【妄想車ラブストーリー】ひたすらデカイ車で年下男子の“男”を垣間見るドキッとドライブ
カテゴリー: カーライフ
タグ: トヨタ / SUV / クロカン / 男性向け / 目立つ / かっこいい / スタイリッシュ / 高級 / 4WD / デート / 買い物 / レジャー / 登山 / ゴルフ / モテ / 山登り / ハイキング / 旅行 / リゾート / BBQ / スポーツ / キャンプ / 釣り / ドライブ / ランドクルーザー200
2016/02/20
社内の年下男子が見せる、車内の「男」の顔に戸惑う女・age35
「お待たせしましたー!」目の前の視界いっぱいに広がる黒い巨大な車体。車の向こう側の景色は遮られて何も見えないほど、高さも横幅も奥行きも迫力は圧巻。そこから爽やかな笑顔で降りてきたのは、会社の後輩の熊川くん(30)。
会社ではでしゃばるタイプではないけれど、ウイットに富んだ話術が光る理系出身のスマートな後輩くんだ。仕立てのいいシャツのハリが清潔感に溢れ、上質な革靴はいつも磨かれているなど、さりげなくおしゃれに気を遣っているのは女子ならチェック済み。そんなインテリジェンスの香り高い熊川くんが、こんなワイルドな車に乗っているなんて少し意外だ。そのギャップに熊川くんの知らない一面を見た気がして不覚にもドキドキしてしまう。
今日は社内レクリエーション。休みの日に課のメンバーが集まって箱根の温泉に出向くのだ。普段はスーツ姿のメンバーの私服は、その人の印象を随分変える。熊川くんも、今日はいつものビジネス仕様ではなくダウンにチノパンなのが新鮮だ。カナダグースのダウンなんてミーハーだと思っていたけれど、熊川くんが着ると不思議といやらしさがない。
「みんな乗ってー」。熊川くんが後部座席のドアを開けてメンバーを誘導する。広々とした車内は3列シートの8人乗り。全部で6人の我がチームには余裕の広さだ。快適な道中を過ごす予感にメンバーは早くもテンションが上がっている。「俺、3列目ー!」と男性軍は後ろでゲームを楽しみ、女子は「テレビつけてー」と乗りこんだ2列目で座席後部についたパーソナルモニターを視聴しながらすっかり寛いでいる。
EXILE好きだけじゃない! 大きな車の既成概念を覆すギャップに萌える女たち
こういう車に乗っているのは、上下パーカー、スエットでEXILEを大音量で流しているような体育会系マイルドヤンキーばかりかと思っていたが、乗ってみるとまるで印象が違う。ワイルドで猛々しい外見とは裏腹に、内装は茶色の革貼りで実にシック。ウッド調のあしらいに、インパネやステアリングのクロムパーツがアクセントになり、モダンな高級ホテルにいるようだ。
上質な革シートは体重を程よく吸い込み、適度なハリ感で体を支えてくれ、長距離の移動も苦にならない。雄々しさ溢れる見た目とは裏腹の、品格高き紳士的な二面性を併せ持ったこの車が、熊川くんの知られざる別の顔と重なってそわそわする。
助手席でナビをすることになった私を、「寒くないですか?」と優しく気遣ってくれるが、すでにシートヒーターは外の寒さを忘れさせるほどに心地よく暖かい。熊川くんがハンドルを切るたびにふわりと漂う涼やかな香りは、普段は気づかなかったが彼の香水なのだろうか。たまにタクシーが汗や体臭で充満しているとげんなりするが、いい香りはそれだけで気持ちが上がる。しかも熊川くんはタバコを吸わない。心の中の「いいね!」ボタンを小さく何度も押した。
冬のよく晴れた日の光は容赦なくフロントガラスに差し込み、熊川くんはさりげなくサングラスをする。色白でどちらかというと細身の熊川くんだが、手の甲に浮く血管の筋も相まって、垣間見える大人の男性の一面にドキッとする。外の景色を眺める振りをして、大きなサイドミラーで化粧のノリをこっそり確認するくらいには、私は熊川くんを意識せずにはいられなかった……。
エスコートという名のスキンシップでドキドキはクライマックスへ
パーキングエリアで停車し、車を降りようとしてその結構な高さに悪戦苦闘する。なにしろこの大きさの車だ。身長165cmの私にとっても地上までの距離はかなりのもの。そんなとき、さりげなく手を貸してくれるのも熊川くんのにくいところだ。
普段は手が触れ合うシチュエーションになど絶対にならないけれど、今なら断る理由もない。私たちは、ごく自然に相手の手に触れる。冷たく、だけど大きな熊川くんの手が私を引き寄せて耳元でそっとささやく。
「先輩だけには話しますけど……、俺」
心臓の音が相手に聞こるんじゃないかと思うほど鼓動が速くなる。落ち着け、落ち着け……ぐっと足に力を入れていると、彼の声が続く。
「蓮沼と付き合ってるんです。内緒にしておいてくださいね」
一瞬何を言われたか分からずぽかんとする。パーキングエリアの入り口に向かって歩くメンバーに混じって、蓮沼さんがきれいに巻いた髪を揺らしながらはしゃぐ声が響く。彼女が寒そうに袖口を握りしめているのは、カナダグースのダウンだった。
「お揃い、なんだ」
努めて平然を装った私の声は、かすかに震えていた。照れくさそうに笑いながら熊川くんはその場を離れていく。取り残された私は、ふつふつと湧くやり場のない気持ちに悶々としてくる。この1時間勝手に彼にドキドキさせられ、告白していないのに振られたようなこの状況、一体なに!?
私は一人気抜けしたまま車に戻り、センターコンソール内のクールボックスを勝手に開けて中に入っていたペリエをがぶ飲みした。「こんな洒落たドリンク積んじゃってさ」と悪態をつきながら、上質な革の背にもたれてムーンルーフから覗く真っ青な空を見上げた。
しょうがない。全部、車のせいだ。
【今回登場した妄想車】
■モデル:トヨタ ランドクルーザー200 ■グレード:4.6 ZX 4WD ■乗車定員:8名
■エンジン種類:V8DOHC ■総排気量:4608cc
■最高出力:318/5600[ps/rpm]
■最大トルク:460/3400[n・m/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:6AT
■全長×全幅×全高:4950×1980×1870(mm) ■ホイールベース:2850mm
■車両重量:2690kg
■車両本体価格:682.6万円(税込)
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