見た目はほぼウェイク!? の商用車にも試乗してみた【ウェイク編・東京スマート軽ライフ】
2016/11/18
自動車ライター、塩見智さんが軽自動車に約1ヵ月間乗り、東京での軽ライフをリポートする「東京スマート軽ライフ」。高級車が溢れる東京での軽ライフを赤裸々につづっていく。今回はウェイク編の第2回。
とにかく広い! 何でも積めそうな荷室
東京スマート軽ライフも大詰めを迎えた。今回はダイハツ ウェイクの後編。後編はウェイクに関係の深い、長らく気になっていてようやく試乗が実現した車を紹介したい。その車とはハイゼットキャディー。「ハイゼット」はダイハツの老舗商用車ブランドだが、ハイゼットキャディーはその最新版にして、実態はウェイクの商用車版だ。
見た目はほぼウェイクと一緒。乗用車のウェイクは左右のヘッドランプに挟まれた中央部分が立派なメッキのガーニッシュで飾られる他、フロントバンパー部分もボディ同色に塗られ、大きなフォグランプが備わるなど、派手な外観なのに対し、ハイゼットキャディーは質素。ヘッドランプに挟まれた部分はただのボディパネルでダイハツエンブレムが置かれるだけ。フロントバンパー部分はブラックでフォグランプもなし。その他、ウェイクがアルミホイールなのに対し、ハイゼットキャディーは鉄ホイールだ。
テスト車はトニコオレンジメタリックという商用車らしからぬド派手なボディカラーで塗装されているため、謎の華やかさを醸し出しているものの、基本的にハイゼットキャディーは地味な車だ。ただし、かつての商用車は豪華装備だけでなく、安全装備まで省かれていたものだが、この車には、軽自動車としては最も進んだ安全装備といえる「スマートアシストⅡ(衝突回避支援ブレーキ機能、衝突警報機能、車線逸脱警報機能、誤発進抑制制御機能<前方&後方>、先行車発進お知らせ)」をすべてのグレードで選ぶことができる。
また、テスト車のオレンジを含む6種類ものボディカラーが設定されていることも商用車としては珍しい。このことからわかるのは、この車は税制上は商用車に分類されるが、実際には商用車としてだけでなく、広い室内空間をレジャーに活用するような使われ方も想定しているのだろうということ。商用車はモノをいっぱい積んで経済的に走るのに適しているわけで、モノをいっぱい積む必要があるレジャーにもやっぱり向いている。ハイゼットキャディーはそのような使われ方をある程度狙っているのではないか。
ウェイクもハイゼットキャディもパワー不足は心配なし
ウェイクは軽自動車規格を守ったうえでどこまで室内空間を稼ぐことができるかに挑戦したような車。商用車に転用したってそのスペースは武器になるのだ。なおかつハイゼットキャディは潔く2シーターのみの設定。実際、前席から後ろを振り返ると、左右はともかく天地には呆れるほどのスペースが広がっている。半面、ターボ付きの4WDを選ぶと154万4400円と、商用車といってもまったく安くない(笑)。
ウェイクとハイゼットキャディーに乗っている期間、仕事に向かうときでもどことなく気分が上がった。背後の広大な室内空間に何だって積み込むことができる、どんな遊びにも対応できる、何往復かすれば引っ越しだってできるかもしれない、寝袋を積んでおけば車中泊も……などと考えるとワクワクしてくるのだ。残念ながら、実際にこの空間をいっぱいにすることはなかったけれど、いつでも遊びに行けるぜと思い続けるだけで何回か行ったのと同じ効果を得られた(笑)。
そういえば前回の最後、「次回はウェイクの走行性能などを報告したい」と書いたんだった。ウェイクもハイゼットキャディーも、ターボ付きだったのでパワー不足を感じることはなかった。軽自動車のATのほとんどに採用されているCVTというトランスミッションは、大パワーのトランスミッションには向かないが、小さなパワーをロスなく路面に伝えるには適している。そのため、空気抵抗の面でも重量の面でも軽自動車としては最も不利な部類に入るウェイクやハイゼットキャディーでも不満なく走らせることができた。ただ、体感的なパワーがターボの6掛けになってしまう自然吸気版を選ぶなら、使いたい状況(載せたい荷物を実際に載せた状態とか)で試乗して大丈夫かどうかを確かめることをオススメする。
【筆者プロフィール】
1972年、岡山県生まれ。自動車雑誌編集部を経て、フリーランスの自動車ライターへ。軽自動車好き。SUV好き。「カーセンサーnet」をはじめ、「GQ Japan」「GOETHE」「webCG」「carview!」「ゴルフダイジェストオンライン」などにて執筆中。
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