奥さまは大排気量マシンがお好き!? 癒し系なのに「AMGじゃないと……」その男気に惚れた! ~クルマ “女子” き:Vol.3~
2019/02/24
【連載:クルマ“女子”き(くるまずき)】自動車に移動手段以上の価値を見いだし、時間もお金も費やする、いわゆる「車好き」はほとんどが男性である。ゆえに大変貴重な「女性の車好き」、しかも男性顔負け(?)の偏愛ぶりを見せる女性を取材する企画。カーセンサーは車好き女子を、応援しています!
えっ、ダンナさまの車ではない……!?
「人を見た目で判断してはいけない」というのはよく言われることだが、それでも我々はしばしばそれをやらかす。人間はどうしたって「見た目」「第一印象」に引きずられがちだ。
そしてこちら、いかにもスズキ ラパンあたりが似合いそうな宇津見 成美さんに対しても、その見た目と雰囲気だけで先入観を抱いてしまったら、人は痛い目にあうかもしれない。
彼女の愛車は黄色のラパンではなく、黒のAMG。ややローダウンさせてBBSの大径ホイールを履いた、2012年式のAMG Cクラスクーペ パフォーマンスパッケージだ。
――大変失礼な言い方かもしれませんが、成美さんって雰囲気的にはスズキ ラパンとかが似合いそうな女性だと思います。それがなぜ、黒の極悪系AMGなんですか? しかも30ps増しのパフォーマンスパッケージですし
成美さん:えーっ! ぜんぜん極悪じゃないと思いますけど(笑)、この「ムダな感じ」が好きなんですよ。ハイブリッドとか興味ないですし、今のベンツもターボエンジンになっちゃって正直どうかなって思うし。やっぱり車は大排気量NAがサイコーでしょう!
――まさかこんなに可愛らしい女性の口からNA(Natural Aspiration=自然吸気)って単語が出てくるとは思いもしませんでしたが、この車を買ったそもそものいきさつを教えてください
成美さん:免許を取ったときは車に興味なかったんです。で、そうこうするうちに今のダンナと付き合い始めまして、なぜかメルセデスのディーラーに遊びに行くようになったんですね。
ダンナさん:補足しますと、わたしの伯父がメルセデス好きでして、学生だったわたしをベンツのディーラーに「おい、行くぞ!」みたいな感じでよく連れていってくれたんです。
成美さん:そしてなぜかわたしも一緒に行くようになったんですが、ディーラーの人がわたしたち2人を妙に可愛がってくれたんですね。買いもしないというか、ベンツなんて絶対に買えない若者2人だったんですが、なぜかベンツのディーラーさんに気に入られ、入り浸るようになって(笑)。
で、そうこうするうちに数年後、そのディーラーで勧められた旧型Cクラスワゴンを買うことになったんです。もちろん、前期型の安~い中古車ですよ。
――なるほど、それがメルセデスとの出会いなわけですね。でもフツーの中古CクラスワゴンからC63 AMGクーペ、しかもパフォーマンスパッケージというのはかなり「距離」があると思うのですが、そのあたりのいきさつは?
成美さん:C200ワゴンには2年ぐらい乗ったんですが、最終的に大好きにはなれず手放したんです。や、もちろんベンツという車の素晴らしさはよくわかりましたよ。大きさのわりにものすごく小回りが利くし、高速安定性みたいなものも超絶ですし。でも……。
――でも?
成美さん:C200だとぶっちゃけ遅いですし、「AMGスタイリングパッケージ」も付いてない個体でしたから、カタチも丸っこくて「好きじゃないな……」と。
――そんな感性をお持ちの女性に「ラパンが似合いそう」とか言って本当に失礼しました。それはさておき、その後は?
成美さん:いろいろ紆余曲折があって15年式のE250クーペを買ったんですが、ある三連休のとき、用事があってダンナがひとりで某所まで出かけたんですね。そしてその帰り道に中古車屋さんでこのC63 AMGクーペを見つけて、教えてくれたんです。「キミが好きそうなのがあったよ。見てみれば?」って。
――なるほど。で、見てみたわけですね?
