【試乗】新型 ロールスロイス ゴースト│ドライバー志向へと生まれ変わったゴ―ストは、まさに運転席が新たな上座!
カテゴリー: ロールスロイスの試乗レポート
2021/04/21
▲プラットフォームから足回りまで一新され、4WDや4WSなどを挑戦的に採用。快適なドライブはもちろん走りを堪能できる新型は、今までのイメージを過去のものへ優雅な佇まいの内側には、真の贅沢が詰まっていた
観音開きのドア(コーチドアという)が白い手袋をはめた運転手によって恭しく開けられると、中からいかにも大金持ちといった風情の爺様が登場して・・・。
ロールスロイスというといまだにそんなイメージをもつ人が多いことだろう。けれども、最新モデル(=グッドウッドRR)では正反対だと思ってもらった方が良さそうだ。つまり、今時のロールスロイスでは、開くドアはたいてい運転席のみで、降り立つ人物は至って若い、いってもせいぜい40~50代、なのである。
要するにショーファードリブンではなく、オーナードリブンの傾向が強まった。特に2009年に登場した初代ゴーストと、その派生モデルである2ドアのレイス&ドーンが登場してからはというものの、後席より運転席を好むカスタマーが格段に増え、それはそのままロールスロイスの販売増にもつながって、さらにはラグジュアリーブランドの中でも若返りに最も成功することになる。
初代ゴーストの成功こそが、現在のロールスロイスの基盤となったというわけだ。
それゆえ、10年に一度しか行われないフルモデルチェンジはたいそう難しいものだったに違いない。けれども、グッドウッドはやり遂げた。この10年間における利益=投資と、世界をリードするカスタマーの最新動向というゴーストのもたらした2つの大きな財産をフルに活用して。そういう意味では2代目となった新型ゴーストは間違いなく初代から生まれたが、けれどもしかし、初代とは似て非なるモデルへと進化を遂げたと言っていい。
世界中のハイエンドカスタマーは何を望んでいるのか。グッドウッドの出した結論は、「ポスト・オピュレンス」。直訳すると”贅沢の先”にあるもの、とでもなるだろうか。RRの日本語リリースではこれを“脱贅沢”と訳していたが、RRを選ぶこと自体、贅沢の極みなのだから、それをやめると言うわけじゃない。
むしろその逆で、世間一般に思われている贅沢から一歩進んだ真の贅沢をRRは目指しますよ、というそれは意思表示でもあった。つまり、見せかけだけの贅沢からは一層距離を置きますよ、という意味だ。それゆえ、この言葉には「リダクション」(縮小)と「サブスタンス」(実質)を重視する姿勢が含まれる、と補足する。
つまり、シンプルであることこそモダンエレガンスの起点。無駄な贅沢はやめましょうというわけだった。
▲エンジンをフロントアクスルより後ろに設置するなど、50対50の重量配分へとパッケージングを最適化している
▲ヘッドライトに採用されたビジョンアシスト付きLEDライトは、600m先まで照らすことができる。また、全方向を確認できるヘリコプタービューや、Wi-Fiホットスポット機能を搭載新型ゴーストがいきなりシンプル極まりないサルーンへと変身したかというと、そうではない。見た目には、おそらく詳しくない人が見たならば成功した初代とさほど変わったように見えないだろうし、先代の形を詳しくは知らないという人だって、つまり誰が見ても、この車はロールスロイスであると言い当てることができるだろう。世間一般からすれば、この存在感だけで“贅沢極まりない車”である。
けれどもエクステリアをよく見れば、ロールスロイスらしい優雅なサルーンに仕立てるべく、シャットラインをできるだけ少なくしたり、余計なキャラクターラインを入れずに巨体を引き締まって見せたりするような工夫が散見される。クロームの光り方もわざと抑えてある。
ちなみに先代と同様、ボディタイプはスタンダード(全長5545mm)とエクステンデッド(全長5715mm)の2種類で、それぞれに4人乗りと5人乗りが用意された。
インテリアもそうだ。上質なウッドやメタル、レザーといった素材のもつ力を生かすべく、ステッチから組み合わせ、デザインに至るまで、可能なかぎりシンプルさを貫いた。
あれもこれも、となりがちな内装デザインにおいて、これもまた難しかったことだろう。一歩間違うと、かえって単調で貧相な見栄えになりかねないのだから。
新型ゴーストの目指す“贅沢のその先にあるもの”とは、そんな見栄えの話ではなく、自動車としての本質、むしろそのパフォーマンスにあった。
▲インフォメントシステムは直感的なBMW製がベースとなり、RR専用のデザインへと変更が加えられている
▲エアコン吹き出し口やシートはもちろんのこと、すべて本物の素材を使い厳重な品質管理のもとで作られている
▲総重量100kgを超える大量の吸音材を使用。さらに特定の周波数で共振する特殊な機構を設けることで、ノイズをなくすのではなく一定周波数の音を車内へ流入させ、違和感を感じさせない心地のよい空間を生み出している
