スズキ ツイン▲軽自動車の中でも超小さなモデルが、今回紹介するスズキのツイン。当時は不人気でしたが、今の時代にはぴったりのモデルではないでしょうか?

超小型車登場もまだ買えない! それならスズキのツインがオススメ!

政府が中心となって実証実験が行われてきた、超小型モビリティ。昨年末には、トヨタから超小型EVのシーポッドというモデルが、企業や自治体へ限定販売が開始され、いよいよ現実味を帯びてきました。

とはいえ、シーポッドは165万円~という価格や電気自動車であることで、なかなか一般ユーザーが気軽に手にするという点では難しいとも言えるでしょう。

しかし、このコロナ禍においては、公共交通機関を使っての移動もはばかられますし、かといって自転車やバイクでは天候の影響を受けやすいというデメリットもあります。

そこで、中古車でチョイスできるパーソナルモビリティ的なモデルはないものかとチェックしてみると、ありました! それこそが、2003年にスズキがリリースした「ツイン」という軽自動車です!
 

スズキ ツイン▲今回紹介するスズキ ツイン。さながら昨今のパーソナルモビリティをほうふつさせるものがあります

小さくて小回りは軽トラ並み! ガソリンとハイブリッドをラインナップ

このツインは、1999年に開催された第33回東京モーターショーで「Pu3コミュータ」という名前で展示されたコンセプトモデルの市販車版で、見た目からも分かるように2人乗りのシティコミューターです。

全幅こそ一般的な軽自動車と同じ1475mmですが、全長は2735mmとなっており、一般的な軽自動車の3395mmに比べると660mmも短くなっています。

その結果、最小回転半径は小回り性能に秀でている軽トラック並みの3.6mを実現しており、狭い範囲を移動するのにもってこいの車両なんです。

また、非常に短い全長となっていますが、リアはハッチバックではなくガラスハッチとなっており、高いボディ剛性を持ち合わせている点も特徴的。

使い勝手の面ではハッチバックには劣りますが、そもそもツインのトランクスペースは、かなりミニマムなので、買い物の荷物の定位置は助手席となることがほとんどですから、そこまで気にならないハズ。

実は助手席がベッタリ倒れるので、意外と長物も積める点もGOODです。
 

スズキ ツイン▲後ろから荷室へは、このようにガラスハッチからアクセスします
スズキ ツイン▲助手席はほぼ水平に倒すことができます

搭載されるエンジンは、同時期のスズキの軽自動車に多く採用されていた660ccのK6A型が採用されていますが、特筆すべき点としてはそこにモーターをプラスしたハイブリッド仕様もラインナップしていたという点です。

ただし、搭載されるバッテリーは一般的なハイブリッド車とは異なり、バイク用の鉛蓄電池を改良したものを採用。

それをトランクスペースに敷き詰める、というややアナログなもので、トランクスペースがほぼゼロになっただけでなく、価格もガソリン仕様の倍以上ということもあってほとんど売れませんでした。

なお、組み合わされるミッションは、ガソリンモデルのベースグレードに用意された5速MTか上級グレードに用意された3速AT、ハイブリッドモデルが全車4速ATとなっていました。

今時3速ATで通用するの!? と思われる人もいるかもしれませんが、近場を走行するシティコミューターとしては、必要十分な実力を持ち合わせており、軽量という美点も見逃せないポイントなのです。
 

スズキ ツイン▲インテリアは超シンプル。ですが、ちょっとそこまで的な使い方なら必要十分です

およそ3年弱の販売期間にもかかわらず100台以上の掲載が

残念ながら新車当時は、パーソナルモビリティの必要性がそこまで認められていなかったこともあり、わずか3年弱で絶版車となってしまったツイン。

しかし、現在はその価値が再評価されつつあるのか、執筆時点の掲載台数は116台と意外にも多い印象です。

なお、ほとんどがガソリンモデルであり、ハイブリッドはわずか4台。どうしてもハイブリッドにこだわるという人以外は、無難にガソリンモデルをチョイスした方がよさそうです。

ロアグレードにのみ設定されていた、MT車に関しては17台と少なめですが、マニアックな需要があるためか総額40万~60万円が中心と高めをキープ。中にはターボエンジンを換装した個体も存在しています。

なお、MTがあるロアグレードにはエアコン、パワステが備わらないグレードも存在していたため、MT車を狙う際は忘れずにチェックしておきましょう。

一方のガソリンモデルのAT車は、総額20万円台から見つけることができ、総額40万円台であれば10万km以下の個体も見つけやすいといった状況です。

元々、新車価格も70万~80万円台だったことを考えると激安とは言えませんが、唯一無二の個性をもったシティコミューターが、この価格で手に入ると考えれば高すぎるということもないでしょう。

もしかすると再評価され、価格が上昇に転じる可能性もあるので、気になる人は今のうちに状態の良い個体を購入することをオススメします!
 

▼検索条件

スズキ ツイン(初代)×全国
文/小鮒康一、写真/カーセンサー、スズキ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。