サーキットは車好きが集まる大人の社交場!? しかも敷居は想像よりも低かった!
カテゴリー: カーライフ
タグ: サーキット / スカイラインGT-R / 中野剛
2020/04/30
あの頃のサーキットは、本格的なレースが主体だった
1970年に開設された筑波サーキットは、プロドライバーによる公式レースのみならず、一般向けの走行会や各種イベントも行われている人気サーキットだ。
レースなどイベント開催日以外は、講習を受けライセンスを取得した筑波モータースポーツメンバー(以下、会員)向けの、スポーツ走行やファミリー走行にも開放されている。
こうした会員向け走行枠は人気が高く、土曜や日曜の枠は先々まで予約が埋まっているほど盛況だそうだ。
そんな関東を代表する筑波サーキットの職員として、長年スポーツカーのある景色を見続けてきた業務部 コース管理課の三ツ森義男さんに、人気のスポーツカーの移り変わりやサーキットで走ることの魅力について伺った。
三ツ森さんが筑波サーキットに出入りするようになったのは1975年頃のこと。
「近所に住んでいたものですから、高校を卒業してすぐこちらでアルバイトを始めて、その3年後、1978年に就職しました」
当時は、富士スピードウェイで始まった通称“グラチャン”こと『富士300kmレース』を筆頭に、市販車の改造車によるレースが各地のサーキットで行われ、若者を中心にスポーツカー(風の改造車)が人気を博していた時代だ。
「その頃、筑波サーキットにもオーバーフェンダーを付けてスリックタイヤを履いたトヨタ セリカ(初代、通称ダルマセリカ)やマツダ カペラ(2代目)、マツダ サバンナ(初代)が走っていました。私もサバンナRX GTに乗っていました。サーキットのライセンスは持っていませんでしたが、アルバイトをしていたので、ときどき走らせてもらえたんです」
愛車だけではなく、折からのスーパーカーブームも重なって、いろいろな車に乗れたことがうれしかったと、三ツ森さんは懐かしそうに当時を振り返る。
「70年代前半は筑波サーキットでも四輪のレースが盛んでした。しかし後半から下火になって、二輪のレースが主体になりました。それが再び逆転したのが80年代後半、グループA(全日本ツーリングカー選手権)が始まったあたりです」
その勢いを追い風に、日産 スカイラインGT-R(R32)が1989年に登場するや、一般の人たちもサーキットに走りにくるようになったそうだ。
「R32が出たことで、チューニングショップがすごく増えたんです。それで、ショップ主催の貸切走行会が頻繁に行われるようになりました。それから、峠を走る人も増えていて、そんな中、ドリフトキングの土屋圭市さんが雑誌などの取材で筑波サーキットを使ってくださったことで、古いハチロク(トヨタ カローラトレノ/レビン)はじめ、ホンダ シビックタイプRとか、1600ccクラスの軽い車も筑波サーキットには増えてきました。みなさん、チューニングをされていましたね」
時代とともに変わっていくサーキットの楽しみ方
チューニングやドリフトの流行によって、それまで本格的なレースが主体だったサーキットの敷居は、一段下がる形となった。だが当時の筑波サーキットでは、チューニングカーが主体だった。
「バブルが弾けた後、大きなレースは減りました。そしてGT-Rのようなターボ車も、だんだん年式が古くなって維持が大変になってくる。一方で、1600~2000ccクラスの軽い車両を扱うチューニングショップは残っていて、ホンダのシビックやインテグラなど、ノンターボ車が主流になっていきます。それとマツダ ロードスター。まだ初代も走っていますし、今でも筑波サーキットの会員走行では一番多いです」
これらに加え、最近では輸入車ユーザーも増えてきているそうだ。
「中でもロータス エキシージは多いです。ショップが貸切のサーキット走行会やプロドライバーを呼んでのドライビングレッスンなどを企画し、お客さんたちも熱心に参加しているようです」
時代の移り変わりとともに、筑波サーキットの会員走行や貸切走行に参加する車両も変わったというのは、実に興味深い話だ。
だが変化はそれだけではない、と三ツ森さんは言う。
「楽しみ方も、昔と今では随分変わったように思います。チューニングカーが流行っていた頃は、誰がどのパーツを付けているかが大きな関心事でした。だから速い人が付けているパーツを、みんなが真似をしていた。でも今は自分は自分という感じ。チューニングする人もいれば、ブレーキパッドを替えるだけで十分という人もいます。そこがはっきり分かれてきました」
さらに年齢層も様変わりしたそうだ。
「60歳を過ぎた方もいらっしゃいます。子供の独立をきっかけにBMWとかポルシェとか、憧れていた車を手に入れて走りに来る人が増えました。そしてピットで一緒になった若い人たちとボンネットを開けて話し込んだり、走行の後に一緒に食事にいったり、予定を合わせて次の走行枠を予約したり、年齢に関係なくみなさん楽しく付き合っているようです」
ご存じのとおり、サーキットのコース内には、速度制限も交差点もなく、歩行者もいない。
いわば車やバイクを思い切り走らせるための専用施設である。
それゆえに、車好きやバイク好きしか来ないサーキットは、年齢も性別も超え、同好の士が集う大人の社交場という一面ももっているのだろう。
自分の車で筑波サーキットを走るには、会員になって走行枠を走るか、ショップやイベント会社主催の走行会に参加するなど、いくつか方法はある。
その中でも最もハードルが低いのが、先導車に付いて比較的スローなペースで走る体験走行だ。
ライセンスはもちろん、ヘルメットやグローブなどのレーシングギアが必要ないため気軽に体験できる。
スポーツカーを手に入れたら、まずは体験走行に参加して“大人の社交場”デビューを果たしてみてはいかがだろうか。
体験走行やサーキットの会員制度などは、筑波サーキットの公式ホームページに開催日程などが出ているので、詳細はそちらを参照してほしい。
取材先紹介
筑波サーキット
一周2000mのメインコースの他、1000mのショートコース、ジムカーナー場などを有する。
常磐道「谷和原IC」または、圏央道「坂東IC」「常総IC」からのアクセスが便利。
住所:茨城県下妻市村岡乙159
TEL:0296-44-3146
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