普通の速度で普通に運転する限り、新型Cクラスと旧型Cクラスは(ある意味)ほとんど同じだった
2014/09/03
旧型狙いの人が過剰に「引け目」を感じる必要はない
各紙誌やWEBサイトで大絶賛の嵐となっている新型M・ベンツCクラスに、遅ればせながら長距離試乗する機会を得た。1.6Lの直噴ターボエンジンを搭載する「C180」だ。各紙誌やWEBサイトの記事を読む限りでは「新型Cクラスってのはもう異次元級のもの凄い出来らしい!」と思わざるを得なかったわけだが、実際に間近で接し、そして数百kmの距離を運転席および助手席で過ごしてみた印象はどうであったか?
素晴らしい車だが、決して「異次元」ではなかった。
そして、中古車評論家として自信を持って申し上げる。今や型遅れとなったW204こと旧型Cクラスの中古車でも、あなたはW205(新型Cクラス)に乗った場合とさほど変わらない満足感を得るだろう、と。
当然だがこれは「新型Cクラスは大したことのない車である」と申し上げているわけではない。事実はその逆で、新型Cは一般道や高速道路をごくフツーの速度で運転しても、誰もがそのアジリティ(機敏さ、俊敏さ)と、それと同時にある上質感というかしっとり感のようなものに心打たれるだろう。ホント、いい車だ。
しかし、筆者が言いたいのは「でも旧型Cだっていい車だよ」ということだ。機敏であり、それと同時に上質感というかしっとり感のようなものも十分ある。そりゃもちろん、特殊なコースで特殊な走り方をしたり、法定速度の倍近い速度で巡航したり、あるいは全身のセンサーを死ぬほど研ぎ澄まして比較をしてみれば、新型Cと旧型Cの間にはかなりの差があるのだろう。ある意味それは当然である。何もかもが新しいんだから。
だが筆者を含めほとんどの人間は、そのような走り方はしない。もちろんそれなりに気を張って運転はするが、「全身のセンサーを死ぬほど研ぎ澄まして」というようなこともなく、ある意味ダラっとステアリングを握り、パッセンジャーと会話などをしながら法定速度に応じて、何よりも「安全」と「スムーズであること」を第一に、ごくフツーに運転する。当たり前だが公道でリアタイヤを滑らせるような走り方もしない。
そのようなスタイルで運転をする場合、新型Cクラスと旧型Cクラスは「ほとんどおんなじ」なのだ。微妙な差はもちろんあるが、基本的にはどっちもステキ、ということである。
「それはお前が鈍感なだけだろ!」と言われれば返す言葉もなく、そのとおりかもしれないとは思う。しかし、自分で言うのもアレだが筆者は車の挙動や感触に対しては「普通に鈍感」ぐらいで、決して「死ぬほど鈍感」でもないとは思っている。つまり、これをお読みのあなたとだいたい同じぐらいのドライバーだ。それゆえあなたも、新型M・ベンツ Cクラスを運転してみた際は、わたしと同じような感想に至る可能性は高いだろう。
もちろん、車というのはハンドリングうんぬんだけが重要なのではなく、デザインや各種装備類の洗練度、もしくは「いちばん新しくて高い車を、苦もなく買って乗ってるオレ」という記号性のようなものも、かなり重要なポイントではある。そういった部分においてW204がW205に敵うことは絶対にない。新型の圧勝である。室内は広く、内外装デザインも素晴らしい。これは自動車評論家の西川淳さんがどこかで書いておられたことと記憶しているが、新たに採用された「タッチパッド」は確かにオブジェとして机に飾っておきたいほどだ。
しかし、そういった部分にさほどの重要性を感じず、何よりも「オプション込みで600万円近くなるその価格はちょっと……」という人はぜひ、旧型になったほうのM・ベンツ Cクラスに注目していただきたい。それもただ注目するのではなく、プライドを持って、新型に対する引け目など一切感じずに、注目するべきなのだ。
ということで今回のわたくしからのオススメはズバリ、W204こと旧型M・ベンツCクラスだ。
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