▲「車と人とのトータルコーディネイト」に関して以前から考え続けていた筆者ですが、あるファッション関係の書籍を参考に、その極意をいよいよつかみました! ▲「車と人とのトータルコーディネイト」に関して以前から考え続けていた筆者ですが、あるファッション関係の書籍を参考に、その極意をいよいよつかみました!

全身ほぼユニクロでもやたらおしゃれになれる魔法の書

過日、自動車ジャーナリストの清水草一さんがご自身のブログで絶賛していた「最速でおしゃれに見せる方法」(ファッションバイヤーMB著/扶桑社)なる本のKindle版を購入し、精読してみた。

衝撃的だった。

この本は、ファッションバイヤーである著者MB氏が「おしゃれに見せる秘訣」を超絶具体的に解き明かしているものだ。これまで明確に言語化されていなかった「おしゃれに見える」というぼんやりした概念を、理詰めで、それゆえ誰でも再現可能な形で、しかも「全身(ほぼ)ユニクロでも大丈夫!」というお金のかからない手法を通じて、見事に解説しきっているのである。

感銘を受けた自分はさっそく近所のユニクロへ走り、その本が推奨している理詰めコーディネイトのなかから自分に似合いそうなパターンの一式を購入(それでも1万円もかからなかった)。そして着替えのうえ、鏡の前に立ってみた。

……自分で言うのもアレだが、驚くほどおしゃれでシュッとした1人の中年男性がそこにいた。靴以外は全部ユニクロなのに。MB理論おそるべし、である。

MB氏の「最速おしゃれ理論」とはいかなるものか? 人様の著作物の内容をここで詳述するわけにはいかないが、ご自身がAmazonの商品紹介で開陳している部分に絞って言うならば、「ドレス7対カジュアル3の割合を意識すべし」というのが理論のキモだ。他にもいろいろあるのだが、これを意識するだけでも、あなたの着衣ビジュアルはそれこそ「最速で」改善されることだろう。

▲筆者がAmazon経由で購入した「最速でおしゃれに見せる方法(kindle版)」(ファッションバイヤーMB著/扶桑社)の表紙。内容の詳細は各自ご購入のうえお確かめください…… ▲筆者がAmazon経由で購入した「最速でおしゃれに見せる方法(kindle版)」(ファッションバイヤーMB著/扶桑社)の表紙。内容の詳細は各自ご購入のうえお確かめください……

では「最速でおしゃれに見せる車選び」とは?

そしてそうなると、自称中古車評論家(特に安めのやつが専門)である筆者としては当然、以下のことを考え始める。すなわち「車においても、最速でおしゃれに見せる方法(しかもなるべく安く)が存在するのではないか?」ということだ。

この問題について3日ほど考え抜いた不肖筆者は、一つの解に到達した。答えは以下である。

「MB氏の理論に基づいた衣服を着用しつつ、ラテン系の比較的コンパクトな車に乗る」

……これだ。これしかない。

▲「ドレス7割」を目安とするシュッとした衣服を着用のうえ、例えば現行ルノー トゥインゴのようなカジュアル系のラテン車(フランスおよびイタリアの車)に乗る。それが答えだ! ▲「ドレス7割」を目安とするシュッとした衣服を着用のうえ、例えば現行ルノー トゥインゴのようなカジュアル系のラテン車(フランスおよびイタリアの車)に乗る。それが答えだ!

そのメカニズムをご説明しよう。

MB氏推奨のコーディネイトは基本的に「モノトーン」である。もちろん完全なモノトーンではなく差し色を入れることを前提としているが、基本はとにかくモノトーンである。特にボトムスについては「基本は絶対に黒!」としている。そして前述のとおりドレスとカジュアルの割合は7対3でドレスの割合が高い。つまり、乱暴に言ってしまえば「黒っぽいドレス寄りファッション」をまとうことが「最速でおしゃれに見せる方法」だということになる。もちろんそれだけではないわけだが、かなりラフに言うならそういうことだ。

で、黒のボトムスを中心とするおしゃれファッションを(ユニクロを中心に)完成させたとする。

そこに、「黒や白のドイツ製高級車」を合わせたら果たしてどうだろうか? ……一概には言えない話だが、筆者が思うのは「なんか、ありがち」ということだ。悪くはないが、ハッとさせられるものが何もないため、ただただ都市の風景のなかに茫漠と消えていくのである。

