原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2012年12月20日に発見したのは「ホンダ プレリュードインクス」です。テレビCMを覚えている世代の方の中には「インクス……インクス……インクス……ニュー・プレリュード…インクス」という呪文のようなナレーションが忘れらないという方もいるのでは?(笑)

今では絶版となってしまったプレリュードですが、当時はコンパクトなスポーティクーペとして世界を席巻していました。インクスは1989年のプレリュードのマイナーチェンジ時に登場した車です。

ヘッドライト常時点灯の義務化(カナダやアメリカ一部の州)に対応するためのモデルで、「プレリュードのリトラクタブルヘッドライトはちょっと派手だな」という保守的な層をターゲットに国内に投入されました。最近では見かけない横長なヘッドライトがなかなか個性的です。

ここまで平べったい雰囲気のクーペも最近では見かけません。今見ると、シャープでとがったナイフのようでさえあります。室内空間の広さを善とする昨今ですが、クーペたるもの助手席との距離の近さがポイント(笑)。かつては「デートカー」として親しまれていました。かといって窮屈かと言えば、そんなことはありません。ウインドウの大きさや傾斜具合によって思いのほか解放感があるんです。

当該車両は22年前の車ですが、5万㎞弱しか走っていない珍しい個体です。何が珍しいかというと、失礼ながら“そこまで高くない”車が長期間、大事にされてきたことです。しかも、もはや絶滅危惧種に認定すべき5速MTを搭載しています。サーキットをぶっ飛ばすわけでもなく、見えを張りたいわけでもなく、50.9万円で差別化できる車と考えれば、素晴らしい選択肢だと思います。

若い人にはちょっと古めかしい雰囲気がダサ可愛く映るでしょうし、30代後半のデートカーとしてはノスタルジックでウケもイイと思います。この車の全盛期、つまりは80年代後半、90年代のミュージックテープを作って運転中に流せば、それだけでオシャレな車遊びの成立です。かつて流行ったドライブデートのコースをたどれば、ちょっとしたタイムトラベルです。アンティーク腕時計、ビンテージ・ジーンズといったちょっとノスタルジックなものに興味がある方に、ぜひともご検討いただききたい1台です。

Text/古賀貴司(自動車王国)

ホンダプレリュードインクス | オンリーワンを探せ
本体価格(税込)35.8万円
支払総額(税込)50.9万円
走行距離4.9万km
年式1990(H2)年式
車検
整備
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地域神奈川