日産 シーマ▲今回は言わずと知れた日産の高級車、シーマの4代目モデルに注目します

デビューから20年。価格が上昇してきた4代目シーマを振り返る

日産 シーマといえば、日産自動車のフラッグシップセダンとして知られるところ。

一時は法人、要人向けにプレジデントというモデルも存在していましたが、パーソナルカーとしても使えるモデルという意味では、シーマが最上級車種であることは紛れもない事実。

最近では、女優の伊藤かずえさんが所有する初代モデルを、日産の手によってレストアされることが発表され話題を集めましたが、今回ご紹介するのは2001年に登場した4代目モデルです。

2001年から2010年まで、販売されてきた4代目シーマ。デビューから20年経過した現在、さぞ値段も落ちただろう、とお思いの方が多数かと思います。

それに間違いありませんが、実はここのところじわりと価格が上がり始めているのです。

気になる価格の話をする前に、4代目シーマとはどんなモデルか振り返ってみましょう。
 

日産 シーマ▲今回紹介する4代目シーマ。こちらなマイナーチェンジ前の前期型です

古さを感じさせないデザイン、当時最先端の安全装備を採用

4代目は、それまでセドリック/グロリアからの派生車であることを示す、FY3#という型式から、Y50型となったことで独自の進化を果たしたことを主張したモデルです。

堂々とした雰囲気の中にも、日本的なテイストも持ち合わせた仕上がりとなっていました。

そのため、今見ても古くささを感じさせることもなく、必要以上に威圧感を与えるルックスでもないことから、ゆったりとした余裕の移動手段を求めている人にはピッタリと言えます。
 

日産 シーマ▲内装の質感も古くささを感じさせません

そんな4代目シーマに搭載されていたエンジンは、先代モデルにも搭載されていたV6 3Lターボエンジンと、先代よりも排気量が拡大されたV8 4.5LNAエンジンの2種類。どちらも最高出力は、当時の自主規制値である280psとなっていました。

デビュー当初は、3Lモデルが廉価版という扱いでしたが、モデル途中で「300Gグランドツーリング」が追加。

これは、スポーツチューンドサスや18インチアルミホイールが標準装備のスポーティグレードという扱いで、積極的に自らドライブを楽しみたいユーザー向けのキャラクターでした。
 

日産 シーマ▲こちらがグランドツーリング

ただし、3Lターボモデルは2007年7月に排出ガス規制の問題で一足先に廃止となっており、その後は4.5Lのみのラインナップとなっています。

エクステリアで特徴的なものは、初期の4.5Lモデルに採用された通称「バルカンヘッドライト(正式名称はマルチプロジェクターキセノンヘッドランプ)」と呼ばれたヘッドライト。

これは、中央のランプを囲むように6個のプロジェクターランプが配されたもので、多くのユーザーが憧れた装備だったのです。ちなみにこのバルカンヘッドライト、2002年9月の改良で3Lモデルにも設定されるようになっていました。
 

日産 シーマ▲他車種に流用するのが流行るなど人気が高いデザインでした

そして、注目したいのが先進装備です。2001年デビューということで、初期型はすでに20年も前のモデルではありますが、レーダークルーズコントロールやレーンキープサポートシステム(4.5Lモデルにオプション)が用意されており、カメラで白線を認識し、逸脱しそうになると自動で微舵修正をしてくれるのです。

これは、まさに現在のプロパイロットの元祖とも言える先進装備だったのです。

また、2003年8月の改良では衝突被害軽減ブレーキであるインテリジェントブレーキサポートも搭載されるなど、さすが当時のフラッグシップモデルと言える装備の充実ぶりでした。

なお、2008年2月にもマイナーチェンジが行われ、前後バンパーの大型化やリアコンビランプのデザイン変更などを実施。このときはメカニズム的には大きな変更はありませんでしたが、より現代風のデザインになっています。
 

日産 シーマ▲後期のテールはランプがトランクまで伸びるデザインになりました

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年々タマ数が減少し、平均価格は2年で約14万円上昇!

フラッグシップモデルということもあって、ミニバンのようにバンバン台数が売れたモデル、というワケではありません。

中古車のタマ数としては、2019年1月の段階では200台以上が掲載されていましたが、じわじわと台数を減らして2021年4月の段階では128台となっています。

一方の平均価格は、2019年の42.7万円を下限として上昇しており、2021年4月には56.5万円とおよそ14万円もアップしています。
 

日産 シーマ▲こちらが2019年1月~2021年4月までの平均価格を表すグラフです

これは、年数が進んだことで状態がイマイチな個体が淘汰され、比較的状態のよい個体だけが市場に残ったために起こった現象とみられ、妥当な価格推移と言えます。

実際の価格帯としては、総額40万円台から狙うことができ、高いものでも総額100万円前後といったところ。ただし、エアロパーツやアルミホイール、社外足回りなどが装着されたカスタム済の個体はそれを上回るものも存在しています。

カスタム済の個体はゼロから仕上げるよりもリーズナブルな場合が多いですが、自分好みではないパーツが付いている場合は、無駄になってしまうのが難しいところ。

逆にノーマルに近い状態のものを狙っているのであれば、ディーラー系中古車店で販売されている個体もいくつかあるので、そういったものを狙うのもありでしょう。


また、流通量はV8グレードの方が全体の2/3ほどと多くなっており、V6グレードはV8に比べ比較的安価な傾向です。

ちなみに、2008年2月以降の後期型は、執筆時点で92台中15台とかなり台数は少なめ。実質2年半ほどしか販売されなかったため、これだ! と思った個体があれば早めの行動がよさそうです。
 

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文/小鮒康一、写真/日産
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。