今回のテーマ

-あなたにとっての“TYPE R”な車とは?-

 インテグラの販売完了によって途絶えていたタイプR。今回、4ドアセダンのシビックタイプRで復活した。
タイプRといえばホンダの技術と魂が込められた今では数少ないエモーショナルな車だ。
 速い車が好きなライターに、アナタが思うタイプRと呼べる車とは一体どんなモノなのか、
また新世代のシビックタイプRの走りの印象を聞いてみた

斎藤 慎輔

タイプRとは人にも車にも
割り切りと潔さを求めるもの


斎藤 慎輔さん●車両評価スペシャリスト
さいとう しんすけ
リアルスポーツでもミニバンでも
車両のキャラクターに沿った的確な評価ができる車両評価の達人

新型 シビックタイプR 走行シーン  「(鈴鹿の)130Rを180㎞/hで飛び込めないようでは許さん!」
 新型シビックタイプRの開発では、上からこんな言葉も与えられたそうだ。市販車で、そんな要求は初めてだったとも聞いた。
 いかにもタイプRらしい。つい先日、この新型シビックタイプRの試乗会がその鈴鹿サーキットでなされ、ボクはフルコースを50ラップ近くほども走る機会を得たのだが、乗れば乗るほどに、その安心感を備えた速さとタフさに感心させられ、これは、まさにドライビングマシンだと感じた。
 実はタイプRも、日本仕様と欧州仕様では、その在り方自体からして大きく異なっている。日本仕様のタイプRは、これまでも、そして今度のシビックでは特に、サーキットで速いことを徹底して重視してきている。それは、日常領域での乗り心地や遮音などの快適性を犠牲にして得られたものだから、本来、公道を走るための市販車で、そこまでする意味がどこにあると言う人もいるし、理解はする。
 歴代、どのタイプRでも、短いピッチで揺すぶられる乗り心地や、まともに室内に入り込むロードノイズなどは、正直、疲れている時などにはたまったものではなかったが、サーキットで解き放つと、なんたる快感と心地良い緊張感に変わっていくことか。この瞬間に、多くを許せてしまうのだ。
 この割り切りと潔さを、車にも人にも求められるのがタイプRであると思って新型 シビック タイプR インテリアいる。理想はもちろん、サーキットで極めて速く公道でも気持ち良く楽しいことだが、これはイコールではなかなか結ばれないもの。
 歴代タイプRも、飛ばせば見事なエンジンフィールやレーシーな感覚に魅了されたが、日常は半ば諦めの境地。ここも快感に変われば最高だが、それは中途半端なものを生み出すことになり兼ねないので、そこでの望みは、(見た目を)もう少しカッコ良くしてほしいということに尽きる!