▲新車時価格約400万~600万円だったアルファ ロメオ アルファ159とそのステーションワゴン版が今、総額100万円台半ばほどで比較的低走行な物件が狙える状況に。それってある種の人には「買い」かもしれません! ▲新車時価格約400万~600万円だったアルファ ロメオ アルファ159とそのステーションワゴン版が今、総額100万円台半ばほどで比較的低走行な物件が狙える状況に。それってある種の人には「買い」かもしれません!

マニアではなく「プチマニア」に注目してほしい存在

実際の人間というのは十人十色、人それぞれなわけだが、それでもあえて大まかなグループ分けをさせていただくなら、世の人間は「車は移動等の手段と割り切ってる人」と「ディープな自動車マニア」、そして「マニアというわけではないが、できればちょっといい感じの車に乗りたいと思っている人」の3グループに分かれる。

このグループ分けが本当に適切かどうかはさておき、もしもあなたが3番目、すなわち「マニアというわけでもないが、ちょっといい感じに見える車に乗りたいと思ってる人」であるならば、例えば今、アルファ ロメオ アルファ159ないしはアルファ159スポーツワゴンという選択はどうだろうか?

マニア各位には今さらかもしれないが、非マニアなあなたのため軽く解説しておくと、アルファ ロメオ アルファ159およびアルファ159スポーツワゴンというのは、06年から(※アルファ159スポーツワゴンは07年から)11年途中まで販売されたアルファロメオのアッパーミドルクラスに属す車である。

前身の「アルファ156」よりひと回り大きくなったボディはアルファロメオとジウジアーロの共同デザインで、スポーティかつアグレッシブでありながら、どこかセクシーな点が大きな特徴だ。日本仕様のエンジンは2.2L 直4と3.2L V6の2種類。トランスミッションはセミATの「セレスピード」と通常のトルコン式ATである「Qトロニック」、そして6MTの3種類が混在している(※アルファ159スポーツワゴンには6MTの設定なし)。

で、そのアルファ159および159スポーツワゴンが今、大変お安いのである。

▲こちらがアルファ ロメオ アルファ159。日本での販売期間は06年2月から11年途中。写真は2010年モデル ▲こちらがアルファ ロメオ アルファ159。日本での販売期間は06年2月から11年途中。写真は2010年モデル
▲こちらはそのステーションワゴン版であるアルファ ロメオ アルファ159スポーツワゴン ▲こちらはそのステーションワゴン版であるアルファ ロメオ アルファ159スポーツワゴン

マニアからもライト層からもやや人気薄な結果、割安に

どのくらいお安いかというと、具体的には総額おおむね160万円以下、車両価格で見て100万~150万円ほどで、走行4万km台までの個体が狙えてしまうのである。まぁ同クラスの国産中古車と比べれば「爆安!」というわけでもないが、新車時価格がおおむね400万~600万円だったこと、そしてこの強烈な華と色気から考えれば、「まずまず爆安」とは言えるのではないかと思う。

爆安な理由は主に2つ。一つは「非マニア層からの人気が今ひとつ」ということだ。

非マニアな方々も、例えば小型車であれば「なんかカワイイから」みたいな理由でイタリアのフィアットやフランスのルノーなどを選ぶことも多い。しかしアッパーミドルクラスになると、どうしても「せっかくだからベンツとかビーエムとかが欲しいよね」と思う人の割合が高くなるので、アルファ159に限らずラテン系のアッパーミドルというのはどうしても、やや人気薄の「マニア専門車種」みたいになってしまうのだ。それゆえ中古車相場もお安くなる、と。

▲年式によって細部は微妙に異なるが、アルファ ロメオ アルファ159の運転席まわりはおおむねこのようなデザイン。さすがはイタリア車というか何というか、どことなくセクシーな印象が強い ▲年式によって細部は微妙に異なるが、アルファ ロメオ アルファ159の運転席まわりはおおむねこのようなデザイン。さすがはイタリア車というか何というか、どことなくセクシーな印象が強い

そしてアルファ ロメオ アルファ159の場合、「肝心要のマニアからの人気も今ひとつだった」というのがもう一つのお安い理由だ。

現在はすでに解消されているが、アルファ159が開発されたのは、アルファ ロメオの親会社であるフィアットとアメリカのGMが提携関係にあった時期。そのため159の車台にはGMとの共同開発品が採用され、エンジンも下半分(シリンダーブロック)はGMグループとの共用だった。

