「エッジ・カー・オブ・ザ・イヤー」第3位の現行ポルシェ 911タイプ991。その選び方をちょっとマジに考える
カテゴリー: クルマ
タグ: ポルシェ / 911 / EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2017/01/29
堂々3位入賞のタイプ991だが、そのMT車は超絶希少
「2016 エッジ・カー・オブ・ザ・イヤー」にて栄えある第1位に輝いたのは、ポルシェ 911のタイプ964。第2位につけたのが、同じくポルシェ 911のタイプ996であった。「となれば3位はやっぱタイプ997(旧型911)か?」と思うのが人情というものだが、実は第3位に輝いたのはタイプ991こと現行ポルシェ 911だった。
エッジ・カー・オブ・ザ・イヤーとは、1年分のビッグデータ(総掲載台数/問い合わせ総件数/1台あたりの問い合わせ集中率)を独自のルールでポイント化し、輸入車の中でポイント数が最も高かったモデルをその年のイヤーカーとするもの。そしてデータを見ると、現行911はそもそも「総掲載台数」が比較的多いことに加え、空冷964ほどではないものの、「1台あたりの問い合わせ集中率」もやや高いというバランスの良さゆえに、まずまずのポイントを稼いだ模様だ。
しかしそんな分析よりも、本当に気になるのは「ところでどのグレードをどう選べばいいのか?」ということだろう。そこについて以下、極力具体的に考えてみたい。
まず「ポルシェ 911に乗るならやっぱMTでしょ」と考えている人は、現行タイプ991を狙ってはいけない。や、いけないということもないのだが、2017年1月15日現在で169台が流通しているタイプ991のうち、MTはわずか3台。残り166台はすべてPDK(DCT)である。それゆえどうしてもMTの911に乗りたいなら、そのわずかな物件を探すより、MT車もそれなりに流通しているタイプ997こと旧型911を探す方が無難だろう。こちらは同日現在、306台中73台が6MTである。
価格帯は「2000万円級」と「1000万円級」に二極化
お次に相場というか中古車の価格帯だが、ボリュームゾーンは大きく分けて2つ。一つは「天上界」こと車両価格約1600万円~2200万円あたりの世界だ。
こちらでは2100万~2200万円付近に超高性能車たるGT3が生息しており、ターボPDKはそれよりほんの少々お安い1900万~2000万円付近に集中。1600万~1800万円付近では、直近のマイナーチェンジで直噴3Lターボとなった最新のカレラS PDKを散見できる。お好きな方は、というか潤沢な予算をお持ちの方は、こちら天上界にてお好きなモデルを買えばそれでOKだろう。
もう一つのボリュームゾーンは約900万円~1300万円付近。高いは高いが、ある種の人間にとっては普通に手が届かなくもない「現世」であり、具体的にいろいろ気になるゾーンである。
こちら現世ではおおむね以下のような価格帯で、以下のグレードを探すことができる。
●カレラ PDK(3.4L自然吸気エンジン/RR):約900万~約1200万円
●カレラ4 PDK(3.4L自然吸気エンジン/4WD):約1050万~約1300万円
●カレラS PDK(3.8L自然吸気エンジン/RR):約1050万~約1300万円
●カレラ4S PDK(3.8L自然吸気エンジン/4WD):約1250万~約1400万円
さすがにカレラ4S PDKは若干お高く、ベースグレードに相当するカレラ PDKはそれなりにお安い。だが見方によっては「カレラ4S PDK以外はどれもだいたい同じ」と言えなくもないので、「それなら、何かと安心して飛ばせる四輪駆動のカレラ4 PDKがいいな……」と考える人もいるだろう。
確かにその考え方もわかるが、残念ながらカレラ4 PDKは流通量が少ない。2017年1月15日現在の数字で恐縮だが、全国でわずか10台である。ちなみにカレラ4Sは15台。決して探せなくはない数字だが、「複数の個体を比較しながら最終的な1台を選びたい」と考える場合には、ややキツイ局面もあるかもしれない。
こだわるべきはグレードではなく色や装備内容か?
「探しやすい・選びやすい」という点では、同日現在で46台が流通しているカレラ PDKか、あるいは38台となるカレラS PDKが圧倒的に有利だ。では、その2グレードのどちらを選ぶべきかというと……これはもう一概に言える問題ではない。
より高性能なのは当然3.8LのカレラSで、走らせれば死ぬほど速く、排気音も何やらかなり獰猛でステキな感じである。しかし「だからカレラSがオススメなんです」とは言えない。なぜならば「使うのは公道がメインだから、速すぎても持て余すし……」という考え方もあり、また排気音についての好みだって人それぞれだからだ。
こだわるべきポイントは、グレードよりも「中古車としてコンディション」であり、その次に「ボディカラー」「インテリアカラー」「オプション装備」だろう。
コンディションについてはまぁ言うまでもないが、色と装備の違いでポルシェ 911の印象や満足度は大きく変わる。リセール重視でいくなら「白または黒ボディ+黒革内装」が最強だが、「そんな組み合わせじゃつまらない!」という人だっているはず。あるいは「スポーツクロノパッケージが付いてない911は911じゃない!」という極端な思想をお持ちの人もいるかもしれない。
そんな場合でも、それなりに豊富な流通量が保証されているカレラ PDKまたはカレラS PDKであれば、新車のようなフルオーダーは当然できないにしても、自分の理想に「近い」1台は見つけることができるはず。しかも、オプション込みの新車価格から考えれば破格とも言えるプライスで。
中古車であっても「値が張る車」であることは間違いない現行ポルシェ 911。しかし人によっては2000万円級の「天上界グレード」も射程圏内であり、また1000万円級の「現世グレード」も、ダウンサイジングターボとなる以前の年式であれば「中古車らしいプライス感」を増してきている。それなりの予算をお持ちの人は、あまたあるネット界のなかでこの文章をお読みになったのも何かの縁ということで、これを機会にちょいと検討していただけたなら幸いだ。
□□2016 エッジ・カー・オブ・ザ・イヤー□□
1位 ポルシェ 911(タイプ964) 533pt
2位 ポルシェ 911(タイプ996) 531pt
3位 ポルシェ 911(タイプ991) 529pt
4位 ポルシェ ケイマン(タイプ981) 527pt
5位 ポルシェ ボクスター(タイプ981)510pt
6位 ポルシェ 911(タイプ997) 503pt
7位 アルファ ロメオ アルファ147 501pt
8位 ポルシェ ボクスター(タイプ986)482pt
9位 ポルシェ 911(タイプ993) 478pt
10位 ポルシェ 911(タイプ930) 474pt
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