今が買い時か? V6アルファ5モデルが今後高騰する(かもしれない)5つの理由
2016/02/13
需要と供給の観点で考えると高騰しない方が不思議
ご存じのとおり、空冷ポルシェ 911の中古車相場が鬼のように高騰している。その他、クラシックフェラーリもかなり高騰しており、要するに「新車ではもう二度と手に入らないアナログ名車全般」が高騰しているわけだ。自動車社会全体が自動運転へと向かっていることに対するアンチテーゼというか、反作用のような現象なのだろう。
今のところ高騰が目立つのは前述の空冷ポルシェ 911やF355などのセミ・クラシックフェラーリだが、その次に高騰するのは、いわゆる純血V6エンジンを搭載していた時代のアルファロメオ全般、なかでも「156」その「GTA」「147GTA」「GT」および「GTV」なのではないだろうか。
今後高騰する(かもしれない)5つの理由
FRレイアウトを採用していた往年のアルファロメオ各車はとうの昔に高騰している。しかし前述のFFモデル群はクラシックと呼ぶには新しすぎ、かといってニューモデルと比べると少々古くさいということで、ここ最近は「やや中途半端」な立ち位置となっていた。しかし今後はそうもいかなくなる可能性があるのだ。理由は以下のとおりである。
1. いわゆる純血時代のアルファロメオ製V6エンジンは本当に素晴らしい
筆者が数年前にV6搭載の99年式アルファロメオ GTVを購入した際、本当はアルファなど買うつもりはまったくなかった。が、「モノは試しで」ということで販売店に試乗を勧められた結果、50mも走らないうちに購入の決意を固めてしまった。理由はエンジンだ。それまで、地上最強の官能エンジンはフェラーリのV8であると確信していたが、その確信が若干揺らぐほど旧アルファV6のフィーリングは官能的であったのだ。少なくともフェラーリのような「工芸品」ではなく「大衆実用車」の範疇で考えた場合、アルファロメオの旧V6エンジンが備える官能性は「地上最強」といっても決して大げさではない。
2. あれほど官能的なエンジンは、現在のアルファロメオのラインナップには存在しない
とはいえ旧V6は設計の古いエンジンであり、今やぶっちゃけ壊れることもあるし、壊れないにしても燃費は確実に悪い(わたしの場合おおむね6~8km/Lだった)。そのため買い替えたくもなる。が、その後のアルファロメオ製エンジンは米国GMとのシリンダーブロック共用を経て、現在は流行りの直列4気筒ダウンサイジング直噴ターボに落ち着いた。それらが悪いわけでは決してないが、往年のV6の味わいと比べてしまうと「……」と沈黙したくなるのが正直なところだ。
3. 環境性能が重視される昨今ゆえ、今後ああいったエンジンは二度と出てこない
もう少し待てば、往年のV6に勝るとも劣らぬ官能性を備えた新型V6エンジンが登場する可能性もゼロではない。……が、実際は「ほぼゼロ」と思っておくべきだろう。現在のアルファロメオの「ダウンサイジング直噴ターボ」というのは時代の要請であり、その「時代」は、あのフェラーリにさえダウンサイジングターボを選択させている。今後よほどの天変地異でも起きない限り、ガソリンを馬鹿食いする往年のV6的な何かが再登場することはないだろう。
4. 状態良好な純血V6搭載アルファは日に日に減りつつある
旧V6を搭載するアルファロメオの中古車流通量が今後も減少しないのであれば、相場は現状キープまたは微妙に下がっていくだろう。しかし実際は廃車になったり稼働不能に陥る個体も増えていくのが機械モノの宿命。コンディション良好な個体の数は今後どんどん減少していくと考えるのが普通だ。
5. それでいて、「あのV6の味」を求める人間の数はさほど減らない
もともと新車のプリウスのようにバカ売れするのではなく、ある程度の少数のみが売れる類の車だ。要するに愛好家だけが買うタイプの車である。で、そういった愛好家の数というのは極端に増えることはない代わりに、極端に減ることもない。
以上5点から導き出されるのは、「需要と供給の関係から考えて、これらFF純血V6アルファの中古車相場は今後、必然的に上昇するだろう」という推論だ。
空冷911のように2倍、3倍にはならないはずだが……
問題は「いつ、どのぐらい上がるか?」ということだ。
こればっかりはゴッド・オンリー・ノウズであり、もしかしたら神様でさえもわからないかもしれない。少なくとも筆者には皆目見当もつかない。ただ、一つだけなんとなく考えているのは「空冷911のように死ぬほど(倍以上まで)高騰することはないだろう」ということだ。
空冷911、具体的にはタイプ964と呼ばれるモデルが設計された80年代後期は自動車のモジュール生産(部品メーカーがあらかじめ一定数の部品を組み立てて自動車メーカーに納入し、最終組み立てを容易にする生産方式)がまだ一般的ではなかったため、仮にどこかの部品に不具合が生じたときは「その部品」だけを交換すれば事足りた。
しかし90年代後半(まさに前述のFFアルファが登場し始めた頃)からはモジュール生産が主流になり、どこか小さな部品が壊れたときでもそこだけ交換するのではなく、「そこを含むモジュール部品全体を交換する」という修理方法が主流になった。というか主流にならざるを得なかった。
そのため、一般論ではあるが90年代後半以降の車に「長く乗る」というのはちょっとめんどくさく、若干のお金もかかるのである。で、一見金食い虫のようにも見える80’s車の方が実はシンプルかつ安価に修理でき、結果として長く乗れたりもするのである。
そういった観点もあるため、いかに90年代後半のアルファ純血V6エンジン搭載車が凄まじいほど官能的だったとしても、空冷ポルシェ911のように2倍、3倍の相場になることはないのではないかと考えているわけだ。
とはいえ、魅惑のアルファ純血V6エンジン搭載FFモデルの中古車相場が今後高騰する可能性は(筆者の推論によれば)ほぼ100%。……もちろん興味のない人に無理強いはしないが、もしもあなたがそれに興味をお持ちなら、安いうちに、そして状態良好なブツが市場にまだあるうちに、吟味したうえで買っておくのが得策かと思うのだが、いかがだろうか。
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