▲2気筒0.9Lの「ツインエア」に関してはなかなか相場が下がらなかったフィアット 500ですが、ここへきてようやくお手頃ゾーンへと近づいてきた模様です! ▲2気筒0.9Lの「ツインエア」に関してはなかなか相場が下がらなかったフィアット 500ですが、ここへきてようやくお手頃ゾーンへと近づいてきた模様です!

確実に下がってきた相場。しかも故障などのネガ要因はほぼなし

ポップで可愛らしいデザインから万人に人気で、そして意外とパンチの利いた走りも楽しめるということで、ディープな車好き男性からも愛されているフィアット 500。ただ、人気車だけに中古車相場はなかなか下がらず、なかでも一番パンチの利いた走りが堪能できるツインエア系(2気筒の0.9Lエンジン搭載車)は長らく高値安定状態が続いていました。具体的には、新車価格215万円だった10~12年式ツインエアポップが、中古になっても150万~180万円……みたいな。

しかしここへきてついに、人気のツインエア系もグッと安くなってきたことにお気づきでしょうか? これまでの相場は前述のとおり10~12年式ツインエアが150万~180万円ぐらいでしたが、現在はおおむね110万~140万円でも十分探せるようになったのです。それもボロめの過走行車ではなく、走行距離せいぜい1万kmから4万kmぐらいのものが、です。

中古車相場が安くなるというのは「ネガティブな要因」とセットになっている場合もあるものです。例えば、走行距離が増えてくるとトランスミッションの故障が妙に多くなるとか、エンジンの特定のシリンダーに焼き付きが起こる……なんてことが発覚した車種は、いくら走行距離少なめの個体でも相場はガンガン下がります。そういった車種を安く買っても、絶対ではありませんが、後で多額の修理代がかかる場合もままありますので、いくら安くてもあまりオススメはできません。

しかし、フィアット 500ツインエアの場合は特にネガな要因は報告されておらず、セミATの「デュアロジック」についても壊れやすいということはない模様。もちろん、年に一度か2年に一度の定期点検すら受けていないような個体だと話は別ですが、ごく普通レベルに丁寧に維持されてきた個体で、極端に過走行でさえなければ、基本的にはフツーに平和に維持できるはずです。

▲1957年に登場した往年のフィアット 500を現代的なスタイルで蘇らせた3ドアハッチバック。搭載エンジンは1.2または1.4Lの4気筒と、0.9Lの2気筒ツインエアエンジン ▲1957年に登場した往年のフィアット 500を現代的なスタイルで蘇らせた3ドアハッチバック。搭載エンジンは1.2または1.4Lの4気筒と、0.9Lの2気筒ツインエアエンジン
▲インテリアの色味はボディカラーや豊富に存在する各グレードによって異なりますが、ポップでありながら大人の鑑賞眼にも耐えるデザイン性の高さは全車共通。写真は左ハンドル+MTの本国仕様 ▲インテリアの色味はボディカラーや豊富に存在する各グレードによって異なりますが、ポップでありながら大人の鑑賞眼にも耐えるデザイン性の高さは全車共通。写真は左ハンドル+MTの本国仕様

さらなる下落も考えられるが、「旬」を考えれば先延ばしはしたくない

ではなぜ安くなったのかといえば、大きくは16年1月に行われたビッグマイナーチェンジの影響と、あとは単純に「年月がたったことで、高値相場を維持させるだけの神通力がやや失せたから」ということでしょう。

フィアット 500ツインエアに限らず「やたら高値安定状態が続く車種」というのがたまにありますが、そういった車種だって10年も20年も高値が続くわけではありません。あるタイミングで、やはり安値へと転じるのです。10年に登場したフィアット 500ツインエアについては、それがたまたま16年末頃から17年初めだった、ということです。

「じゃ、もう少し待てばもっと安くなるのでは?」という考えもあるでしょう。確かにあと1年ぐらい待てば、これは単に記者の勝手な予想ですが、10~12年式フィアット 500ツインエアは車両価格80万~90万円ぐらいで売られているかもしれません。

……なかなかそそるプライスではありますが、でもどうなんでしょう? その頃には車種としての「旬」みたいな感覚もビミョーになり、また単純に「くたびれてる個体」がかなり多くなっていそうな気もします。そういったモノをそういった時期に買っても、意味がないとまでは言いませんが、あまり満足できないかも……と想像する次第です。

ということで、押し付けるつもりはありませんが、フィアット 500ツインエア系の中古車を買うなら、相場がちょうどいい感じで下がりつつ、それでいてまだまだ旬でもある「今」が、やはり最適なのではないかと思います。

▲普遍性の高いデザインなので、見た目的に古くさくなることはあまりない気がしますが、中古車としてのコンディションを考えると、比較的新しいうちに入手するのが得策かもしれません ▲普遍性の高いデザインなので、見た目的に古くさくなることはあまりない気がしますが、中古車としてのコンディションを考えると、比較的新しいうちに入手するのが得策かもしれません

4気筒も悪くないが「乗って楽しい」のは2気筒ツインエア

また「ツインエアより、4気筒エンジンの1.2ナントカとか1.4カントカの方が全然安いんだけど、そっちじゃダメなの?」という意見というか質問もあるかもしれません。

ダメか? と言われれば、もちろんぜんぜんダメではありません。ただ、これは記者1人だけの意見ではなく、自動車ジャーナリストやフィアット愛好家諸氏の意見として「やっぱ2気筒ツインエアの方が断然楽しい」という声が多いのは事実です。

ツインエアの2気筒エンジンは排気量たった0.9Lで最高出力も85psという、カタログ数値的にはまったく大したことのないエンジンです。しかしその独特なビート感と音、そしてかんしゃく玉か何かが炸裂したようなプチ爆発感は、「運転」が好きな人であれば(たぶんですが)9割以上の人が「わはは、こりゃ楽しいわ!」と思わず笑ってしまうことでしょう。それぐらい、ステキなエンジンなんです。

そして正確な理由は不明ですが、4気筒エンジンではややギクシャク感が気になるセミATの「デュアロジック」も、2気筒ツインエアではなぜかギクシャク感が少なく、かなり快適に運転できます。ツインエアの方が軽いせいでしょうか? わかりませんが、とにかくそういった事実が、事実としてあります。それゆえのツインエア推しでもあるのです。

その意味では、運転という行為に実はまったく興味がなく、フィアット 500のあのデザインだけがとにかく好き! という人は、逆に4気筒版を選ぶのが賢いかもしれません。その中古車相場は今、かなりお安くなってますからね。しかし「やっぱオレは/ワタシは運転も好きだっ!!!」という人には、今このタイミングのフィアット 500ツインエアを強くオススメしたいと思うのです。

ぜひ、ご検討ください。

▲写真はポーランドにあるフィアット・クライスラーのティヒ工場にて13年4月19日、ちょうど100万台目のフィアット 500が完成した際のもの。世界中で愛されているフィアット 500です ▲写真はポーランドにあるフィアット・クライスラーのティヒ工場にて13年4月19日、ちょうど100万台目のフィアット 500が完成した際のもの。世界中で愛されているフィアット 500です
text/編集部
photo/フィアット・クライスラー・オートモービルズ