神田錦町ラボ


車庫入れで使いやすい支援システムはどっち?

助手:ハイ博士。今日も今日とてやって来ましたよ神田錦町ラボ。
博士:今回はパーキングアシストの検証とか?
助手:そのとおりです。初心者やペーパードライバーが苦手とする車庫入れや縦列駐車を、機械が手助けしてくれるというヤツです。
博士:おっ、それはおもしろそうじゃ。ホントに使えるのかどうか。
助手:そうでしょう。パーキングアシストといっても、車種によってシステムが違うので、どちらがより使えるか検証してみましょう。
博士:で、検証車はなんじゃ?
助手:トヨタプリウスとホンダライフです。どちらも車庫入れと縦列駐車の2パターンで駐車をアシストしてくれるので、今回はまず車庫入れ時の比較をしてみましょう。
今回の検証方法
今回の検証方法|神田錦町ラボ ラボの駐車場を使い、バックでの車庫入れ時において、どちらのパーキングアシストが使いやすいかを検証する。判断基準は、駐車の速さだけではなく、使いやすさ、安全性なども考慮し、総合的に判断する。
助手:では最初はトヨタプリウスです。
博士:よし来い!えぇと、まずは止めたいスペースを通り過ぎて、通常の車庫入れのように斜めに止まる、と。
助手:はい。そしてギアをR(バック)に入れて、モニターの「車庫入れ」を選んでください。
博士:ほぅほぅ、ポチっとな。おっ、なんじゃコレは。
助手:そうすると、矢印と駐車場のワクのようなカーソルが出てきます。今はカーソルが赤になってますが、画面上の矢印を使って、駐車場の白線と重なるように動かしてください。
博士:よし、ズイズイっと・・・あっ行き過ぎた。
助手:なかなか緑色になりませんね。
博士:福田くん、ちょっといいか。
助手:ハイなんでしょう?
博士:今ワシは、駐車したいスペースの前、すなわち駐車しようとする車が行き来するエリアをふさぐカタチで斜めに止まっておる。そこでモニターとにらめっこしながらポチポチやっているわけだ。
助手:ハ、ハイ。
博士:この状況、どう考えても邪魔じゃろう?自宅の駐車場ならいざ知らず、スーパーの駐車場でこんなことをやってたらヒンシュクもんじゃぞ?
助手:た、確かに。しかし博士、やってみないことには…。
・・・1分後
博士:よ、よし。これでバッチリじゃ。
助手:では実行ボタンを押してブレーキを離してください。
博士:おぉっ!なかなか速いスピードでバックするのぉ。
ピー アシストを中止します
博士:ハ?どうしたコレは?
助手:どうやらスピードが速すぎたようですね。ブレーキでスピードを調整してください。またイチからやり直しですね。
博士:だったら初めからもう少しゆっくり…ブツブツ…。
助手:でも博士、一番苦労したモニターの設定はそのまま生きてますよ。
博士:これもやり直しなら二度とやらんわい!
助手:では実行を。
博士:おっステアリングが自動で回ったぞ!
博士&助手:おぉー!
車庫入れ完了!
博士:これで完了じゃな。時間はどうじゃ?
助手:やり直しも含めて、5分かかってますね。
博士:まったくもってダメじゃな。
助手:まぁまぁ気を取り直してライフも試してみましょう。
助手:まずはドアにある目盛りを、止めたいスペースの手前側の白線と合わせてください。
博士:こんなもんかの。
助手:そしたらメーターの右下にある車庫入れボタンを押してスタートを押します。そしてゆっくりと前進。
博士:プリウスの件があるからの。クリープの速度じゃアウトになるかもしれん。ブレーキを引きずりながらゆっくりと行くぞ。
助手:そのほうが賢明ですね。
博士:おおハンドルが勝手に回った!そして止まった。
助手:今度はバックですね。ハンドルは固定でそのままバックです。
ピンポン
博士:なんじゃ?ここでハンドルを回せと言っておる。そうかそうか、理解した。まっ直ぐ下がるだけの位置まで誘導したから、ハンドルを真っ直ぐにしろということじゃな。
グリグリグリ…ピンポン
助手:あとはそのままバックするだけですね。
車庫入れ完了!
助手:時間は2分かかってませんね。全体の駐車時間だけで両車を比較したらライフの圧勝ですが、実際の車庫入れ時間自体はプリウスのほうが若干速いですよ。
博士:じゃが、いかんせんモニターの設定に時間がかかりすぎる。
助手:慣れれば多少は速くなるかも。
博士:だとしても使えるのはライフじゃろうて。プリウスは斜めに止まって往来を遮断している時間が長すぎる。それに対してライフのシステムは車庫入れが苦手な人の心理をよくわかっておる。
助手:と言いますと?
博士:初心者はそもそも駐車するスペースに対して自車をどこに止めていいのかがわからない。それがわからないからこそステアリングの修正が必要になるわけだ。その点ライフのシステムは、バックする前にどこで停車したら修正なく車庫入れできるかを示してくれる。
助手:あとはそのままステアリングを固定したままバックしていれば、今度は戻すポイントも教えてくれる。
博士:しかも戻す量もピンポンの合図で教えてくれるわけじゃ。
助手:確かに初心者が知りたいのはそこなのかもしれませんね。
博士:まさにかゆい所に手が届く感覚じゃ。一方プリウスのほうは、設定さえ完了すれば、あとはブレーキ操作だけという点はすばらしい。じゃがその設定が大変とあっては本末転倒じゃ。
助手:確かに往来の激しい駐車場で進路をふさいでモニターと格闘してたらシャレになりませんからね。
博士:そのとおり。システムとして優れているのはプリウスかもしれんが、本当に初心者にとって役立つのは、ライフのパーキングアシストじゃな。車庫入れ編はライフの勝ち、と。次は縦列駐車で試すとしようかのう。
飯田橋博士|神田錦町ラボ
飯田橋博士
何か気になりだすと、徹底的に検証したがる名物博士。猪突猛進な性格だが、いつも大事なところが抜けている。IQ200を超える真の天才
助手フクダ|神田錦町ラボ
助手フクダ
博士に惚れこみ研究のお手伝いをする勤勉な助手。博士の穴を巧みにカバーし、錦町ラボを正しい方向へ導いている


