▲BMW M635CSiは、約30年前に0→100km/h加速6.1秒を達成しました! ▲BMW M635CSiは、約30年前に0→100km/h加速6.1秒を達成しました!

スポーツカー並みの性能を持つラグジュアリークーペ

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2015年5月20日に発見したのは「BMW M635CSi」です。デビュー当時は「世界で最も美しいクーペ」と評された初代6シリーズの“最強モデル”です。シャークノーズと呼ばれた逆スラント(傾斜)したフロントマスク、たしかにサメの鼻先のようなデザインになっています。

M6ではなくM635CSiという名前から、昨今の「Mパッケージ」を思い浮かべるかもしれません。でも、この頃のM6はラグジュアリーパッケージのような雰囲気で、アメリカと日本で販売されただけでした。ヨーロッパやドイツ本国での最強モデルは、このM635CSiだったんです。

M6は排ガス規制を満たすために触媒が取り付けられ圧縮比が低くなり、最高出力が260psとM635CSiよりも控えめ。しかも、リアシート用エアコンを標準装備しているために重量も増加していて、M6よりもM635CSiの方が加速力は優れていたんです。

このM635CSiが搭載していた直6エンジンは、同時期のM5にも搭載されています。大型ラグジュアリークーペながら0→60mph(≒0→100km/h)加速は6.1秒。最高速度は255km/hを約30年前に誇っていました。そりゃ“ガイシャ信仰”も広まるってものです(笑)。

今じゃ考えられないモデルのヒエラルキー構成です。当時はまだ「M」ブランドの方向性を模索していたのでしょう。

平均速度、走行可能距離などを表示するオンボードコンピューターも装備していますし、なんとなく「ハイテク」を感じさせるコックピットも今となってはノスタルジック。約30年前の車ながら、当時の凄さを今でも感じさせてくれます。

残念なことに当該中古車の写真は、フロントとサイドしか掲載されていません。年式が古いゆえに走行距離は不明、修復歴も有り、となっています。でもコツコツ、リフレッシュして乗っていけば一生付き合える相手になるでしょう。

▲サイドから見ると、シャークノーズがより目立ちますね ▲サイドから見ると、シャークノーズがより目立ちますね

もう世界中でM635CSiの中古車流通台数が激減していますし、価格もプレミアム化しています。MTの方が良いという車好きの気持ちは分かりますが、ATでも“見つけたもん勝ち”の状態です。最近、クラシックカー(ネオクラシック含む)の高騰ぶりには目を見張るものがありますしね。

しかし、このエンジンの生き物感は……ハマります! ただ単にパワフルなのではなく、部品ひとつひとつが精緻な動作をしていることを感じさせてくれるんです。そういった意味で、機械式時計のような味わいが漂っています。

■本体価格(税込):699.0万円■支払総額(税込):---万円
■走行距離:不明 ■年式:1985(S60)
■車検:無 ■整備:別(21万6000円) ■保証:無
■地域:岐阜

text/古賀貴司(自動車王国)