そのためマニア層から「こんなのアルファじゃない!」的な扱われ方を受けてしまった159は、まったくの不人気だったわけでもないが、決してブレイクはしないままそのモデルライフを終え、現在の中古車市場でもまずまずの安値をキープしてしまっている……という次第なのだ。

▲アルファ159のフロントシート。前身のアルファ156よりボディサイズがやや大型化されたため、後席を含め、その居住性や積載性はなかなかのものがある ▲アルファ159のフロントシート。前身のアルファ156よりボディサイズがやや大型化されたため、後席を含め、その居住性や積載性はなかなかのものがある

確かにエンジンの下半分はGM製だが、要は「何と比べるか」だ

問題は、「そのようにやや人気薄のアルファ159およびアルファ159ステーションワゴンは、いくら中古車相場がお安いとはいえ本当に『買い』なのだろうか?」ということであろう。

何をもって「買い」するかの判断基準はそれこそ人それぞれなので、もちろん100%の断言はできない。しかし筆者としては「なかなかの買いではないでしょうか?」と判断している。

第一の理由はその「オーラ」だ。まぁオーラというのも漠然としているので「存在感」と言った方が良いのかもしれないが、とにかくアルファ159という車とそのデザインには、見る人に「おっ?」と思わせる何かがある。

同じ総額100万円台半ばほどで狙える旧型BMW 3シリーズでは、数が多すぎるせいか、街で見かけても「あぁ、そうですか」という感慨しか湧かないものだが、アルファ159は違う。車について詳しい人も、そうでない人も、思わず「おっ?」と感じてしまうサムシングがそこにあるのだ。

▲もちろんデザインの受け止め方は人それぞれだろうが、ありがちな売れ筋アッパーミドルとは確実に一線を画す独特の強烈な存在感を放っている点については、多くの人が認めるところだろう ▲もちろんデザインの受け止め方は人それぞれだろうが、ありがちな売れ筋アッパーミドルとは確実に一線を画す独特の強烈な存在感を放っている点については、多くの人が認めるところだろう

もう一つの理由は「走りがいいから」だ。

……この一言を読んで、マニアの方々は「嘘つくなよ! アルファ159はエンジン回らないし車体は重いしで、決して走りがいい類の車じゃないだろ!」とおっしゃるかもしれない。確かにそのとおりな部分も大であることを認めるが、問題は「では何とアルファ159を比べるか?」である。

往年のアルファ ロメオと比べるなら、確かに159は重く、そしてエンジンのいわゆる官能性にも少々欠けると言わざるを得ない。しかし過去のアルファ ロメオではなく「アルファ159と同時代の他メーカー同クラス車」と比べるなら、アルファ ロメオ アルファ159ならびに159スポーツワゴンという車は「十分以上に痛快な走りを見せるサルーンまたはステーションワゴン」なのだ。そのあたりは、なんだかんだ言ってさすがは「アルファ ロメオの車」だ。

▲写真奥にたたずむ往年のアルファ ロメオ 1750と比べるなら、そりゃ確かに重いし、エンジンの官能性にも欠けるのは事実だろう。しかし「同世代の競合」との比較であれば、アルファ159は十分「痛快な車」なのだ ▲写真奥にたたずむ往年のアルファ ロメオ 1750と比べるなら、そりゃ確かに重いし、エンジンの官能性にも欠けるのは事実だろう。しかし「同世代の競合」との比較であれば、アルファ159は十分「痛快な車」なのだ

イタリア車ゆえ(?)故障ゼロということもないだろうが、そうそう壊れまくる弱点だらけの車というわけでもない。特にセミATではなく6MTを探せば、まずまず安心できるはず。そしてこの強烈なオーラ(存在感)と痛快な走りが、総額100万円台半ば程度でイケるという事実。

もちろん全員にオススメしたいわけではないが、この顔にピンときた方は110番……じゃなかった。下記物件リンクより、さらなる詳細をチェックしていただけたなら幸いだ。

text/伊達軍曹
photo/フィアット・クライスラー・オートモービルズ