かわいいクルマを描きたくて! 漫画『マリーマリーマリー』制作秘話|Carsensor IN MY LIFE


往診先のライブハウスで出会ったミュージシャンの森田と、直感的に結婚した鍼灸師のリタ。リタの愛車であるローバー ミニに乗ってキュートでドキドキな2人の結婚生活を描くケッコンコメディ漫画『マリーマリーマリー』が全6巻で完結した。著者の勝田文さんに作品の制作秘話を聞いた。

描く漫画から垣間見える“勝田文らしさ”

ローバー ミニ

漫画の制作現場は、ある種、独特だ。漫画家と担当編集者が打ち合わせを重ね、物語を決める。『マリーマリーマリー』では、勝田さんの“絵になるクルマを描きたい”という思いからスタート。

「クルマを描くのが好きで、作中にクルマが出るだけでカッコいい」というのが理由だった。そこからキャラクターの設定や、それぞれのエピソードを考えていった。

「まず、クルマに乗って移動できる職業にしようと思いました。そしたら、当時の担当さんがちょうど鍼灸にかかっていて。鍼灸師は往診をするから、物語にもクルマを自然に出せる。だからリタは鍼灸師になりました(笑)。で、肝心のクルマはローバー ミニにしようと、前から決めていました。シルエットもかわいいし、女性の読者も好きだろうと考えたんです」

勝田さんとミニの出会いは、彼女の友人がきっかけ。

その友人は20年以上同じミニに乗リ続け、エンジンや内装に加え、ミッションもオートマからマニュアルに換装した筋金入りのオーナーだ。

作中のミニは友人のクルマと同じ形の色違い。描く際は、友人のミニとの付き合い方を参考にしたという。

ローバー ミニ

「実は、ミニは『マリーマリーマリー』における第三の主人公。エピソードには必ず出すように心がけていました。自分で動いたりはしませんが、おとなしくてかわいい中性的なキャラクターというイメージで描いていました。たまに一言しゃべりますが、そこは漫画ということで(笑)」

ミニの話をするとき、勝田さんは楽しそうで、ミニへの思い入れが伝わってくる。

「自分のクルマじゃないのにミニとの思い出はいっぱいあります。学生時代は、友人がお世話になっていたミニの専門ショップが主催したイベントにも参加しました。ミニのオーナーさんが集まって、20台くらいでキャンプに行ったんです。3人くらいでミニに乗って、私は後部座席でガタガタと揺られていました。道中、止まってしまった他のミニをショップの人が直したりとトラブルも含め、おもしろかったです」

ローバー ミニ

そんな楽しかった思い出を反映してか、作中にはドライブシアターやカーフェリーなど、クルマにまつわるエピソードも多数登場。勝田さん自身が体験・取材したことが作品に生かされている。

カーフェリーの取材では、名古屋港から2日かけて北海道へ。作中ではリタと森田が2等室だったのに対し、勝田さんはそれよりも“ちょっといい部屋”にしたという。

「北海道では、本当は平野の長い一本道を走りたかったのですが、道南を取材したので、その夢は叶いませんでした。いつか、地平線まで続く道をスポーツカーで走ってみたいですね」

ローバー ミニ

車内での会話シーンも印象的だ。移動シーンも丁寧に描かれ、クルマがあることで物語が広がっていく。

そのことを勝田さんに尋ねると「クルマがメインの作品でもあるので、そういうシーンが多くなりました。場面が必然的に変わるので、絵的に飽きさせず話も動かしやすい、という漫画的な理由もあります」と教えてくれた。

ローバー ミニ

勝田さんがクルマ好きになったのは、お父さんの影響。自動車関連企業に勤めており、クルマとの接点が深い。当然クルマ好きで、昔からの憧れだったランドクルーザーに乗っているという。

そんな父の背中を見て育った勝田さんも、ランドクルーザーのような無骨なクルマが好みだそう。

そんな勝田さんの愛車はスズキ ジムニー。買ったのは2~3年前で、それまではお兄さんが乗っていたアルトやミラに乗っていた。

いざ自分で買うとなったときも最初は軽自動車のアルトを見ていた。しかし、販売店に置いてあったジムニーに一目ぼれ。試乗してみた結果、ジムニーを購入することにした。

愛知県に住む勝田さんにとって、クルマは日常の足。遠出をすることもあるが、普段は買い出しのときくらいしか乗らない。

昼夜逆転した生活を送る漫画家のイメージとは異なり、規則正しい生活を送る勝田さんだが、ネームなどが上手く描けずに徹夜してしまうこともある。

そんなときは気分転換にお風呂や散歩、そして少し大回りして買い物に行く“ぷちドライブ”をするという。

トヨタ ランドクルーザー40

日常的にクルマに接し、クルマを描くことを楽しむ勝田さん。最後に、気になる次回作について聞いた。

「次回作も今までどおり、読んでいて楽しい漫画を描きたい。漫画でくらい楽しい世界を読みたいじゃん! って思っているので(笑)。でも、次は結婚していない女の子がいいかな。これからこの子がどうなっていくんだろう、というのを描いてみたいです」

クルマは登場するのかと気になって尋ねると「決めていませんが、ランドクルーザーを描いてみたいですね」と返答。そして「実は、ちょくちょくランクルは作品に登場させています(笑)。『マリーマリーマリー』でもランドクルーザー40を描きました。やっぱりランクルは絵になりますね!」と続けた。

もしかしたら次回作でも、はつらつとした女の子とクルマが紡ぐ優しい物語を読めるかもしれない。

かわいいクルマを描きたくて! 漫画『マリーマリーマリー』制作秘話

絵になる旧車と実用的なクルマ。乗りたいのは、どっち?


実は、読者から『マリーマリーマリー』を読んで「ミニに乗りたくなりました」というお手紙をいただきました。すごくうれしかったのですけど、ミニに乗るのは覚悟が必要です(笑)。個人的にはデザインだけで選ぶならローバーミニやランドクルーザー40。実用的なクルマなら、今乗っているジムニーがかわいいと思います。

文/山口智弘 イラスト/勝田文

PROFILE

勝田文:女性漫画家。1998年、月刊女性漫画誌「YOUNG YOU」にてに『晩夏』でデビュー。代表作は『あのこにもらった音楽』『ちくたくぼんぼん』など。今年8月に『マリーマリーマリー』が完結。集英社より全6巻で販売中。