成美さん:はい、翌日そのお店に行きました。そして即決しました(笑)。
――男前! 女性ですけど! ……決め手は何だったんでしょう?
成美さん:音……ですね。店頭でエンジンをかけて、あのバオーッ! っていう、勇ましいんだけど、決して下品ではない音を聴いた瞬間に「あ、買うわ」って思いました。あと細かいところですが、「ボディが黒で内装も黒!」「走行0.9万kmの低走行車!」ってとこにも背中を押されましたね。
――わかる気はします! でも現実的でショボい話をしてしまい恐縮ですが、C63 AMGのパフォーマンスパッケージって排気量6.2Lの最高出力487psですから、燃費はハッキリいって悪いですし、自動車税も最高額ですよね? そのあたりはぶっちゃけどうなんですか?
成美さん:税金は大変ですし、もちろん車両自体も、中古車とはいえわたしたち夫婦にとっては決して安い買い物じゃありませんでした。でも「無理してでも買おう!」って思っちゃったんですよねぇ。
――それは何ゆえ?
成美さん:いい車、自分が好きな車って、とっても満たされるじゃないですか? 心が。
軽自動車とかのことを悪く言うつもりはぜんぜんありませんが、あれは「目的地まで乗っていくためもの」ですよね? でもいい車、自分が好きな車って、別に目的地なんかなくても運転してて楽しいんです。ワクワクするんです。
そういったものを……自分の人生のそばに置いておくためなら、そのための出費は行ってしかるべきなのかなぁ、なんて思うんですよね。
――うむう、確かにそうかもしれません。ちなみに出費といえば、このAMGのお金を出してるのは誰で、名義的にはどちら名義なんですか?
ダンナさん:お金は「夫婦ふたり」として一括で払いましたが、名義は妻です。運転も、たまには僕もやりますが、基本的には妻が運転してます。だからコレは「彼女の車」ですよ。僕のじゃありません。
もちろん成美さんも女性ならではのファッション等に興味がないわけではないというが、「でも結局は車の運転最優先で選んじゃうんですよねぇ」と笑う。
運転に不向きなヒールが高い靴や、背中に何か可愛らしい突起物が付いているようなニットも「長時間運転するときに背中が痛くなって気が散る!」ということで、最近は買わなくなったそうだ。
世の男性諸君よ。今後は街で黒いAMGなどを運転している可愛らしい女性を見かけても、「どうせダンナか彼氏の車だろ」などと早合点しないようにしていただきたい。
その女性ドライバーが成美さんのような類の人ではないと、いったい誰に断言できるだろうか?
人は、パッと見だけではわからないものなのだ。
【関連リンク】
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
- 植田圭輔さんが、真っ赤なポルシェで緑の中を駆け抜ける!
- 9年連続エンジン・オブ・ザ・イヤー2.0~2.5L部門賞を受賞した「2.5L直列5気筒TFSIエンジン」搭載の狙い目モデル3選
- 手にするものはすべてがアート。自然を愛するアーティストは世界で1台だけのメルセデス・ベンツ Gクラスに乗る
- アルピナ B8 4.6リムジン。それはある意味「永遠の命」をもつ希少名車だった。【NEXT EDGE CAR】
- おでかけは、あえて2台で。家族のようなランドローバー ディフェンダー90とルノー カングー
- 「燃費」から「愛着」へ。エコ視点で選んだのは、中古のボルボ XC60だった
- 閑静な住宅街に潜む、跳ね馬と闘牛がいるガレージ【EDGE HOUSE】
- 【名車への道】’14 BMW i8
- アルピナマジック!~大人の車好きがたどり着く、ひとつの極致~【カーセンサーEDGE7月号】
- 本場ドイツの名門レース「DTM」が、再び注目を集めるワケ!【EDGE MOTORSPORTS】