スズキ アルトラパン▲オープンカーで非日常を味わいたいけど実用性も大事。その両方を実現するのが、今回紹介するアルトラパンキャンバストップなんです!

開閉可能な布製のルーフ『キャンバストップ』を備えた初代アルトラパン

一度は所有してみたい、と思ったことがある人も多いであろうオープンカー。

しかし、ほとんどのオープンカーは2人乗り、もしくは2+2程度の後部座席しか備わっておらず、日常的に使用する車としては、不便な点も少なくないのもまた事実でしょう。

それに加え、維持や運転のしやすさから「軽自動車じゃないとダメなの……」となった場合には、実用性+非日常感を得られる選択肢は皆無となります。

かろうじて最近は、ダイハツから大きなサンルーフ付きのタフトが登場し、軽自動車にもそれらを兼ね備えられるようになってきましたが、オープンモデルほどの非日常感には少し遠いところ。

そこで検討していただきたいのが、キャンバストップを備えた軽自動車です!!

これはその名のとおり、“キャンバス=帆布”を“トップ=屋根“に用いた車種のことであり、通常鉄板で覆われているルーフ部分に布製の開閉装置を備えた車のこと。

オープンカーのように屋根全体が開閉するわけではないため、居住空間を圧迫することなくオープンカー並みの開放感が味わえ、日常の使い勝手を損なうことなく、非日常を楽しむこともできる稀有な存在となっています。

「そんな軽自動車あるの?」という声が聞こえそうですが、実はスズキの初代アルトラパンにあったんです!
 

スズキ アルトラパン▲ルーフの布部分が折りたたまり、開閉が可能なラパンのキャンバストップモデル

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スズキ アルトラパン(初代・キャンバストップモデル)×全国

電動式のキャンバストップで気軽に開放感を味わえる

アルトラパンは、スズキのベーシック軽であるアルトをベースとしながらも、遊び心のある内外装を持ち合わせたモデル。

その可愛らしいルックスから女性ユーザーはもちろん、ややクラシカルな輸入車のような雰囲気もあるため、男性ユーザーからも人気の車種で、その初代モデルにキャンバストップ仕様がラインナップされていたのです。
 

スズキ アルトラパン▲キャンバストップは前席の後方まで大きく開きます

初代アルトラパンは、2002年1月に登場。デビュー当初はキャンバストップの設定はされておらず、翌2003年2月に特装車としてリリースされました。

ただ、2001年に東京モーターショーで展示されたコンセプトカー「ラパン」には、すでに備わっており、この時点で登場をにおわせていました。
 

スズキ アルトラパン▲こちらが東京モーターショーに展示されたコンセプトカー。同じようなキャンバストップが装着されています

そんなアルトラパンキャンバストップは、ルーフを幌部分の生地に合わせたダークグレーメタリックとし、レッドの表皮を採用したシートとのコントラストが、美しい組み合わせとなっています。

開閉には、電動式を採用しているので、気軽に開放感を楽しむことが可能となっています。
 

スズキ アルトラパン▲前シートにはホワイトのパイピングが加えられる
スズキ アルトラパン▲パイピングに合うホワイトのダッシュパネルもおしゃれ

当初は、特装車としてリリースされていましたが、その後はカタログモデルとなり、2005年12月の一部改良のタイミングまで販売が続けられました。

なお、初代アルトラパンは、マツダへスピアーノとしてOEM供給がなされていましたが、キャンバストップ仕様は設定されませんでした。
 

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総額50万円程度だが台数少なめ! ルーフの開閉具合は必ずチェック!

初代アルトラパンの歴史の中で、わずか2年半ほどしか販売されなかったキャンバストップ仕様。新車価格も、アルトラパンの中では上位に位置していたため、執筆時点での掲載台数は14台とかなり希少となっています(ちなみに初代アルトラパン全体は1000台超)。

ただ、希少だからといってプレミア価格になっているというわけではなく、ほとんどの個体が総額40万~50万円で狙えるといった状況です。ベースモデルの初代アルトラパンに比べれば、やや高め安定といった印象ですが、希少性を考えれば許容範囲といえます。

購入するうえでチェックしたいのは、やはりキャンバストップの状態でしょう。布地の状態は当然ですが、実際に動作させてみてスムーズに開閉ができるかは、マストでチェックしたい項目です。

加えて、室内への雨漏りがないかも確認できればなお安心です。なので、あえて雨の日にチェックするというのもオススメです。

万が一不具合がある場合、ディーラーなどで交換を実施すると20万円超の出費を覚悟しなければなりません。さらに、生産元であるドイツのメーカーが、サンルーフ事業から撤退してしまっているため、今後の部品供給も厳しくなることが予想されます。

そのため、キャンバストップの状態は是が非でも確認しておきたいところ。もし、交換歴がある個体であれば、若干高くても長い目で見るとお買い得です!
 

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文/小鮒康一、写真/スズキ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。