車は単なる移動の道具ではなく、大切な人たちとの時間や自分の可能性を広げ、人生をより豊かにしてくれるもの。車の数だけ、車を囲むオーナーのドラマも存在する。この連載では、そんなオーナーたちが過ごす愛車との時間をご紹介。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?

▲地元の海岸で夕日に照らされた増井さん。キャンプなど遠出をする際も、たいていは荷台にはバイクを載せていく▲地元の海岸で夕日に照らされた増井さん。キャンプなど遠出をする際も、たいていは荷台にはバイクを載せていく

バイクを運べる車がいつもの条件

フォトグラファーの増井貴光さんの被写体は、アメリカの大型バイクのハーレーダビッドソン。

中でもライフワークとして撮り続けているのが、映画『世界最速のインディアン』の舞台としても知られる、ボンネビルスピードウェイという高速レースだ。

レースに出ているのは「白人の屈強なオジサンばかり」という中、増井さんは少ないアジア人の一人として長年にわたり撮影を続けている。
 

▲アメリカ、ユタ州にある広大な塩湖跡の平原(ソルトフラッツ)で行われるボンネビルスピードウェイ。増井さんはこのレースの模様を収めた写真集『bonneville the photography of land speed racing on salt flats』を上梓した ▲アメリカ、ユタ州にある広大な塩湖跡の平原(ソルトフラッツ)で行われるボンネビルスピードウェイ。増井さんはこのレースの模様を収めた写真集『bonneville the photography of land speed racing on salt flats』を上梓した
▲時には自らバイクを運転しながら撮影することもあるという。仕事、プライベートに関わらずバイクは欠かせない道具。荷台に乗せるのは250ccのホンダ XR250 ▲時には自らバイクを運転しながら撮影することもあるという。仕事、プライベートに関わらずバイクは欠かせない道具。荷台に乗せるのは250ccのホンダ XR250

プライベートでもバイク好きの増井さんは1800ccハーレーをはじめ、複数の二輪車を所有している。

だからこれまで所有してきた車は、ダッジ ダコタやトヨタ タンドラなどバイクを運ぶことができるピックアップトラックばかりだ。

「この車を初めて見る人にはデッカイですねと言われますが、アメリカだとこのサイズは中型、下手したら小型かも。それでも中型バイクは荷台に乗せられます。おまけに後部座席まであり、キャンプ道具を詰め込むこともできるんですよ」

貴光さんが仕事で車を使用しない日は、パートナーの結葉さんが日常の移動手段として使っている。

結葉さんが車の横に立つとより一層大きさが際立ち、よく運転ができるなと感心してしまう。

「家の周りも道が狭い場所もあり大変ですが、実は私、海上タクシーの仕事をしていて。船の取り回しに比べたら楽かなって思ってます」

ハイパワーで剛性感の高いエクスプローラーの運転は、複雑な条件が入り組んだ海上を走るよりも断然安心感は高いそうだ。

ハーレーを撮るカメラマンと、クルーザーのキャプテン。車と同じく、何ともアメリカンな組み合わせだ。
 

▲V8エンジンを積むエクスプローラーは、バイクと撮影道具を乗せてもまったくパワー不足感はない ▲V8エンジンを積むエクスプローラーは、バイクと撮影道具を載せてもまったくパワー不足感はない

地元の仲間も気づけば寄ってくる

貴光さん自身はバイク乗りのため、もう少し操作感のある車が好みのようだ。

「仕事で撮っているハーレーのコンセプトもそうなのですが、ドライバー自身が操る領域が広い車が好きなんです。この車はハイパワーなエンジンを積んでいる割に、かなり静かでおとなしさすら感じます。彼女が乗るには安心なんですけどね」

そんな結葉さんへの気遣いは周りの人にも向けられ、貴光さんの周りには自然と人が集まる。

撮影中も何度か貴光さん(正確には大きな愛車)に気づいて、地元の仲間が駆け寄ってきた。

週末には近所の仲間と自宅でバーベキューをすることもあるというが、知り合いを呼んで大勢でやっても買い出しはもちろん1台で済んでしまう。

「本当はもっとアメ車的なドロドロ感のある車が好きなんですけど、お互い仕事に使うから動かないのも困るし。バイクも荷物も積めてタフに走ってくれるので、なんだかんだ気に入ってるのかもしれません」

バイクを積んで全国を走り、その時間を共有する。

夕日に照らされた2人は、その時間をとても大切にしているように見えた。
 

▲この日のデニムとシャツはいずれもアイアンハートのもの。ハーレー乗り御用達のブランドで、バイクの運転に適した作りになっている ▲この日のデニムとシャツはいずれもアイアンハートのもの。ハーレー乗り御用達のブランドで、バイクの運転に適した作りになっている

どんなクルマと、どんな時間を?

バイクにキャンプになんでも積めるエクスプローラー

1990年にデビューした初代モデルが大ヒットして以来、フォードのSUVをけん引してきたエクスプローラーの4代目モデル。ボディを伝統的なフレーム構造から軽量なモノコックボディへと変更。燃費性能が従来型から20%向上した新開発の3.5L V6エンジンを採用するなど、20年の歴史のなかで最も大きな変革を遂げたモデルである。

エクステリアは台形フォルムのフロントマスクなど、一目でエクスプローラーとわかるデザインが採用された。4WDシステムには、路面状況に最適な走行モードを自動的に設定する、テレインマネージメントシステムが備えられている。
 

▲増井さんのライフスタイルの中心にはバイクがある。その楽しみを最大化させるための道具が愛車の役割だ ▲増井さんのライフスタイルの中心にはバイクがある。その楽しみを最大化させるための道具が愛車の役割だ
▲ピックアップといえば国産車でも昨今ハイラックスがラインナップに追加された。しかし、増井さんのように本場アメリカのピックアップを求めるファンは多い。だが、仕事、バイク、スタイルまでどっぷりアメリカンな増井さんのような熱いオーナーはそうそういないだろう。道具としての実用性を求めつつ、そこに一本筋の通ったスタイルが確立されている ▲ピックアップといえば国産車でも昨今ハイラックスがラインナップに追加された。しかし、増井さんのように本場アメリカのピックアップを求めるファンは多い。だが、仕事、バイク、スタイルまでどっぷりアメリカンな増井さんのような熱いオーナーはそうそういないだろう。道具としての実用性を求めつつ、そこに一本筋の通ったスタイルが確立されている
text/編集部 今泉翔太
photo/小林司