■今回のお題■

-今、アナタの思うスーパーカーの条件-

マルチパフォーマンススーパーカーというフレーズで登場した日産GT-R
スーパーカーという言葉は70年代後半にフェラーリやランボルギーニなどの
ハイパフォーマンスカーに対して使われていた
今、スーパーカーという言葉が当てはまる車とはどんな車なのかをライター2人に聞いてみました
森口 将之

日本を代表するスーパーカーは
8輪電気自動車のエリーカ

森口将之さん●モータージャーナリスト
●もりぐち まさゆき
車雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身
フランス車に特に強いライター

ファントム ドロップヘッドクーペ 木目張りホロカバー ロールスロイスのファントム ドロップヘッドクーペにきのう乗った。ホロのカバーが木目張りで、ボンネットはスティール地肌を見せ、ドアが前開きで、5000万円以 上するアレだ。もう、なにからなにまで異次元。試乗を終えたらスタッフから「顔コワ バッテますよ」と言われてしまった。
業界歴20年以上の人間の平常心を、いとも簡単に失わせてしまう。これをスーパーカーと言わずしてなんと言えばいいのか? 今までのスーパーカーは、「スピードの芸術品」だった。速いだけ、カッコいいだけじゃダメ。デザインにしてもメカにしても、アートでありドリームであることが必須条件。でもそれだけじゃ、今後は「ナウい」や「フィーバー」と同じ運命をたどると思う。現実に一部じゃそういう扱いを受けている。つまり死語の世界に向かいつつある。

もうスピードだけにこだわる時代じゃない。ロールスのドロップヘッドみたいにとびきりラグジィなのとか、リッター100㎞走るウルトラエコなのとか、それ以外の夢を追い求めた車も、スーパーカーと呼ぶべきでしょう。でもコストだけは全然追求しなくてよし。価格を度外視して超絶性能を実現するのがスーパーなわけだから。 ファントム ドロップヘッドクーペ フロント そういう意味でいくと、前回のモーターショーに展示されたエリーカ、慶応大学が開発した400km/h近く出る8輪電気自動車こそが、いまの日本を代表するスーパーカーだと思う。希望価格が3000万円というんだから。それに比べて今回の「ジャパニーズスーパーカー」は…。ハードには見るべき点も多いけど、自分からスーパーカーと公言するのはイカンでしょ。それに代わる新しい言葉を与え、ユーザーが「いやこれはスーパーカーだ!」と否定するところから、ストーリーがスタートするんじゃないだろうか。

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