フランスのおしゃれ番長シトロエン DS3、ついに“フタケタ万円”時代へ突入!
2016/07/09

今や走行5万km以下の物件でもフタケタ万円
輸入中古車評論家を自称するわたしだが、自慢じゃないがカネはない。いや日々の食事に困窮するほど貧乏しているわけではないが、1人では食べきれないバゲット(フランスパン)の残りは冷凍して翌日も食べるなどして節約に励みながら、ニッポンの中流ド真ん中を生きている。
バゲットといえば、その故郷であるフランスの小型車「シトロエン DS3 シック」初期モデルの中古車相場がこのところ、けっこうな激安街道を突き進んでいるようだ。
新車価格は250万円前後だったDS3 シックだが(同じシックでも微妙なグレードの違いにより新車価格は数万円違っていたのですよ)、その後は格安化が進み、100万円台半ばぐらいの車両価格で狙えるようになっていたことは、輸入中古車ファンならばすでにご存じのとおり。
それがここ最近、フタケタ万円すなわち99万円以下の車両価格でも狙える状況になってきたのである。それも過走行のズタボロ車ではなく、走行5万km以下のまあまあ好条件な物件が、だ。
さすがに99万円以下でなおかつ走行5万km以下の物件数はそう多いわけではないのだが(2016年6月9日現在で8台)、「車両価格120万円以下」ぐらいの予算感でも良しとするならば、5万km以下の物件数は同日現在18台。これでも「多い」とは言い難いが、「まずまず選べる状態」とは言うことができるだろう。

手頃なベースグレード「シック」の実力もなかなかのもの
ただしモノというのは安けりゃそれでいいというわけでもないので、安価なシトロエン DS3 シックの中古車を提案するにあたっては、いくつかの反論というかツッコミも予想される。例えば「安く買えるのはあくまでもシックで、スポーツシックじゃないんでしょ?」と。
もちろんそのとおりである。あ、ちなみにDS3の「シック」というのはいわゆるベースグレードで、パワートレインは自然吸気の1.6L直4エンジン+4AT。それに対して上級グレード(というかスポーティグレード)の「スポーツシック」は同じ1.6Lでも直噴ターボで、トランスミッションも6MTだ。そして本稿執筆日現在、車両120万円以下かつ走行5万km以下のDS3のうちスポーツシックは確かにわずか1台である。
だが、これは筆者の主観にのみ基づく話になってしまうが、割と凡庸なパワートレインを使っている初期シックって、実はけっこう悪くないのだ。もちろんターボ+MTのスポーツシックもステキだが、ぷおおおお~んという牧歌的なノリで走る4ATのシックも、それはそれで全然悪くない。というか「フランスの小型車」には、どちらかといえば「ぷおおおお~ん」というノリの方が合っているのではないかとも思う不肖筆者である。

深刻な故障の発生リスクも比較的低いはず
次に予想されるツッコミは「14年2月以降の新しいパワートレインの方がいいんじゃない?」だろうか。これも割とおっしゃるとおりな部分はあり、1.2Lの直列3気筒エンジン+2ペダルMTの「ETG5」となった14年2月以降のDS3 シックは確かになかなか素晴らしい。だが、その「素晴らしい」は主に燃費性能についての話だ。
新パワートレインとアイドリングストップ機構の採用によりカタログ燃費はそれまでの12.5km/Lから18.6km/Lへと大幅に向上した。これはこれでかなり魅力的だが、エンジンおよびトランスミッションの「感触」については、これまた主観に基づく話で大変恐縮だが、シンプルな直列4気筒DOHCとシンプルなトルコン式ATを採用していた初期シックの方が好ましいのではないかと思うのである(もちろん燃費性能については反論の余地もございませんが)。
その他、予想されるツッコミは故障についてだろうか。「安い初期型のフランス車なんてどうせ壊れるんだろ? そのあたりはどうなんだ、エッ!」と。……中古車のコンディションというのは1台ごとに千差万別ゆえ、なんとも断言しづらいのだが、筆者の考えは以下のとおりである。
「きちんとした販売店で、整備履歴が充実している個体を探せば、初期年式のDS3であってもそんなに激しく困る事態は起きないのでは? まあラテン車特有の(笑)つまらんマイナートラブルはいくつか出ると思いますが!」
前述のとおり「絶対大丈夫」あるいは「絶対壊れる」と断言はできないのが中古車というもの。しかし各地のフランス車専門工場などで行ったシトロエン DS3に関する筆者独自取材に基づくなら、上記見解でおおむね当たらずといえども遠からずなはず。もちろん無理にとは言わないが、シトロエン DS3に多大な興味があるのであれば、ぜひ後顧の憂いなく突撃してほしいとは思う。

最後はアレだ、買った後は「キレイに乗ること」が非常に重要なのではないかと考える。もちろん整備こそが最重要であるのは言うまでもないが、それとある意味同じぐらい、こういった中途半端に古い輸入車(5~6年落ちぐらい)の場合は「内外装をとにかく小ぎれいにキープしておくこと」が重要なのだ。それを怠ると途端に「なんだかちょっとみすぼらしい感じ……」に見えてしまうのが、このあたりの輸入車の特徴である。
しかし逆にいえば、小ぎれいにしておく限り(そして機関部分や足回りなどを日頃からしっかりケアしている限り)、フタケタ万円でも狙えるシトロエン DS3 シック初期モデルの現役感は、いまだバリバリなのである。
【関連リンク】
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
自由と絶景とハプニング! ルノー アルカナで行く神様が集まる「神津島」への旅
【海外試乗】新型 フェラーリ 296 スペチアーレ|こだわったのはドライビングファン! エレガントさを残したハイブリッドスーパースポーツの高性能モデル
今絶対乗っておくべき「マルチシリンダー・大排気量・自然吸気」のMTという絶滅寸前モデル5選!!
~いよいよ潮流はSUVの次へ~ ワゴン復活の予感【カーセンサーEDGE 2025年6月号】
【試乗】新型 BYD シーライオン7|BEVの特性を生かした足回りでワインディングも器用に走る上級クロスオーバーSUV!
【試乗】新型 アウディ S5アバント|エンジンフィールが気持ちいい! マイルドハイブリッドを備えた新ネーミングの基幹モデル
戻ってきた“ブーメラン”! ジウジアーロによるワンオフスーパーカー「ペラルタS」は伝説のコンセプトカーのストーリーをなぞらえる【スーパーカーにまつわる不思議を考える】
【試乗】新型 フォルクスワーゲン ゴルフ GTI|速い! そして洗練度を増した走り! これはまさに“大人”のホットハッチ!
【試乗】ミニ ミニクーパー|アイデンティティは色濃く健在。真骨頂はダイレクトなハンドリング!
’91 BMW 735i|ドライバーズカーの実力とラグジュアリーなスタイルを兼ね備えたフラッグシップ!【名車への道】