今回の検証車両・装備
トヨタ プリウス|神田錦町ラボ

トヨタ プリウス

「21世紀に間に合いました」のフレーズでデビューしたプリウス。2代目は初代のセダンから5ドアハッチバックスタイルに一新。さらに大きくなったボディサイズも相まって、リアシートの居住性、荷室の実用性が格段に向上した。

ハイブリッドシステムのエンジン部分は1.5L直4のままだが、可変電圧システムの採用など制御系を進化させ、モーターの出力を高めると同時に応答性の良さを飛躍的に向上。10・15モード燃費で35.5km/Lを達成した。さらにインテリジェントパーキングアシスト、世界初のEVドライブモードなど革新的な技術を惜しみなく注いだ。グレードは車両安定化装置を装備した上級グレードのGとスタンダードのSの2種類だ。

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インテリジェントパーキングアシスト|神田錦町ラボ

インテリジェント
   パーキングアシスト

電動パワーステアリングとバックガイドモニター技術を応用した駐車支援システム。車庫入れや縦列駐車の後退時のステアリング操作を支援することで駐車を補助してくれるシステム。設定時は世界初の技術であったが、現在は様々なトヨタ、レクサス車にも導入されている。

この機能はHDDナビゲーション選択時(初期はDVDナビ装着車にオプション)に同時に装着される。価格は36万3300円(G ツーリングセレクション)。



ホンダ ライフ|神田錦町ラボ

ホンダ ライフ

個性的で背の高いスタイリングで高効率の室内スペースを追求した軽自動車が3代目ライフ。ボディは車両相互の衝突時に衝突エネルギーを効率良く分散・吸収するコンパティビリティ対応タイプとし、前席エアバッグやEBD付きABSの標準化などの相乗効果で高い安全性を実現。

エンジンは新開発直3SOHC6バルブのNAとターボで、 i-DSIと呼ぶ1気筒当たり2本の点火プラグを備えて高い燃焼効率を実現している。ミッションは全車が電子制御4ATを採用し、全グレードで FF/4WDが選択可能。抹茶などカフェ感覚のボディカラーに室内は明るいイメージでまとめられている。

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スマートパーキングシステム|神田錦町ラボ

スマートパーキングシステム

プリウスのアシストが後退時のステアリングのサポートをするのに対して、ライフのスマートパーキングシステムはまず第一に後退を開始する最適な位置まで車両を前進させるサポートに重きが置かれている。その内容は、駐車場所の枠線とドアのマークが合ったところで停車し、操作スイッチを押すというとても簡単なもの。

価格は5万2500円と比較的リーズナブルな設定なので、コーナーセンサー(2万7300円)と合わせて駐車に自信のない人にはオススメしたい装備だ。



今回の検証結果
今回の検証結果|神田錦町ラボ 駐車支援システムとして優れているのはプリウスだが、そのハイテク性ゆえか、モニター上での設定に時間がかかる。初心者に往来をふさいだ状態で設定しろというのはあまりにも酷だ。
その点ライフのシステムはシンプルだが的確。ステアリング修正の必要ないポイントまで移動してくれ、音声の指示に従っていれば非常にスムーズに車庫入れができる。特に設定も必要ないので、使い勝手も含め、車庫入れ時のパーキングアシストはライフの圧勝となった。