確実に進化した動力性能。他のTSIとは一味違う味つけ

(Tester/西川淳 Photo/尾形和美)

コンセプト
廉価モデルを直噴から 新開発TSIエンジンに変更

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 パサートという車。日本ではなかなかその魅力が消費者に伝わり切らないらしい。基本的には欧州Dセグメントに属するが、居住性を含めてそのサイズ感はほとんとEセグメントに迫るし、それでいてプレミアムブランドのDセグメントよりはお買い得。現行モデルではかなり派手さも出てきたが、それでも目立たない部類。というわけで、知る人ぞ知る名セダン&ワゴンといった印象が強い。
 このたび、これまでの最廉価グレード2.0FSIに代わるTSIコンフォートラインが登場した。新世代のミドルクラス用直噴直4を採用。1.8Lインタークーラー付きターボで従来の2LFSIより10ps&50N・mアップした。VWは過給器付き直噴ガソリンエンジン搭載車をすべてTSIと呼んでいる。

室内&荷室空間
内外装の変更はわずか、パワートレインに注目

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 VWの最新モデルでTSIユニット搭載というと例のツインクラッチシステム『DSG』との組み合わせを想像してしまうが、パサートTSIにはコンベンショナルな6ATが採用されている。これには、パサートの主戦場となる北米市場の“2ペダルMT嫌い”と、ミッション供給量の問題、そしてDSGそのものの今後の展開(7速化)、などを考慮した結果であるらしい。
 エンジンとドライブトレインが新グレードの肝で、その他内外装や装備内容に大きな変更は見られない。あえて相違点を挙げるならば、タイヤ空気圧警告灯が備わり、バリアントのルーフレールが黒からシルバーメッキへと変更され、新世代のナビゲーションシステム(オプションで+29.4万円)が設定されたことくらいである。

ドライブフィール
この車の性格には、DSGよりATが似合う

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 まず断言できるのは、新しいTSIユニットが従前の2LFSIエンジンよりも、パワー、フィール、静粛性などすべての面で数段上回っているということ。ターボ付きであることをほとんど感じさせず、それでいて低回転域から扱いやすい実用トルクをピックアップよく提供してくれた。サウンド類も耳に心地よいものだ。
 ただ実用サルーン&ワゴンたるパサートにはトルコンATがDSGよりも似合っていると思う。低速域での扱いの良さや滑らかで“ため”のある加速フィールなどは、DSGでは決して味わえないもの。パサートそのものは、プレミアムブランド系ほどの個性際立った味つけではないが、全体的にゴルフの延長線上にある、ほんわかとした親しみやすい乗り味が身上だ。

こんな人にオススメ

現在もしくは過去にドイツ車に乗っていて、その良さを十分に知り尽くした人が、“もうちょっと目立たない車”に乗りたいと思ったとき、パサートは候補の最右翼になるでしょう。言わば賢者の選択ですね。だから、これからドイツ車に乗ってみたいという方、何でもいいから良質な中型車が欲しいという人、にもオススメします。
主要諸元のグレード バリアントTSIコンフォートライン
駆動方式 FF
トランスミッション 6AT
全長×全幅×全高(mm) 4785×1820×1530
ホイールベース(mm) 2710
車両重量(kg) 1520
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHCターボ
総排気量(cc) 1798
最高出力[kW(ps)rpm] 118kW(160ps)/5000~6200rpm
最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 250N・m(25.5kg-m)/1500~4200rpm
10・15モード燃費(km/L) 10.8
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/70
車両本体価格 345万円