神田錦町ラボ


残り山だけでなく経年劣化にも注意が必要

助手:博士、お待たせしました。冬のグッズ検証第3弾、今回でついにラストです。
博士:もはや3月。花粉も飛んでおるというに、少しばかり遅くないか?
助手:何を言われますか。雪が溶けかける今の時期こそ危険なのです。雪道は油断大敵ですよ。
博士:で、今回はなんじゃ?
助手:新しいスタッドレスと、使い古しのスタッドレスでは、どれだけ制動距離に差があるのかを検証します。
博士:ほほぅ、なかなかおもしろそうじゃな。
助手:タイヤの寿命は山があるかどうかで判断されることが多いじゃないですか。しかしゴム製品である以上、経年劣化は避けられません。
博士:ゴムの柔らかいスタッドレスであればなおさらじゃな。
今回の検証方法
今回の検証方法|神田錦町ラボ 1シーズン目と4シーズン着用したスタッドレスタイヤを使用し、30km/hから静止するまでの距離を比較。公正を期すために、テスト車両は1台で行い、両車ともにブレーキはABSを効かせて行う。
助手:ではまず1シーズン目の新しいほうから行きましょう。
博士:よーし、行くぞ。
グググ、キッ!
助手:あれ、かなりアッサリ止まりましたね。10.8mです。
博士:すんなりじゃったのぅ。もっと距離が延びるかと思っておったのに予想外じゃ。
助手:では4シーズン使用したタイヤはどうですかね。
博士:意外に差がないかもしれんな。
グググググ、キッ!
助手:あ、やっぱり違いますよ。16.4mです。
博士:なに、そんなにあったか?
助手:感覚的にはどうなんですか?
博士:正直、どちらも怖さはまったくない。後者にしても、ハイドロプレーニング現象のような、滑ってしまっている感覚は皆無じゃ。プロが乗れば別なんじゃろうが、素人のワシにはあまり感覚的な違いはないのぅ。
助手:でも制動距離は約1.5倍ですよ。
博士:うむ、確かに先に新しいほうを試したから「まだ止まらんか」という感じはあったが・・・。
助手:その“まだ”の途中に障害物があったら・・・。
博士:フクダくんの言うとおりじゃな。サーキットでもあるまいし、一般道にはエスケープゾーンなど存在しない。たとえ山があったとしても、潔く新しいタイヤに交換するのが大事じゃな。
助手:何かあってからでは遅いですからね。後悔先に立たず、備えあれば憂いなしって言いますもんね。
飯田橋博士|神田錦町ラボ
飯田橋博士
何か気になりだすと、徹底的に検証したがる名物博士。猪突猛進な性格だが、いつも大事なところが抜けている。IQ200を超える真の天才
助手フクダ|神田錦町ラボ
助手フクダ
博士に惚れこみ研究のお手伝いをする勤勉な助手。博士の穴を巧みにカバーし、錦町ラボを正しい方向へ導いている


今回の検証グッズ
スタッドレスタイや|神田錦町ラボ

スタッドレスタイヤ

積雪路や凍結路などを走行するために開発されたタイヤ。冬タイヤとも呼ばれる。摩擦係数の低い積雪路や凍結路で駆動力や制動力を発揮するために、発砲ゴムやクルミの殻を採用するなど、タイヤメーカー各社で様々な工夫がされている。

1シーズン以上同じタイヤを使用する場合は、水洗いでタイヤの汚れをキレイに落とし水分を拭き取ってから、温度変化が少なく直射日光の当たらない場所で保管をするなど、少しでも寿命を延ばすような保存を心がけるようにしたい。


今回の検証結果
検証終了|神田錦町ラボ タイヤに山はあっても制動距離の差は歴然。古いほうは約1.5倍も制動距離が延びている。素人レベルで止まらない不安はないが、数値がその大きな差を物語っている。また、タイヤの見た目に大きな違いはなくとも、古いほうは経年劣化からかノーマルタイヤ並みの硬さだった。タイヤの寿命は山はもちろんのこと、劣化による影響も考慮することが重要だ。