人気を誇っている。
 

▲武骨なボディと4WDのランサーエボリューションVは、まさに『男』を感じさせる ▲武骨なボディと4WDのランサーエボリューションVは、まさに『男』を感じさせる
▲走りの車から女性が降りてくると思わずそのギャップに驚いてしまう。しかし、丸みを帯びた流麗なデザインはどこか女性的でもあり、柳田さんにとても似合っている ▲走りの車から女性が降りてくると思わずそのギャップに驚いてしまう。しかし、丸みを帯びた流麗なデザインはどこか女性的でもあり、柳田さんにとても似合っている
▲自分の車はもちろん、互いの車も大好きです。「今度はどこに行こうか~?」(笑) ▲自分の車はもちろん、互いの車も大好きです。「今度はどこに行こうか~?」(笑)
text/櫻井 香
photo/阿部昌也