クラシックカーは家族? 愛すべき1台の失敗しない選び方|Carsensor IN MY LIFE

心に留めたい、クラッシクカー購入4ヵ条

クラシックカーはクルマ界のアンティーク。現代のクルマにはない味わいがあり、多くの人をグッと惹きつける。空調の効いた車庫に並べるコレクターや自分の生まれ年に製造されたクルマを日常使いするドライバーもいる。ただ、いずれの場合も、オーナーは家族同様に愛情を注ぐことがもっぱらだ。

そんな魅力あふれるクラシックカー、高価なイメージが付きまとうが本気になれば意外に手が届く。しかし手に入れることはゴールではなく、あくまでスタートだ。何事も初めが肝心。最高のスタートを切るための条件がコレだ。

スズキ ジムニー

買いたいときに買うな! 大本命を待つべし

買いたくなったとき、欲しくなったとき、クラシックカーに手を出してはいけない。「え? いつ買うの!?」という反応はごもっともだが、恋は盲目とも言う。

熱くなっているときは、どうしても多少の欠点から目を背けてしまうもの。狙っていたグレードやエンジンでなくても譲歩してしまうこともある。手に入れにくい存在だけに、後々後悔しないよう、買いたいときに買わない。「これぞ!」という大本命との出会いを待つのが吉。

スバル サンバー

ちょっと待って! 購入費<維持費の常識

「コレが500万円!? やった。手が届く!」と歓喜する瞬間がある。超掘り出しもの、発見オメデトウ……と言いたいところだが、キャッシュだろうとローンだろうと、購入費用だけを予算としてクラシックカーを買うのはNG。

仮に予算が500万円なら、車両購入費に250万円、トラブル対処費やメンテナンス費に250万円を温存した方が良い。それくらいがクラシックカーにおける、幸せの比率。せっかく手に入れたのに維持できないという結末は避けたい。

スズキ ハスラー

主治医はいるか? 生活圏の近くにあるか?

クラシックカーのメカニズムは、大半が単純。町の自動車工場で修理できることも珍しくないが、そのクラシックカー特有のトラブルに精通していたり、パーツの供給ルートを持っていたりする専門店は本当に心強い。

購入店が遠くても「クルマの主治医」ともいえる専門店が近くにあれば比較的、安心できる。ただ、そういった主治医の中には、クルマの状態を極上に整えることを使命と考える人もいる。メンテナンスで極上コースを勧められても、自分の実情に合わせよう。

ダイハツ コペン

まさかの展開! 家族もメロメロに

家族に「クラシックカーを買おうと思う……」とカミングアウトしたとしよう。十中八九、親であろうと配偶者であろうと、猛反対されるだろう。そこで細かく相談しないというのも、ひとつの手。もちろん、これは荒技だ。

しかし、こんなクラシックカーオーナーの実話がある。「妻も買う前は反対していました。けど、今や家族のアイドルです。どこに行くにもコイツですよ(笑)」。抵抗勢力もいつのまにか味方に。そんな愛きょうもクラシックカーならではだ。

クラシックカー探しは自分探しの旅でもある

子どもの頃に憧れた、あのクルマ。ファッション誌で発見した、あのクルマ。映画の中でカッ飛んでいた、あのクルマ……。クラシックカーとの出会いは、予期せぬ瞬間にやってくる。あなたの、運命の1台はどれだ!?

スズキ ジムニー

シトロエン 2CV

稀代のクリエイターさえも虜にする

イギリスのミニ、ドイツのタイプI(愛称:ビートル)に並ぶ、もはや地球を代表するクルマがシトロエン 2CV(ドゥシヴォ)だ。ジブリの宮崎駿監督の愛車だったことでも知られ、その個人事務所の名前が「二馬力」なのは2CV(二馬力の意味)に由来する。初監督作品『ルパン三世 カリオストロの城』ではイタリアのフィアット500が印象的だが、ヒロインがウエディングドレスのまま逃走するのに駆っているのが2CVだった。エンジンは空冷対向2気筒で非力だが、軽いボディを生かして軽快に走るのが粋だ。

初代:1949~1990年
車両価格帯:88万円~応談

フォルクスワーゲン タイプII

フォルクスワーゲン タイプII

逆転の発想が生んだマルチパーパスカー

逆転の発想が、成功例を創る。ワーゲンバスの愛称で知られるタイプIIが、まさしくそれ。タイプIを前後逆にしてエンジンの上に運転席があるキャブオーバー型にリメイクしたのものをベースに開発されたのがタイプIIだ。これが時を超えて大ヒット。今でも世界中に熱い支持者を抱え、最近ではフォルクスワーゲンがリメイク版のリリースを発表した。ただし、こちらは時代の波に合わせたEV。EVもいいが、やっぱり一度は座席の下から野太いエンジン音を体感したい!

初代:1950~1979年
車両価格帯:248万円~応談

フォード ブロンコ

フォード ブロンコ

オフロードを走破する永遠のアイドル

商業的に大成功を収めたわけではないが、ブロンコはアメリカンSUVのヒストリックなモデルとして熱い支持を集めている。箱と箱を組み合わせたかのようなボディ構成に、丸いヘッドライト。今見ると、シンプルを突き詰めたスタイリッシュなデザインだ。「クルマの原点」とでも評すことができる、普遍的な存在感がある。そのうえ、コンパクトで、対地形におけるクリアランスが大きく、オフロード走行性能も◎。ルックスとパフォーマンスを兼ね備えたクラシックカーだ。

初代:1966~1977年
車両価格帯:278万円~応談

フィアット 124スパイダー

フィアット 124スパイダー

エレガンスがモビリティの進化を超える!

小型ファミリーカーをベースにライトウエイトオープン2シーターを作る。そのお手本のひとつが、初代124スパイダーだ。ビートルやミニ、500やジュリアなど名クラシックカーのリバイバルが続くが、124スパイダーもマツダ ロードスターの兄弟車として復刻した。その魅力は、やはりルックス。デザイン工房であるピニンファリーナによる繊細な出で立ちだ。しかしながら、大衆車ベースだから堅牢で、荷室も実用的な広さがある。普段使いすれば、日常生活が優雅になるだろう。

初代:1967年~1985年
車両価格帯:198万~216万円

運命的なクラシックカーはまだまだある

心に響く姿や性能、ストーリー性を備えるクラシックカー。姿を眺めるだけで、いつのまにか童心に立ち返ってしまう……。希少性や相場の上昇を見越した投資の対象ではなく、思い出や感動がヒストリックカー選びの原動力。自動運転やEVの時代を迎えようとしている今こそ、クラシックカー入手のラストチャンス!?

▼検索条件

シトロエン 2CV(初代)&フォルクスワーゲン タイプII(初代)&フォード ブロンコ(初代)&フィアット 124スパイダー(初代)&モーリス ミニ(初代)&フォード マスタング(初代)&マツダ コスモスポーツ(初代)
文/ブンタ イラスト/遠藤イズル 写真/フォルクスワーゲン、フォード、マツダ、岡村昌宏、カーセンサー編集部