■今回のお題■

-後席シートベルト着用率8.8%どう思う?-

来年から着用が義務化される後席のシートベルト
罰則規定のあるフロントシートの着用率は高いものの、後席はわずか8.8%にとどまっています
今後この数値を高めるためには、ただ罰則を決めればいいのでしょうか
着用の必要性を訴えるにはどうすればいいのかを2人のライターに聞いてみました
松下 宏

子供にシートベルトの必要性を教えるのは親の使命
しかし法改正前に自動車メーカーの姿勢を正したい

松下 宏さん●自動車評論家
●まつした ひろし
中古車相場に精通し、購入ガイドやローン・保険など
車に関するお金や経済情報にも詳しいライター

シートベルト 最近発表された後席シートベルトの装着率調査では、10%以下のさんたんたる数字が記されていた。この数字を見ると、取り締まりによって強制するしか装着率を上げる道はないのではないかと思えてしまう。フロントのシートベルトも結果的には法律による強制によって装着率が高まったからだ。でもシートベルトは本来、自分の生命を守るために自分で装着すべきもの。ドライバーと乗員の意識を高めていくことのほうがより重要だ。
私自身は、小学生の子供を後ろに乗せるとき、運転席に座ったままでエンジンをかけずに黙って待っている。夏は暑いし、冬は寒いのですぐにでもエンジンをかけたいが、後席の子供が自分で気づいてシートベルトをするまでは絶対にエンジンをかけない。小学校の低学年からこれを繰り返していたことで、4人の子供はいずれも(少なくとも私の)車に乗ったらすぐにシートベルトを装着するようになった。小さいときからシートベルトを習慣づけていかないことには、なかなか装着率は高まらないと思う。

後席でもきちんとシートベルトを装着していないと事故のときに頭部をどこかにぶつけたり、窓ガラスが割れて車外に放出されて死亡することなど、これらをいくら口で説明してもなかなかシートベルトの装着につながらない。 チャイルドシート衝突実験 しかも日本では自動車メーカー各社が、海外向けに売る車には後席中央にも3点式シートベルトを装備していながら、同じ車種を国内で売るときには2点式にしてしまうような恥知らずな商売を平気でやっている。
今年後席シートベルトの装着を義務づける法案が成立し、2008年には施行されるこの時期に、ユーザーの意識を高める前にメーカーの姿勢を正していかなければならないというのは、なんとも情けないことである。