▲自動運転を盛んにプロモーションしている日産自動車の自動運転デモ車の公道走行。ハンドルを握っていないドライバーの映像も、近年ではさほど驚かない光景になりました ▲自動運転を盛んにプロモーションしている日産自動車のデモ走行。ハンドルを握っていないドライバーの絵が印象的です

注目される自動運転技術

近年、自動車業界でよく耳にする「自動運転」というワード。自動車における自動運転には様々な技術が該当してきますが、今回調査したのは「完全自動運転」についてです。これは、すでに搭載されているクルーズコントロールやレーンキーピングアシストなどの支援機能に留まらず、加速・操舵・制動のすべてをドライバー以外が行い、人間が全く関与しない状態のことを指します。

現在、国内外ほとんどのメーカーが、この自動運転を見据えた技術開発を行っていますよね。これだけ熱心に取り組むということは、将来大いに需要のあるマーケットなのだと思うのですが、実際に利用するユーザー側はどのような意識を持っているのでしょうか? ドライバーたちは自動運転のある未来を必要としているのでしょうか?

▲スマートフォンを利用した技術も(日産自動車) ▲スマートフォンを利用した技術も(日産自動車)

4000人アンケートの結果

2015年12月にカーセンサーが独自で行った調査によると、以下のような結果が出ています。

Q:車自身やロボットに運転を任せられるなら任せたいですか(調査対象:国内4064人男女)

そう思う     … 8.1%(328人)
まあそう思う   … 17.6%(716人)
どちらともいえない… 35.2%(1429人)
あまりそう思わない… 21.8%(884人)
そう思わない   … 17.4%(707人)


「そう思う・まあそう思う」を肯定的な意見、「あまりそう思わない・そう思わない」を否定的な意見とすると、肯定が25.7%、否定が39.2%と、否定的な意見の方が若干多いことが分かります。大きな差ではありませんが、「どちらともいえない」という意見にも少なからず不安要素を含んでいると想像すると、ユーザー側にはそこまで求められていない技術なのでしょうか?

一方で、同じ人を対象に「車に求めるもの」を質問したところ、51.2%の人が「安全性能・走行性能(速度・加速・追突防止技術、ABS、エアバッグなど)」を選択している現状もあります。

この結果から感じるのは、メーカーとユーザーが描く自動運転に対する価値観のギャップ。メーカーは“安全なもの・安全を作るもの”として「自動運転」の普及に努めていますが、実際に運転するユーザーにとっては“安全面には不安が残るもの”としての意識が少なからずあり、現段階では人間の操作を要するレベルの補助機能の方が求められている状態です。結果、「自動運転車が欲しい」「どうしても買いたい」「利用したい」といったような心理にまではつながっていないように思います。

今後の自動運転車の開発・普及には、こういったギャップを埋めるためのメーカー側の取り組みも重要になってくるでしょう。

▲メルセデス・ベンツが昨年の東京モーターショーで披露したコンセプトカー「Vision Tokyo Concept」のコックピット。運転席以外のシートはボディに沿って設置されラウンジのようになっています▲メルセデス・ベンツが昨年の東京モーターショーで披露したコンセプトカー「Vision Tokyo Concept」のコックピット。運転席以外のシートはボディに沿って設置されラウンジのようになっています
text/編集部
photo/日産自動車、メルセデス・ベンツ