 

▲例えば白の現行メルセデス・ベンツ Cクラスにドレス寄りのファッションで乗れば、当然それなりにステキではある。ただ「ドレス+ドレス」というのは「ビジネスウェア」においてのみ効果的な手法なのだ ▲例えば白の現行メルセデス・ベンツC クラスにドレス寄りのファッションで乗れば、当然それなりにステキではある。ただ「ドレス+ドレス」というのは「ビジネスウェア」においてのみ効果的な手法なのだ

自分と車トータルでの「7対3」を意識する

そこれはつまり「ドレスとカジュアルの比率」がもたらす問題だ。

この場合、その内部では7対3が構成されているにせよ、衣服は主には「ドレス」と言える。そのドレスに、「黒や白のドイツ製高級車」というドレスを合わせているため、今ひとつパッとしないのだ。いやパッとしているのかもしれないが、「おしゃれ」ではなく「ビジネスウェア」に近い雰囲気になっているということだ。車と人との総合コーディネイトで「おしゃれ」に見せるなら、繰り返し引用している「ドレス7対カジュアル3」という黄金比を適用しなくてはならない。

つまりこのケースでは人が「ドレス」なので、車は「カジュアル」に振るのが正解だ。それにより、人馬総合での「7対3」が完成するのである。

▲例えば、いっそプジョー 205ぐらいのネオクラシック系カジュアルに振り切ってしまうのもいいだろう。その場合は衣服の方のドレス割合を「7」ではなく「8」ぐらいまで微妙に上げると、よりおしゃれかも。ネオクラ系+カジュアルすぎるウェアではただの「車好きなあんちゃん」になってしまう ▲例えば、いっそプジョー 205ぐらいのネオクラシック系カジュアルに振り切ってしまうのもいいだろう。その場合は衣服の方のドレス割合を「7」ではなく「8」ぐらいまで微妙に上げると、よりおしゃれかも。ネオクラ系+カジュアルすぎるウェアではただの「車好きなあんちゃん」になってしまう

もちろん「カジュアル10割」な衣服を着用したうえでドイツ製高級車というドレスに乗っても、同じような「人馬総合での7対3」は完成するのかもしれない。しかしそれを実際に行うのは難しい。なぜならば、ドレス寄りファッションでおしゃれに見せるのは比較的イージーだが、「スーパーカジュアルでありながらおしゃれ」というスタイルを構築するには超絶ハイセンスが必要だからだ。そんな芸当が軽々とできるのは、おそらくテリー伊藤さんぐらいのものではないだろうか。

以上のおしゃれ理論をまとめると次のとおりとなる。

●男性の街着は「ドレス7対カジュアル3」の割合が基本
●ということは、総合的に見て「ドレス寄り」である
●そこに「カジュアル寄りな車=ラテン系の比較的コンパクトな車」を足すことで、総体として理想的な「7対3」が完成する

ベストはラテン系と思うが、「自分が好きなカジュアル系」なら何でもOK

ただ、「カジュアル寄りな車=ラテン系」という部分については異論反論もあるかもしれない。「ゴルフとかの小型ドイツ車じゃダメなのか?」「アメ車だってあるぞ!」と。

そういった意見に対して、筆者からの反論は特にない。あなたがそれを良いと思うのであれば、それでいいだろう。おしゃれ中古車評論家(?)としての「ここは絶対ラテン系がハマるはず!」という我がセンスにはそれなりの自信を持っているが、それはあくまでも感覚的なものでしかないため、持論をゴリ押しする気はない。ゴルフ、アメ車、けっこうである。ただ、どうしたってドイツ車は「カジュアル」としてはやや中途半端かな? とは思うわけだが。

さて、以上の理論にご納得いただけた年齢不問のおしゃれ男子諸氏は、車というものの機械面のみに血眼になっている自動車マニアを尻目に、ぜひステキなカラーリングの中古ラテン車を購入していただきたい。そしてMB氏の著作も熟読し、ぜひ「おしゃれ車男子」として毎日の生活全体を存分に謳歌していただきたいと熱望する不肖筆者である。

