今回のテーマ

-あなたにとっての“TYPE R”な車とは?-

 インテグラの販売完了によって途絶えていたタイプR。今回、4ドアセダンのシビックタイプRで復活した。
タイプRといえばホンダの技術と魂が込められた今では数少ないエモーショナルな車だ。
 速い車が好きなライターに、アナタが思うタイプRと呼べる車とは一体どんなモノなのか、
また新世代のシビックタイプRの走りの印象を聞いてみた

西川 淳

ホンダの『R』とは心底速く
走らせたいという意思の宣言


西川 淳さん●自動車ライター
にしかわ じゅん
フェラーリとランボルギーニの2台のスーパーカーを所有する
世代の夢を叶えたライター

新型シビック タイプR 走行シーン  個人的にはRタイプ('50年代のベントレーコンチネンタル)のほうが響くけれど、タイプRといえばやっぱりホンダのリアルスポーツラインを想像するし、中でもNSXタイプRのイメージが一番強いですね、ボクはその後のちっこいタイプRよりも。
 レーシングの頭文字だけあって、車名にRがつくと、どこか勇ましく上物気配が色濃く漂ってきますから、名前の響きを整えかつ上級に見せかけるために使われてしまったという歴史も多々あります。NSXのそれは、そんなこけおどしとは全く無縁で、速く走らせるという意思を心底貫いたという宣言の(タイプ)Rなわけです。だからこそ、チタンシフトノブの感触やハードボイルドなインテリア、硬く吸いつく乗り心地にむせび泣くエンジンサウンドといった、一つ一つの印象が、鮮明に蘇ってくる。そんな車、今の時代にそう多くはありません。
  もちろん、インテグラやシビックのタイプRもほかに比べりゃ“真剣”です。けれど、スタイリングを含めて、ちょっと子供っぽいというか、内包するエンジンやその他メカニズムの素晴らしさを代弁するには、初期のインテRを除いて、全体像がちょっとお粗末だった。単なる走り屋さんにはいい車だったろうけれど、趣味と実用を兼ねて新型シビック タイプR リアスタイル愛でるには、速いという機能が目立ちすぎなんですね。
 新しいタイプR、セダンベースです。欧州向け3ドアベースのほうが格好はいいけれど、オトナっぽいという点ではセダンもアリでしょう。きっと、ベラボーに速くなっているでしょうから、性能的に心配してません。むしろ、NSXのように心に響く+αがあるのか、そこに車好きを狂わせるテイストがあるのかどうか。でかい羽根がもう既に×ですけどね。