LS ▲新車価格は1000万円を軽く超える現行型レクサス LS

比較的手頃な価格帯の物件も増えてはきたが?

日本を代表する乗用車ブランドである「レクサス」の、さらにその中でもフラッグシップ(最上級)セダンである現行型レクサス LS。それはレクサスの威信と技術の粋がフルに投入されているだけあって、雲上のごとき乗り味と、スムーズかつ超絶なパワー感。そして快適きわまりない各種装備類がもたらす喜びに満ちあふれている1台です。

しかしそんな現行型レクサス LSも現在、一部の物件は総額300万円台という比較的手頃な価格帯でも流通しているようです。総額300万円台の現行型レクサス LSは、果たして“買い”なのでしょうか? モデル概要ふりかえりを交えつつ、検討してみることにしましょう。
 

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レクサス LS(2代目)
 

モデル概要:レクサスブランドのフラッグシップ(最上級)セダン

レクサス LSは、もともとはトヨタが北米で販売していたレクサスブランドのフラッグシップ(最上級)セダン。

初代から3代目までは、日本では「トヨタ セルシオ」として販売されていました。2006年にレクサスブランドが日本へ上陸した際に登場したのが通算4代目の(日本では初代)レクサス LSで、その後のフルモデルチェンジにより2017年10月に登場したのが、現行型レクサス LSです。

プラットフォームは新世代のFR用車台「GA-L」で、ボンネットやトランクリッド、フロントフェンダーや前後ドアなどにアルミを使用したボディはCd値0.29という優れた空力性能を実現。

ボディサイズは全長5235mm×全幅1900mm×全高1450mmです。
 

LS▲こちらが現行型レクサス LS。写真はマイナーチェンジ前の前期型
LS▲伝統的なセダンボディではあるが、どこか「4ドアクーペ」を思わせるフォルムでもある
LS▲インテリアはおおむねこのようなデザイン。写真は前期型のバージョンL
 

パワーユニットは、ガソリン車である「LS 500」は最高出力422psの3.5L V6直噴ツインターボエンジンを搭載。ハイブリッド車の「LS 500h」は、最高出力299psの3.5L V6エンジンに2つのモーターを組み合わせ、システム最高出力359psをマークします。

駆動方式は、いずれもFRまたはフルタイム4WDです。
 

LS▲LS 500hに搭載されるマルチステージハイブリッドユニット
 

現行型LSには最先端の予防安全技術も惜しみなく投入されました。歩行者検知機能付きプリクラッシュセーフティシステムやレーダークルーズコントロール、レーンキーピングアシスト等々からなる「Lexus Safety System+」を標準車に装備し、それ以外のグレードには、さらに高度な先進安全機能を加えた「Lexus Safety System+A」を搭載。

そして2018年と2019年に一部改良を行ったうえで、2020年11月にはマイナーチェンジを実施。フロントまわりなどのデザインを小変更するとともに、静粛性と乗り心地、そして運転支援システムの内容を大幅に向上させました。

その後も現行型レクサス LSは毎年のように一部改良を重ねながら、現在もレクサスブランドのフラッグシップ(最上級)セダンとして販売が続けられています。
 

 

中古車状況:直近の平均価格は500万円台半ば。市場には300万円台の物件も

現行型レクサス LSの中古車平均価格は順調なペースで下落中です。

2023年の初頭は平均800万円以上で推移していましたが、その後は700万円台半ば、600万円台後半へと続落していき、2024年後半からは「600万円ちょい」がおおむねの定位置に。そして2025年2月以降さらに値下がりし4月には平均500万円台も目前に。

市場では総額300万円台で狙える物件の数も増加中です。
 

LS
 

そのような「総額300万円台の現行型レクサス LS」は“買い”なのでしょうか? 次章以降、その他2種類のオススメしたい狙い方とともに検討してまいります。
 

 

価格重視でいくなら?|内外装の雰囲気と整備履歴が良好な300万円台物件を探す

結論から申し上げると、「総額300万円台の現行型レクサス LSは、モノによっては“買い”」ということになります。

2025年6月中旬現在、現行型レクサス LSの中古車は約440台流通していますが、そのうち総額300万円台の物件は約40台のみ。そもそも絶対数が少ないのですが、グレード別で考えると選択肢はさらに狭まり、総額300万円台の予算で狙えるのは主に下記のグレードのみとなります。

・LS 500 Iパッケージ:ガソリンエンジン車の、事実上のベースグレード
・LS 500h Iパッケージ:ハイブリッド車の、事実上のベースグレード
・LS 500h Fスポーツ:ハイブリッド車のスポーティグレード
・LS 500h バージョンL:ハイブリッド車の上級グレード

総額300万円台のゾーンでは上記のグレードが合計で30台ほど流通していますが、そのうちの7割以上が走行10万km超、あるいは15万km超の多走行車。走行数万kmレベルで収まっている物件の数はわずかなのです。
 

LS▲総額300万円台の場合、大半の物件の走行距離は10万kmを超えている
 

とはいえ、中古車のコンディションというのは走行距離の多寡だけで決まるものではありません。もちろん「走行距離が短い=全体のコンディションがいい」という大まかな傾向はありますが、ロクな整備を受けてこなかった走行6万km台の物件より、定期的な点検と整備を経てきた12万km車のコンディションの方が断然いい――みたいなことも多々あります。