▲伝統的な傘を収納するドアには、新たに加速度センサーを搭載。坂などの傾斜がある場所でも一定速度で開閉するグッドウッドにおけるこの10年の進化の証しとして、ブランド専用開発のアルミニウム・スペースフレーム骨格を挙げることができる。先代ゴーストはBMWグループの上級プラットフォームを活用していたのに対し、新型には専用の新骨格が採用されたのだ。
ロールスロイスに「必要な性能」を盛り込み、一から新たに開発したもので、初のSUVであるカリナンとフラッグシップモデルの第2世代のファントムにもすでに採用されている。
一方で、その心臓部には純内燃機関のV12エンジンを受け継いだ。6.75Lツインターボで、そのスペックはスーパーカー級だ。8速ATと組み合わせ、1600回転から850N・mもの大トルクをフラットに発揮する。この大トルクを路面へと確実に伝えてくれるのは、ロールスロイスのサルーンとしては初となる4WDシステムだ。
新型ゴーストの真価はその乗り味の素晴らしさにこそある。まず、驚かされたのが極上の乗り心地だ。カリナン、ファントムときてもうそれ以上の感動はないに違いない、と思っていたから嬉しい誤算である。これは、「プラナー・サスペンション・システム」という全く新しい考え方の足回りによるもので、中でも前輪の「アッパー・ウィッシュボーン・ダンパー」構造(簡単にいうとダンパーのためのダンパーが付いている!)はユニーク極まりない。動き出した瞬間からはっきりとライドクオリティの高さを感じる。
さらに、高級車とは思えぬドライバビリティの高さにも驚愕した。日光峠の狭いワインディングロードをまるでよくできたミッドサイズのスポーツサルーンのように駆け抜けた。なるほど、現代のRRカスタマーがショーファーよりオーナードリブンを好むということがよく分かる、といった仕上がりなのだった。
新型ゴーストは同門カリナンを凌ぐ究極のドライバーズカーであり、究極の乗用車であると言っていい。
▲RR車でも装着率の高い人気オプションのスターライトヘッドライナーは、編み込まれた光ファイバーによって、満天の星空を再現している
▲新ロゴデザインの「GHOST」が映るイルミネーテッドフェイシアは、レーザーで彫り込まれた約9万個のドットによって、スターライトヘッドライナーのように輝く
▲たったの600回転でアイドリングするエンジンは、インテーク機構を内部に組み込むなど改良が加えられ、振動とノイズを減少させている▼検索条件
ロールスロイス 新型ゴースト × 全国ロールスロイス ゴースト(初代)の中古市場は?

2009年から販売されていたベストセラーモデル。2014年のマイナーチェンジで、フロントフェイスなど各所に変更が加えられた。中古市場で流通している物件は白、黒、シルバーの順で多く、中にはパープルや紺色などの特別感を感じる物件も散見される。中古車平均価格は3000万円ほどで、最低価格は900万円(2021年4月現在)。ほぼすべての物件が良いコンディションを保っている
▼検索条件
ロールスロイス ゴースト(初代) × 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●6.75 4WD
| 型式 | 7BA-TV02 | 最小回転半径 | -m |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 5.54m×2m×1.57m |
| ドア数 | 4 | ホイールベース | 3.3m |
| ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | -m/-m |
| AI-SHIFT | ◯ | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 4WS | ◯ | 車両重量 | 2540kg |
| シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
| 乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
| ミッション位置 | コラム | 最低地上高 | -m |
| マニュアルモード | - | ||
| 標準色 |
ダイアモンドブラック、ダーケストタングステン、ペトラゴールド、アンスラサイト、ダークエメラルド、ボヘミアンレッド、スカラレッド、ミッドナイトサファイア、サラマンカブルー、イグアスブルー、ジュビリーシルバー、シルバー、ホワイトサンド、イングリッシュホワイト、アークティックホワイト、テンペストグレー |
||
| オプション色 |
ブラック、グラファイト、インペリアルジェイド、ベラドンナパープル、インフィニティブラック、リリカルカッパー、ブラックキルシュ、サファイアブラック、ガンメタル、ダークインディゴ、メトロポリタンブルー、トワイライトパープル、マグマレッド、タスカンサン、プレミアシルバー、ブラックエンバー、ベリックブロンズ、ブラックグリーン、メラナイト、マデイラレッド、スターリンググレー、ミッドナイトブルー、ブルーベルベット、ブルックランズグリーン、ダックエッグブルー、パープルシルク、ベルベットオーキッド、ワイルドベリー、ブロンズ、アリゾナサン、タングステン、ストーングレイ、バーンアウトグレー、オータムミステリーブラック、オブシディアン、ガリレオブルー、シルバーサンド、サファイアガンメタル、クリスタルオーバーアークティックホワイト、クリスタルオーバーセルビーグレー、クリスタルオーバーオレンジメタリック、クリスタルオーバーマグマレッド、クリスタルオーバーブラック、クリスタルオーバーフェイムグリーン、クリスタルオーバーサラマンカブルー、クリスタルオーバーミッドナイトサファイア、クリスタルオーバートワイライトパープル |
