高輪自動車▲東京都港区という一等地に店舗を構える高輪自動車。高級輸入車が並ぶ綺麗なショールームが似合いそうな場所に、奇妙な車が並べられている。目の肥えた(?)自動車好きや全国のマニアたちから熱い視線を集め続ける

誰が買うのか想像もできない、奇妙な中古車が気になってしかたがない!

カーセンサーEDGE.netで物件を眺めていて「この車はいったい?」「価値あるの?」「誰が買うの?」と思わずにはいられない、超個性的なモデルを見つけたことがある人は少なくないはずだ。

そもそもどんな人が買うのだろうか? というか、売れるのだろうか?

この企画ではそんなレア車を扱うお店、そして実際に買ったユーザーを探して、奇妙な車たちがどんな運命をたどってオーナーの手元に届くのかをお伝えしていきたいと思う。
 

小沢コージ、遂に謎深き激レア変態車オーナー探しを開始します!

昭和の政治・経済・芸能・スポーツを混乱におとしめた元祖写真週刊誌『フォーカス』は、当時の名物編集者、斎藤十一のゴシップネタの極致とも言うべき衝撃的な提案から始まったといわれています。未確認だけど。

そう言われて小沢はふと膝を打ちました。そういや車にもそんなのあったっけと。

「いったい誰が乗るんだこの車?」「君たち、この車買うやつの顔見たくない?」みたいなやつが。

ネタ元は馴染みの大都会の車バカトライアングルこと『高輪自動車』です。天性の車バカ社長、小林しゃちょー率いる摩訶不思議な白金のレア物カーショップで、そこは「いったい、誰が乗るんだこの車?」だらけ。

先日行ったときにも、なぜか整形直前&直後のトヨタ iQが3台が置いてあっただけでなく、ハイパフォーマンス系ポルシェ 911の前には、昭和のベンツ 560SELやら、ダイハツ レックススーパーチャージャーやら、走行距離不明の昭和の初代レンジローバーやら、三菱 スタリオンGSR-Xターボデジタルメーターが鎮座。

年式5年落ち&走行距離5万km前後で、見た目品質良しのベンツ・BMW・ポルシェというどう考えてもみなが適度に欲しがる「絶対手軽に金になるドイツ御三家」、ではなく「面倒くさそうだけど面白そうな中古車」ばかりが並んでいるのだ。


高輪自動車▲珍車を揃える高輪自動車の小林代表(左)と小沢氏。本人には変態車好きの自覚が少ないようだが、変わった車を並べて全国の変わり者を呼び集めている。小林社長のモットーは「どんな車も日本には3人は欲しい人がいる」。なるほど名言だ……
三菱 デリカバン▲国産車初のキャンパーモデルになるという三菱 デリカバン。現存する最後の1台と思われること、内外装はレストア済み、現代車ではありえないレトロなサイズ感やデザインという価値があるのは理解できる。でも、車両本体価格680万円が適正なのかは謎である
スバル レックス▲高輪自動車の得意なパターン。それは奇妙な同じ車が複数台並ぶこと。当日は1986年から販売していたスバル レックスの3代目が2台並んでいた。写真のスーパーチャージャー(車両本体価格180万円)と、黒の4WDターボ(車両本体価格150万円)だ。なぜか同時に2台売れたりしそうな気がしてしまうところに、このお店の神髄が隠れている
フォード サンダーバード▲1957年製のベビーサンダー。2オーナー車ということでコンディションも良し。世界的にも希少価値は非常に高いモデルなのだが、そもそも日本ではアメリカ車の評価は高くない。果たしてこの車の価値を見いだす買い手が見つかるのだろうか……。車両価格はASK


どんな車でも日本に3人は欲しい人がいる!?

変態ウォッチャー小林しゃちょーは言います。「面白そうというか、手強そうな人ばかりですよ。大抵この手の車に問い合わせしてくる人は、車に超詳しいし、性格曲がってるし。でも、普通の車売ってるだけじゃ面白くないじゃないですか(笑)」

その意気や良し! 世の中、利益ばかり追い求めている中古車屋ばかりとは限りません。「儲け」の前に「面白さ」であり「人間観察」を求める人もいるのです。

世の中「ペットを見れば、飼い主の性格が分かる」とか、婚約相手の太り具合を予想したければ「実家のお母さんを見よ」とかなどなど金言はたくさんあります。

しかし、小沢に言わせれば「車を見ればその人が分かる」、「ヤバい車にはヤバい人が乗っている」です。つまり、面白い車の裏には必ず面白い人がいます。まるで巨大な釣りですが、車をエサにすれば面白い人間と面白いストーリーが見つかるのです。

まずは、小林しゃちょーオススメの謎の広島のトゥクトゥクおじさんか、タクシー120台収集家でも狙ってみようかと思いますが、基本は風まかせ。早速来月にでも「激レア車、変態車」を買ったオーナーへのインタビューアタックをスタートするのでぜひぜひご期待あれ!!
 

パンサー J72▲自動車編集経験20年を超える担当者も実車を見たことがなかった英国の2シータースポーツ「パンサー J72」。誰が買うのか不思議な車だが、高輪自動車はすでにこのJ72を複数回納車しているという。小林社長いわく「売れる車として計算が立っている」というから驚く。本当に驚く。車両価格は650万円
フォルクスワーゲン バギー▲本当に売ろうと思っているのか疑問を抱かずにはいられない、フォルクスワーゲンのバギー。1966年式で価格はASK。ビートルをベースにしたオフロードモデルとして世界中で愛されているモデルで人気も十分。しかし、日本国内でこれを買う人はさすがにいないだろう……。と思ったらカーセンサーEDGEで連載をしているテリー伊藤さんは1台所有しているらしい……
三菱 スタリオン▲三菱が1982年から販売していたしていたスタリオンもマニア向けの1台。映画「キャノンボール2」にてジャッキー・チェンが乗っていた車と言った方が分かりやすいかもしれない。1982年式で車両本体価格は180万円。全国のマニアから声がかかるのを白金の地で待ち構えている


■取材先:高輪自動車
■住所:東京都港区白金1-29-15
■TEL:03-5422-7258

文/小沢コージ、写真/高輪自動車、編集部