定年後の新生活にオープンカー。自由なクルマ選びが暮らしを変えた|Carsensor IN MY LIFE


オープンカーに乗りたいと思うことがある。鮮やかな太陽の下で颯爽と走りたい。そんな憧れを憧れで終わらせなかったのが、神奈川県在住の新家勝さん(68歳)と愛知県在住の大矢日義さん(69歳)だ。2人はオープンカーのある暮らしをゆったりと楽しむ。

この物語は、取材を通して聞いた彼らの体験をベースに1つにまとめたもの。クルマにまつわる、人間ドラマだ。

憧れだったオープンカーに乗って、心まで解放された

伊豆スカイライン沿いのパーキングに止めて街を見下ろす。振り返れば、オープン2シーターがある。

遠くの街を見下ろしながら、一部上場企業の営業として働いていた頃を思い出す。乗り継いでいたのはお堅いセダン。取引先とゴルフに行くときに、送迎することもある。そうなるとセダン以外には考えられなかった。常識というか、不文律。いや、自分で自分を縛っていただけかもしれない。

若さに任せて無我夢中だった、ある日。取引先の来期広告の撮影現場へ、制作部門で働く同僚がゴルフIIのカブリオレに乗って現れた。クリエイターらしい選択。猛烈に惹かれた。

マツダ ロードスター

それから30年近くが経った。定年を間際に迎えて配置換えがあり、忙しかった日々も落ち着いた。退職が近づき、新しい人生が目前に迫ったとき、自制していたオープンカーへの想いが再燃した。

思い切ってメルセデス・ベンツ Cクラスからプジョー 206CCへ乗り替えた。輸入車でありながら、必要なものが必要なだけ備わる206CCのミニマリズムも気に入った。それは、憧れが現実になった瞬間だった。

初めて乗ったオープンカーは感動的だった。屋根がないという開放感。視界が広がり、風を感じる。見るものすべてが新鮮に映った。

気に入っただけに206CCの走行距離はドンドン伸びた。乗り替えを余儀なくされたときも、オープンカー以外は頭になかった。次に選んだのがマツダ ロードスター。国産メーカーだからメンテや維持がラクで、スタイリングも好みだった。

マツダ ロードスター

懐かしい思い出に浸り、クルマに乗り込もうとしたら、若い子たちが賑やかに近づいてきた。

「これ、おじさんのクルマですか? カッコいいですね!」

もちろんだよ、なんだったら座ってもいいよと言ったら大喜びだった。

マツダ ロードスター

「えっ、屋根はいつも開けっ放しなんですか!」

風を感じて走る。それが最高なんだ。鼻歌まじりでステアリング握っていると、風が歌をかき消す。そんなライブ感が肌に合う。

「面白そう! いつか僕らもオープンカーに乗りたい!」

……初めて会ったのに、そんなとりとめもない会話が成立する。そういうところもオープンカーの魅力だ。

マツダ ロードスター

クルマを変えてから見た目も変わったと言われる。背広を捨てて、カジュアルな服を着る。白髪染めもやめた。

退職し自由になったからこそ、ライフスタイルにこだわるようになった。自分らしく、自然に。生活が大きく変わり、心まで解放された気分だ。

マツダ ロードスター

いや、オープンカー効果はそれだけじゃない。妻と過ごす時間も増えた。2人で気持ちのよいルートを気ままに走ったり、オーベルジュやリゾートホテルを目指したりしている。

マツダ ロードスター

お気に入りの「星野リゾート 界 熱海 別館ヴィラ・デル・ソル」に着く。最近では海外旅行に行くことも増えたが、ドライブ旅行の楽しみは、また別格。季節の節目に、旬の景色を眺めるのは楽しいものだ。

マツダ ロードスター

2人だけの静かなテーブルにシェフのオススメが運ばれる。目の前の海で取れた、地魚のブイヤベース。魚介類の旨味が凝縮されている。食事中、妻はあまり語らない。満足なときほど口数が少なくなる。

マツダ ロードスター

実のところ、妻はオープンカーにもあまり口を出さない。たまに「今日、街中で同じクルマを見かけたわよ」「家の前を通った方から『素敵なクルマですね』と言われたわ」などとポツリと言う。そういう瞬間に、あぁ、妻も気に入っているんだなと実感する。

マツダ ロードスター

妻を助手席にエスコートするのは、風の中を走るのと同じくらい爽快だ。

定年後の新生活にオープンカー。自由なクルマ選びが暮らしを変えた

セカンドライフをオープンカーで充実させる


憧れのままでとどめておきたくなかったオープンカー。いざ選ぶとなると中古車なら選択肢が豊富で、自分のライフスタイルや趣向に合ったものが選べることに気づいた。ハードトップかソフトトップか、2座か4座か、それともFF(前輪駆動)かFR(後輪駆動)か……。目移りしてしまう一方で、どんどんオープンカーが身近な存在に思えてきた。

文/ブンタ 写真/阿部昌也 スタイリング/与那嶺龍士 ヘアメイク/三浦真淑(Yolken) モデル/斉藤竜二、林俊子

CREDIT

MAN(Casual Style):ダウンベスト2万2000円、ブルゾン3万6000円/ともにシエラデザインズ(アリガインターナショナル03-6659-4126)チェックシャツ1万6000円、パンツ1万9000円/ともにビクトリノックス(ビクトリノックス・ジャパン03-3796-0951)、その他スタイリスト私物 MAN(Jacket Style):『ジャケットスタイル』ブルゾン4万8000円、パンツ1万9000円/ともにビクトリノックス(ビクトリノックス・ジャパン03-3796-0951)、その他スタイリスト私物
WOMEN:ムートンマント15万5000円、ストール5万5000円/ともにパオロ トナリ、ニット7万3000円/マックス&モイ、パンツ1万6000円/エラ(ともにステラ03-5772-3161)、シャツ6700円/マシュカシュ(GSIクレオス06-4977-6097)、スニーカー7500円/コンバース(コンバースインフォメーションセンター0120-819-217)
LOCATION:星野リゾート 界 熱海 別館ヴィラ・デル・ソル

※掲載内容有効期限:2016年12月16日