■今回のお題■

-後席シートベルト着用率8.8%どう思う?-

来年から着用が義務化される後席のシートベルト
罰則規定のあるフロントシートの着用率は高いものの、後席はわずか8.8%にとどまっています
今後この数値を高めるためには、ただ罰則を決めればいいのでしょうか
着用の必要性を訴えるにはどうすればいいのかを2人のライターに聞いてみました
岩貞 るみこ

シートベルトをしていないとどうなるか
まずその惨状を知ってほしい

岩貞るみこさん●エッセイスト/モータージャーナリスト
●いわさだ るみこ
国交省安全基準検討員。警察庁UTMS懇談会委員を務めているジャーナリスト
チャイルドシートにも造詣が深い

衝突シーン 先日、日本医科大学千葉北総病院救命救急センターの益子部長に、ある事故データを見せていただいてぶっ飛びました。3列シートに座る6人のうち、シートベルトをする運転席と助手席以外のほとんどが即死。亡くなった人は脳挫傷、内臓破裂、そして車外放出と血の気が凍る状況です。車外放出ゆえに事故現場は高速道路かと思ったら、なんと一般道。車速が低くてもオフセットで衝突すれば車はスピンし、人は簡単に車外に放り出される。そして車内にとどまれたとしてもシートベルトなしでは、車内でシェイクされ身体は命を奪われるほど激しく損傷するんですよ。
「車内で一番危ないのは助手席」。そんなデータが警察庁(か、どこか)から発表されたのは20年近く前。その数字を見てほとんどの人が『リアシートなら安全』と思ったはず。でも知っています? その数字ってリアシートに人が乗っていない状態も分母に入っているっていうことを。リアシートに人がいなければ負傷者数がカウントされるわけもない。リアシートの危険性は知らされることもなく現在に至っているわけです。

ここで改めて言いますが、リアシートは危険です。装着していなければ自分が傷つくだけでなく、ぶっ飛んだ自分が前席に座っている人をも傷つけるのです。その目を見張る惨状はJAFの動画サイトhttp://www.jaf.or.jp/library/index.htmを見ていただければ一目瞭然です。 リアシート シートベルト 罰則は定めるべきでしょう。そして警察の取り締まり強化(今は警察関係者ですら、リアシートでシートベルトをしていない状況だし)。着用率を上げるためには、やはりこれしかないと思います。罰則強化はリアシートの危険性を伝える効果的な手段の一つ。大切なのはきちんと情報を伝え、一人でも多くの人が着用し、命が守られることだと思います。