BMWエンブレム▲自動車・カーライフに関する調査研究機関「リクルート自動車総研」の膨大な統計データを基に、ユーザーの購買行動や世の傾向を勝手に予想したり解説したりするコラム。今回は車が再びステータスシンボルになるのか? ということについて

「車はステータスを表す」そう思う人が増加中

最近、「ステータスシンボル」という言葉を目や耳にしたり、もしくは自身で使ったことがあるだろうか。今から30年ほど前のバブル期に蔓延したこの言葉も、当時に比べ出合う機会が減ったような気がする。

もちろん、豪邸や別荘、高級な時計や車、選ばれた人しか手にできないバッグやアクセサリーなど、社会的に高い地位(=お金持ち)の象徴たりうるアイテムは今でも健在だ。

ただ、それらを形容する言葉として、バブル崩壊後の長引く不況の中で様々な価値観が生まれ、ライフスタイルの多様化が進んでいく間に、ステータスシンボルが時代的にも感覚的にもフィットしなかったのかもしれない。

だが、このままこの言葉がおとなしく死語リストに仲間入りするかと思えば、どうやらそうでもないらしい。

下のグラフ①をご覧いただこう。「車は乗る人のステータスや社会的地位を表す」と思う人が、2016年以降、徐々に増えている。

上記問いに「そう思う+まあそう思う」と回答した人の割合を世代別に見ても、年を追うごとにおおむね増加しているのがわかる(グラフ②)。
 

リクルート自動車総研グラフ ※2015年~2018年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より
リクルート自動車総研グラフ ※2015年~2018年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より

この結果がどんな社会的背景を反映しているのかは不明だ。だが、どの世代でも車に何らかのステータス性を感じる人が増えているのは間違いない。

では、この傾向が高進し再びステータスシンボルとしての車の存在感が高まるとしたら、どんなモデルに注目が集まるのだろうか。

まずは語義どおり、社会的地位の高さ=お金持ち度を象徴するような高額車の需要が高まるはずだ。

だが、例えばミニバンではトヨタのアルファードやヴェルファイア、SUVではメルセデス・ベンツ Gクラスやポルシェ カイエンなどの人気ぶりを見るに、すでにこの傾向は顕在化している。

したがって、この先は単なる金額の多寡では測れないステータス性にシフトしていく可能性もある。

例えば、支払い能力ではなくブランド力や波及効果の高い人にしか提供されないような限定モデル等々。

一方で、バブル期にステータスシンボルとして一時もてはやされた輸入セダンなどは、あっという間にそのステータス性が消費され陳腐化してしまった例もある。

追えば追うほど逃げていく。ステータスシンボルにはかげろうのような一面もあるのだ。

そういった意味では、ステータスを測る車ヒエラルキーからはみ出した格付け不可能なオンリーワンのモデルに、逆張り的な注目が集まる可能性も出てくる。

そうなると、古今東西のユニークな車が多数見つかる中古車の注目度ががぜんアップするに違いない。
 

車のヒエラルキーからはみ出した格付け不可能車3選

1:トヨタ クラウンエステート(初代)

トヨタ クラウンエステート ▲1999年12月~2007年5月に生産されたステーションワゴン。ちょい古モデルかつ流通量も少なく、今どき存在しないクラウンベースのワゴンとあって、はみ出し度はピカイチ!
 

2:マツダ RX-7(FD型)

マツダ RX-7 ▲ロータリーターボエンジンを搭載する孤高のスポーツカー。世界的にカルトな人気を博し中古車相場はうなぎ上り。ノーマルかつ状態の良い物件はお宝級の価値あり!
 

3:BMW i3(現行型)

BMW i3 ▲大衆的な小型車カテゴリーながら、作り込みのクオリティが高く、ノーブルな品の良さがにじみ出る希有なモデル。エンジンを発電用に使うレンジエクステンダーモデルならなおさら◎
 
文/編集部、写真/トヨタ、マツダ、BMW