||
| 掲載コメント |
※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております |
||
| 型式 | 7BA-TV02 |
|---|---|
| 駆動方式 | 4WD |
| ドア数 | 4 |
| ミッション | 8AT |
| AI-SHIFT | ◯ |
| 4WS | ◯ |
| 標準色 | ダイアモンドブラック、ダーケストタングステン、ペトラゴールド、アンスラサイト、ダークエメラルド、ボヘミアンレッド、スカラレッド、ミッドナイトサファイア、サラマンカブルー、イグアスブルー、ジュビリーシルバー、シルバー、ホワイトサンド、イングリッシュホワイト、アークティックホワイト、テンペストグレー |
| オプション色 | ブラック、グラファイト、インペリアルジェイド、ベラドンナパープル、インフィニティブラック、リリカルカッパー、ブラックキルシュ、サファイアブラック、ガンメタル、ダークインディゴ、メトロポリタンブルー、トワイライトパープル、マグマレッド、タスカンサン、プレミアシルバー、ブラックエンバー、ベリックブロンズ、ブラックグリーン、メラナイト、マデイラレッド、スターリンググレー、ミッドナイトブルー、ブルーベルベット、ブルックランズグリーン、ダックエッグブルー、パープルシルク、ベルベットオーキッド、ワイルドベリー、ブロンズ、アリゾナサン、タングステン、ストーングレイ、バーンアウトグレー、オータムミステリーブラック、オブシディアン、ガリレオブルー、シルバーサンド、サファイアガンメタル、クリスタルオーバーアークティックホワイト、クリスタルオーバーセルビーグレー、クリスタルオーバーオレンジメタリック、クリスタルオーバーマグマレッド、クリスタルオーバーブラック、クリスタルオーバーフェイムグリーン、クリスタルオーバーサラマンカブルー、クリスタルオーバーミッドナイトサファイア、クリスタルオーバートワイライトパープル |
| シート列数 | 2 |
| 乗車定員 | 5名 |
| ミッション 位置 |
コラム |
| マニュアル モード |
- |
| 最小回転半径 | -m |
| 全長×全幅× 全高 |
5.54m×2m×1.57m |
| ホイール ベース |
3.3m |
| 前トレッド/ 後トレッド |
-m/-m |
| 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
| 車両重量 | 2540kg |
| 最大積載量 | -kg |
| 車両総重量 | -kg |
| 最低地上高 | -m |
| 掲載用コメント | ※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております |
| エンジン型式 | - | 環境対策エンジン | - |
|---|---|---|---|
| 種類 | V型12気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
| 過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 83リットル |
| 可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 総排気量 | 6750cc | 燃費(WLTCモード) | - |
| 燃費基準達成 | - | ||
| 最高出力 | 571ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
850(86.7)/1600 |
| エンジン型式 | - |
|---|---|
| 種類 | V型12気筒DOHC |
| 過給器 | ターボ |
| 可変気筒装置 | - |
| 総排気量 | 6750cc |
| 最高出力 | 571ps |
| 最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
850(86.7)/1600 |
| 環境対策エンジン | - |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 燃料タンク容量 | 83リットル |
| 燃費(10.15モード) | -km/L |
| 燃費(WLTCモード) | -km/L |
| 燃費基準達成 | - |
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