▲ルノー21ターボ。見た目は控え目でも暴れん坊なんです ▲ルノー21ターボ。見た目は控え目でも暴れん坊なんです

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2014年7月15日に発見したのは「ルノー21(フランス語読みで“ヴァンテアン”)ターボ」です。21は1986年に登場したミドルクラスサルーンで、ターボはその翌年に最もスポーティなグレードとして投入されました。

最近の車では味わうことのできないターボパワー

2L 4気筒エンジンにギャレット・エアリサーチ製ターボチャージャーを備え、最高出力は175ps、最大出力は27.5kg-m。車両重量はたった1190kgしかありません。

スペックを聞いてもスポーティさにピンとこないかもしれませんが、日本で配布されたカタログでは“フレンチロケット”と謳われていたほどで、その表現は伊達ではありませんでした。

0→100km/h加速は7.4~7.8秒(触媒の有無で変わる)でしたが、数値以上の体感加速があったんです。最近の高性能セダンにとっては普通の数値ですが、当時のBMW M3でさえ6秒台後半ですから、21はなかなかの動力性能だったと言えます。

いわゆるひとつの“どっかんターボ”というやつで、3000rpmほどから過給が始まり4000rpmほどからレッドゾーンの6000rpmまでギュワーンと異次元の加速を披露してくれます。M・ベンツ190E2.3 16VやBMW M3もビックリです。

ターボチャージャーの制御が今ほど“上手”ではなかったか、むしろターボモデルはかくあるべきだったのか……。いずれにせよ、最近の車では味わえない個性派であることは間違いありません(笑)。

また、よくよく見ると平面をつなぎ合わせたようなエクステリアデザインも今となっては斬新。フロントマスクは、アウディクワトロを意識しているような、あるいはちょっと前のトヨタ カムリは21にインスパイアされたような雰囲気です。

▲まるでペーパークラフトで作られたかのような“折り目”たっぷりの直線基調なエクステリアデザイン。今となっては斬新です ▲まるでペーパークラフトで作られたかのような“折り目”たっぷりの直線基調なエクステリアデザイン。今となっては斬新です

当該中古車は、前オーナーがちょこちょこ手を入れているようです。装着するのが大変だったであろうストラットタワーバー、ドリルドディスクブレーキ、ターボタイマーなど、走りにこだわっていたことが感じられるパーツがチラホラ見受けられます。

▲前期モデルはエアコンスイッチ類が段々畑のように配されていましたが、後期型のエアコンスイッチ類は“普通”になりました ▲前期モデルはエアコンスイッチ類が段々畑のように配されていましたが、後期型のエアコンスイッチ類は“普通”になりました

14年前の車ですが、走行距離はたった5万8000km。内装のヤレ具合も年式相応です。

エアロパーツに身をまとってはいますが、基本は21に過ぎません。国産車で例えるなら、トヨタ マークIIみたいなものです。そして21ターボは外観の割にハイパフォーマンス、という“羊の皮を被った狼”です。この手の車が好きなら、ぜひチェックしてみてください。いかんせん、めったに流通しませんから……。

■本体価格(税込):99.0万円 ■支払総額(税込):---万円
■走行距離:5.8万km ■年式:1990(H2)
■車検:無 ■整備:付 ■保証:無
■地域:埼玉

text/古賀貴司(自動車王国)