スマートロードスター|伊達セレクション
写真はオープンモデルの「スマートロードスター」。このほかにガラスハッチを備えるファストバックの「スマートロードスタークーペ」もラインナップしていた。現在の中古車相場はおおむね170万~220万円といったところ。2ペダルMTの「ソフタッチ」はハッキリ言って少々おマヌケな点もあるが、まぁそこはご愛嬌というか、抜群の運動性能と唯一無二のキャラにより許せてしまう範囲。
スマートロードスター内装|伊達セレクション
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かのスーパーカー、フェラーリ512BBよりもレア

今、ひとつの名作輸入車が絶滅の危機に瀕している。それは、スマートロードスター。本稿執筆時点で、カーセンサーEDGEnetでの掲載台数はわずかに14台。フェラーリ512BBよりも少ないじゃないか……!

説明するまでもないだろうがスマートロードスターとは、初代スマートのホイールベースを延長したうえで個性的なロードスターボディを載せた、02年登場のミニマムな2シータースポーツ。直列3気筒エンジンは82psまでチューンされ、車両重量はわずかに830kg。駆動方式はいわゆるRRで、ドライバー着座位置の低さはタバコを地面に押しつけて消せるほど(←実際に公道で消してはいけません)。デビュー当時、「拓海のハチロクに秋名の下りで勝てるのはこの車だけ!」みたいな原稿を書いた記憶もあるが、とにかくサイコーに痛快な1台である。

が、一部のマニア以外には受けなかった。スマートロードスターは鳴かず飛ばずのモデルライフを過ごし、そして06年、静かに新車カタログから消えていった。

しかし「中古車界では縦横無尽の大活躍をするに違いない!」と信じたのも、わたしを含む一部の自動車変態だけだったようだ。スマートロードスターの中古車は、一部エンスーには熱狂的な、それこそ「エンスージアティックな」支持を受けたが、一般的にはやはり鳴かず飛ばずで、今、冒頭のとおり絶滅の危機に瀕している。嗚呼……。

下手なエコカー以上にエコ!(かもしれない!)

まぁ、恨み言はここまでにしておこう。わたしが言いたいのはそんなことではなく、スマートロードスターの新しい使われ方だ。

昨今、本邦ではいわゆるエコカーが人気を集め、それを通勤や買い物、家族の行楽の伴にしているご家庭も多いかと思う。で、そのエコカーの役割を、そっくりそのまま中古のスマートロードスターに担わせてはどうか? という提案だ。

無論、子だくさん家族のファーストカーには不向き、というか完全に無理なので、あくまでも単身者や若いご夫婦、シングルマザーなど向け、あるいはお父さんの通勤スペシャルとしての提案ではある。しかし「人も荷物もそんなに載せる生活は送ってないよ」という人であれば、おおむね19km/Lは走るはずのスマートロードスターは、十分以上にエコカーの代役を務められるはずなのだ。

もちろんエコカー減税は適用されず、ごく一部ではいまだ人気のため中古車相場も決して激安ではない。が、凡庸なエコカーでは絶対に得られないステキ過ぎるハンドリングや、「カラフルな生活」が、そこにはある。さらに言えば、ライフサイクル・アセスメント的に見たら中古ロードスターをリサイクルするほうがよっぽどエコかも? という見方もあるじゃないか。

「そろそろエコカーでも」とお考えの人が次にどんな車を買おうが、もちろんご自由だ。しかし、少数精鋭を是とする家族生活を営んでいる方には、ぜひ中古のスマートロードスターも次期マイカーの候補に入れられんことを強く願う筆者ではある。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
エコカーとしてのスマートロードスター、どうでしょう?


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE