BMWグループとドイツの出版社ハッチェ・カンツ社が、3月末、BMWのアート・カーを網羅した初めての書籍「BMW Art Cars」の販売を日本の一部書店で開始した。

同書は1975年から登場したすべてのBMWアート・カーを豊富な写真と文章で解説するとともに、担当したアーティストのさまざまなポートレートとインタビューも掲載したアートブック。アンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタイン、デイヴィッド・ホックニーといった「天才」たちの創造プロセスの一端を知ることができる作りとなっている。

ちなみにBMWアート・カーというのは、世界的アーティストによるペインティングが施された特別なBMWのこと。フランス人のレーシング・ドライバー兼芸術愛好家が当時のBMW Motorsport責任者とともに、友人のアーティスト、アレクサンダー・カルダーにBMWのペイントを依頼したことが発端だった。カルダーがデザインしたBMW 3.0 CSLは、1975年のル・マン24時間耐久レースに参戦し、瞬く間に大人気となった。

以来、「自動車とアートの融合」というコンセプトをBMW社が引き継ぎ、前述のアンディ・ウォーホルなど17人の世界的アーティストがBMWアート・カーをデザイン。日本からは1990年、日本画家の加山又造がプロジェクトに招かれ、平安から続く日本の伝統技法「截金」をBMW535iの車体全体に施した見事なBMWアート・カーを制作している。

そんなこんなのBMWアート・カーのすべてを知ることができる本書は、BMWファンだけでなくアートファンにとっても大注目の一冊。全200ページで、148枚の写真を掲載。価格は4200円(税別)だ。取り扱い書店は東京の代官山 蔦屋書店と大阪のスタンダードブックストア 心斎橋店のみだが、今年5月6日までは六本木の森美術館ミュージアムショップでも購入できる。

BMWアート・カーを網羅した全200ページの書籍「BMW Art Cars」。貴重な写真のほか、レアなインタビューも掲載。価格は4200円(税別)

BMWアート・カーを網羅した全200ページの書籍「BMW Art Cars」。貴重な写真のほか、レアなインタビューも掲載。価格は4200円(税別)

友人の依頼により1975年、初のBMWアート・カーである3.0CSLを制作したアレクサンダー・カルダー(手前)。米国の彫刻家・現代美術家だ

友人の依頼により1975年、初のBMWアート・カーである3.0CSLを制作したアレクサンダー・カルダー(手前)。米国の彫刻家・現代美術家だ

M1 Group 4 Racing Versionをペイント中のアンディ・ウォーホル。5月6日まで六本木・森美術館のアンディ・ウォーホル展で展示されている

M1 Group 4 Racing Versionをペイント中のアンディ・ウォーホル。5月6日まで六本木・森美術館のアンディ・ウォーホル展で展示されている

日本からは1990年、日本画家の加山又造が参加。当時のE34型BMW535iを、截金(さいきん)と呼ばれる日本の伝統技法で見事に彩った

日本からは1990年、日本画家の加山又造が参加。当時のE34型BMW535iを、截金(さいきん)と呼ばれる日本の伝統技法で見事に彩った