車は単なる移動の道具ではなく、大切な人たちとの時間や自分の可能性を広げ、人生をより豊かにしてくれるもの。車の数だけ、車を囲むオーナーのドラマも存在する。この連載では、そんなオーナーたちが過ごす愛車との時間をご紹介。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?

▲中華街で好物の肉まんをガブリ。休みの日は車を磨いて、地元でのドライブを楽しむ佐藤翔さん ▲中華街で好物の肉まんをガブリ。休みの日は車を磨いて、地元でのドライブを楽しむ佐藤翔さん

10年以上たっても変わらないお気に入りポイント

28歳の佐藤翔さんは免許を取得した直後から10年以上、日産 シーマに乗り続ける。

乗り替えたいと思ったことは、これまで一度もないそうだ。

購入のときに決め手となった独特の丸みを帯びたデザインと、高級車ならではのきめの細かい作りが、今でも所有を続ける理由になっている。

購入時はホイール以外、ノーマルの状態だった。

整備士だった佐藤さんは、そこから「人とかぶらない車」を目指して少しずつ手を加えていった。

純正にはないスモークガラス仕様のサンルーフや、ピラー部分に追加したサイドミラーなど、普通のシーマには付いていないものを付け加えて楽しんでいる。

「究極の自己満足をしようかなって」

そういった細かい改造は、人に気づかれなくてもいいのだそうだ。

 

▲見えない部分こそ美しくという元整備士らしい美学。お気に入りのV8エンジンもきれいに手入れがされている ▲見えない部分こそ美しくという元整備士らしい美学。お気に入りのV8エンジンもきれいに手入れがされている

乗っているより眺めている時間が好き

「休みの日は自分でいじるか、洗車をしてます。長いときは気づくと日に5時間くらいやっちゃってますね」

「そんなに磨いたらすり減るぞ」なんて地元の仲間にからかわれたりもするが、おかげで今でもボディはピカピカだ。

洗車をしていると近所の人から「新車みたいですね」なんて声をかけられることもある。そのたびに思わずニヤついてしまうそうだ。

車を磨き上げたあとは、ちょっと引いた場所から眺める。

お気に入りは右斜め後方。

佐藤さんにとって心落ち着く大切な時間だ。
 

▲屋外保管ではあるが、毎週欠かさず洗車を行っているおかげでボディはピカピカ ▲屋外保管ではあるが、毎週欠かさず洗車を行っているおかげでボディはピカピカ
▲洗車が終わればシートを倒し、ルーフを開けてぼんやりくつろぐことも。家のソファーより運転席のほうが落ち着く ▲洗車が終わればシートを倒し、ルーフを開けてぼんやりくつろぐことも。家のソファより運転席の方が落ち着く

いつもの仲間といつもの時間を

今は仕事が忙しく、なかなか遠出もできない。

まとまった時間があまりとれないので、休みの日は車好き数人で地元を走る。

そんな仲間たちとは、ナンバープレートの数字を「404」で揃えている。

「“紳士”の意味で、みんなで合わせて付けたんです。走りが好きとか輸入車乗りとか、楽しみ方はみんな違うんですが、一緒に集まったり走ったりするのは昔から変わらず楽しいですね」

少し古くなったものにも敬意を払い丁寧に乗り続け、仕事に責任をもち、仲間と地元を大切にする。

ナンバープレートで掲げるメッセージが、佐藤さんにぴったりはまって見えた。
 

▲フロアマットはあえて発売当初のものを使用。後席も合わせて10万円した逸品はヘタリが一切ない ▲フロアマットはあえて発売当初のものを使用。後席も合わせて10万円した逸品はヘタリが一切ない

どんなクルマと、どんな時間を?

自分を写す鏡のごとくピカピカのシーマと過ごす時間

4代目となる日産のパーソナルセダンのフラッグシップモデル。全長が5mとさらに大きくなったボディに、ボディ形状と一体化した大型のヘッドランプなどの個性的なエクステリアをもつ。

インテリアではソフトで立体的なインパネや明るい色使いが開放感を与えており、名実ともにワールドクラスの高級セダンへと生まれ変わったモデルだ。

エンジンは4.5LのV8と、伝統の3LのV6ターボの2種類。ミッションはFRが新開発のマニュアルモード付き5AT、4WDは4ATとなる。道路の傾きや横風時の操作を助ける世界初のレーンキープサポートシステムがオプションで用意される。
 

▲ダーク系の色は、小傷などが目立ち、きれいに維持することが難しい。しかし佐藤さんのシーマは曇りひとつなくピカピカだ。その輝きは、オーナーがどれだけこの車を愛しているのかわかるバロメーターになっている ▲ダーク系の色は、小傷などが目立ち、きれいに維持することが難しい。しかし佐藤さんのシーマは曇りひとつなくピカピカだ。その輝きは、オーナーがどれだけこの車を愛しているのかわかるバロメーターになっている
text/今泉翔太(編集部)
photo/三浦孝明