運転中、見ず知らずの相手に抜かれてイラッとする理由は?
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2015/04/21
目で見てしまった相手にライバル心を抱く
一本道で後ろを走っている車が、二車線になった途端に自分の車を抜いて走り去る。それを追いかけて、交通トラブルになってしまったなんて報道は珍しくない。同じく、赤信号で停止線に並んだ隣の車よりも早く出発したいなんて人もいるのではないだろうか。
いったいなぜ赤の他人で、しかも今後二度と会うこともない相手にこんなにもイラッとしてしまうのだろうか。その理由を心理学者の内藤誼人先生は「視覚が大きく関係している」と語る。
「人間は視覚の動物です。相手が目で見えると途端に意識してしまいます。例えば、全国模試で名前だけしか分からない相手に負けるよりも、隣の席の友人に負ける方が悔しさは大きい。これは、相手を視覚で認識しているからなんです」
言われてみれば、横を見て車を確認したうえで抜かれたり信号で先に出発されたりした方が、普通に抜かれるよりもイラッとするかも。
「イライラしないためには、しっかりと前を見て運転すること。横にいる車を見てしまうと、負けたくないと思ってしまいがちです」
運転中にライバル心むき出しで隣の車と競ってしまうのは安全運転の面からもオススメできないが、実は社会においては悪いことばかりではないという。
競争心が強い男は仕事がデキる!?
「隣の車に負けたくないというのは、強い競争心の裏返しでもあります。競争心が強いということは、男性ホルモンが多く分泌されているということですが、ジョージア州立大学のジェームズ・ダブズが様々な職業の男性の唾液を採取して分析したところ、業界を問わずに成績がいい人ほど男性ホルモンであるテストステロン量が多かったそうです」
ちなみに、テストステロン量がいちばん少なかったのは牧師だったとのこと。確かに、牧師として成功するのに、競争心は必要ないからだろうな。
いくら仕事ができても、隣の車に競争心を抱いたり、スピードを出しすぎたりするのは社会人失格の危険な行為。その闘争心は運転以外の場所で生かすとして、ドライブ中にイラッとしたら神様に祈りを捧げて気持ちを落ち着かせましょう。
【取材協力(敬称略)】
内藤誼人(ないとう・よしひと):心理学者、アンギルド代表、立正大学客員教授。心理学を応用した実践的なノウハウに着目した著書多数。近著に『同性にモテる技術』 (中公新書ラクレ)、『人はなぜ、「そっち」を選んでしまうのか』(青春出版社)など