その場合に購入すべき車種は、ハッキリ言って好みの問題にのみ帰結するため、ラテン系の比較的小さな車であれば何でもいいと思う。ただ、いちおうは機械面にも興味と知識がなくはない中古車評論家として、老婆心ながら以下にとりあえずのオススメモデル数車と、それを探す際のちょっとした注意点などを申し添えたいと思う。

ご興味のある方は参考にしていただけたならば幸いだ。

▲故障等の心配が少ない新しめの個体でいきたい場合は、こちらの現行ルノー トゥインゴは最強に近いチョイスの一つ。ただし中古車はまだ激少なので、今後に期待するか、あるいは新車で買うかしたいところ。新車価格は169万円~ ▲故障等の心配が少ない新しめの個体でいきたい場合は、こちらの現行ルノー トゥインゴは最強に近いチョイスの一つ。ただし中古車はまだ激少なので、今後に期待するか、あるいは新車で買うかしたいところ。新車価格は169万円~
▲現行トゥインゴと似たテイストをイタリア車で実現させたいなら、狙うはフィアット 500か。4気筒の1.2や1.4であれば50万円台から検討可能だが、できれば2気筒0.9Lのツインエアを狙いたい。こちらはおおむね90万円~だが、セミAT 「デュアロジック」の違和感はツインエア系の方がなぜか少ない ▲現行トゥインゴと似たテイストをイタリア車で実現させたいなら、狙うはフィアット 500か。4気筒の1.2や1.4であれば50万円台から検討可能だが、できれば2気筒0.9Lのツインエアを狙いたい。こちらはおおむね90万円~だが、セミAT 「デュアロジック」の違和感はツインエア系の方がなぜか少ない
▲勇気をもって往年のハイドロ・シトロエンに進めたら「最強おしゃれ男子」になること間違いなし。その筋の専門店でしっかりレストアされた個体であれば、噂ほど壊れるわけではない。ただし「マイナートラブルは故障のうちに入らないよ」というマインドセットは必須。写真のGS/GSAの相場はおおむね130万~170万円 ▲勇気をもって往年のハイドロ・シトロエンに進めたら「最強おしゃれ男子」になること間違いなし。その筋の専門店でしっかりレストアされた個体であれば、噂ほど壊れるわけではない。ただし「マイナートラブルは故障のうちに入らないよ」というマインドセットは必須。写真のGS/GSAの相場はおおむね130万~170万円
▲イタリア物でクラシカルなカジュアル性を追求するのであれば、最適なのは初代フィアット パンダか。CVTの「セレクタ」や四駆の「4×4」はやや不安もあるが、FFの5MT仕様ならば維持費もさほどかからないはず。5MTの中古車相場は40万~100万円といったところだ ▲イタリア物でクラシカルなカジュアル性を追求するのであれば、最適なのは初代フィアット パンダか。CVTの「セレクタ」や四駆の「4×4」はやや不安もあるが、FFの5MT仕様ならば維持費もさほどかからないはず。5MTの中古車相場は40万~100万円といったところだ
▲こちらは初代ルノー カングー。カジュアル系ウェアでこういった荷物グルマに乗るのもアウトドアマンっぽくてステキだが、あえてドレス寄りのファッションでこういった車に乗る「意外性」も、かなりおしゃれではある。相場は上下に幅広いが、比較的低走行な個体は80万~160万円 ▲こちらは初代ルノー カングー。カジュアル系ウェアでこういった荷物グルマに乗るのもアウトドアマンっぽくてステキだが、あえてドレス寄りのファッションでこういった車に乗る「意外性」も、かなりおしゃれではある。相場は上下に幅広いが、比較的低走行な個体は80万~160万円
▲荷物グルマというわけではないが、どことなくそういった風味もある現行フィアット パンダ。四駆の「4×4」なら最高におしゃれだが、中古車はかなり希少。FFの中古車相場はおおむね100万~190万円。走行距離少なめの物件も多数あるが、距離多めの個体の場合はセミATの状態確認を忘れずに ▲荷物グルマというわけではないが、どことなくそういった風味もある現行フィアット パンダ。四駆の「4×4」なら最高におしゃれだが、中古車はかなり希少。FFの中古車相場はおおむね100万~190万円。走行距離少なめの物件も多数あるが、距離多めの個体の場合はセミATの状態確認を忘れずに
text/伊達軍曹
photo/フィアット・クライスラー・オートモービルズ、ルノー、ダイムラー、プジョー・シトロエン、伊達軍曹