総額300万円台で狙える約40台の現行型レクサス LSの中から「買うに値する1台」を見つけ出すためには、以下のようなチェックを行い、そのチェックにパスした物件のみを最終的に検討するという手法が有効になるはずです。

・Check 1:内外装はキレイか?(荒んだ雰囲気が漂っていないか?)
漠然としたチェック方法で大変恐縮ですが、しかしここが実は一番重要です。雑に扱われてきた車は、内外装の各所に「荒んだ雰囲気」が漂っている場合が多いものです。実際の中古車を数多く見ていくと「荒んだ雰囲気センサー」は自然と磨かれていきますので、なるべく多くのレクサス LSを見るようにしてください。
 

LS▲蹴飛ばされた跡や無神経に付けられた汚れや小キズ、車内にこびりついたニオイなどが「雑に扱われてきた個体」のサインである場合が多い
 

・Check 2:2年に一度、正規ディーラーで点検と整備を受けているか?
2年に一度の車検整備は、「絶対に正規ディーラーで受けなければならない」という決まりはありません。しかし高級車の格安物件は壊れると高くつく部品などが非常に多いため、一般工場以上に早め早めの純正部品交換をユーザーに提案する正規ディーラーで車検整備を受けてきた物件の方が、中古車として購入した後に、高額な部品交換を行わなければならなくなるリスクは低減できます。

正規ディーラー以外で整備を受けることを否定するわけでは決してないのですが、こと総額300万円台の現行型レクサス LSを買うのであれば、整備記録簿にて「正規ディーラーで定期的に整備されてきた履歴」が確認できる個体を選ぶのがオススメとなります。
 

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レクサス LS(2代目) × 総額300万円台
 

もうちょい出せるなら?|総額400万円台であれば「悪くない1台」をより見つけやすい

総額300万円台の予算だと選べる物件の数が少なく、しかも多走行車である場合が多いため、前述したような入念なチェックがどうしても必要になります。

しかし想定予算帯をひとつ上げた「総額400万円台」であれば、現行型レクサス LSの中古車はぐっと探しやすくなります。

2025年6月中旬現在、走行6万km台までの現行型レクサス LSの中古車は約70台が流通しており、グレード別に考えると、主に以下の各グレードを検討することができます。

・LS 500 Iパッケージ:ガソリンエンジン車の、事実上のベースグレード
・LS 500 Fスポーツ:ガソリンエンジン車のスポーティグレード
・LS 500h Iパッケージ:ハイブリッド車の、事実上のベースグレード
・LS 500h Fスポーツ:ハイブリッド車のスポーティグレード
・LS 500h バージョンL:ハイブリッド車の上級グレード
 

LS▲写真は可変ステアリングやDRS(ダイナミック・リアステアリング)、アクティブスタビライザーなどを統合制御するシステムも装備されている「Fスポーツ」
 

この価格帯においても「内外装に漂う荒んだ雰囲気」の確認作業と、整備記録簿の記載内容の確認はマストですが、比較的容易に「まずまず悪くない1台」が見つかることでしょう。

そして「どのグレードを選ぶべきか?」という問題については「お好み次第で……」というのが最終的な答えになりますが、いちおう参考情報を提示するのであれば、おおむね以下のとおりとなります。

・燃費重視なら当然ハイブリッド車だが、「気持ちの良い走り」を重視するならV6ガソリンツインターボがオススメ。

・流通量が多くて探しやすいのは、ガソリン車もハイブリッド車も「Iパッケージ」。

・事実上のベースグレードである「Iパッケージ」ではあるが、挟み込み防止機能付きのパワートランクリッドや本運転席・助手席シートヒーター&シートベンチレーション機能付き本革シート、運転席20Way/助手席18Way調整式フロントパワーシートなどは標準装備なので、装備面の不満はさほど感じないはず。
 

▼検索条件

レクサス LS(2代目) × 総額400万円台
 

後期型を狙うなら?|総額500万円台の予算で、主に2021年式をチェックする

総額400万円台の現行型レクサス LSは、相対的に手頃な予算で狙える現行型LSとしてはナイスなチョイスですが、予算帯をもうひとつ上げて「総額500万台」を想定すると、よりナイスな「後期型」が射程圏内になります。
 

LS▲ヘッドランプユニットの形状などが変更された2020年11月以降の後期型
 

現行型レクサス LSは2020年11月のマイナーチェンジでエクステリアデザインを微妙に変更するとともに、インテリアのマルチメディアシステムにタッチディスプレイを採用。そして「Apple CarPlay」「Android Auto」に対応すると同時に、先進安全装備の内容もブラッシュアップ。さらにガソリンエンジンもハイブリッドシステムも、このタイミングでよりいっそう最適化されました。

それだけでなく現行型レクサス LSは細かな乗り味なども、毎年の一部改良によって年々向上していったため、後期型であるかどうか以前に「年式は新しければ新しいほどイイ」と言うことができます。

それゆえオススメとなる後期型(2020年11月~)の現行型レクサス LSは、高いモノだと総額1000万円を超えてしまいますが、総額500万円台でも、まずまず悪くない条件の2021年式IパッケージまたはFスポーツを見つけることができます。

ご予算に余裕がある方はこの価格帯もいちおう視野に入れながら、ご自身の感性や価値観に合う1台を探し出してみることをオススメいたします。
 

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レクサス LS(2代目・後期型)

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レクサス LS(2代目)
文/伊達軍曹 写真/レクサス
※記事内の情報は2025年6月11日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。