▲BMWが開発している燃料電池車、i5。クーペ風のクロスオーバーで、X6に似た雰囲気になるようだ ▲BMWが開発している燃料電池車、i5。クーペ風のクロスオーバーで、X6に似た雰囲気になるようだ

トヨタ MIRAIの兄弟車がBMWから登場

世界初の量産燃料電池車(以下、FCV)となるトヨタ MIRAIが正式発表された。1997年にデビューした初代プリウスに続き、またまたトヨタが環境技術で一歩リードしたと言っても過言ではないだろう。ここでは、MIRAIの異母兄弟とも言えるBMWのFCVを取り上げていく。

そもそもFCVは問題が山積みだ。まずは開発コスト。膨大な金額であることは想像に難くない。また、発表後の販売台数もしばらくは少量にとどまるだろうから、メーカーにとっては費用的な負担が大きい。よってコストを2社以上で負担しあってFCVを共同開発しているケースが目につく。例えば、ホンダはGMと、日産&ルノーはダイムラーおよびフォードと開発を進めている。トヨタも例外でなく、BMWと手を組んでいる。そこで、MIRAIの兄弟車が実現する形となった。

BMWは2013年にi3とi8をリリースし、従来のガソリン車とは異なる思想の車作りを提示。単にEVを販売するだけでなく、車の製造方法や素材を見直したプロジェクト、BMW「i」を立ち上げた。FCVはこのiシリーズに含まれ、i5と呼ばれる公算が大きい。

▲BMW iシリーズのエントリーモデルにあたるi3。バッテリーとモーターによるEVで、発電用のエンジンを搭載したレンジエクステンダーモデルも用意される ▲BMW iシリーズのエントリーモデルにあたるi3。バッテリーとモーターによるEVで、発電用のエンジンを搭載したレンジエクステンダーモデルも用意される
▲こちらはiシリーズのスーパースポーツ、i8。1.5Lエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド仕様で、0-100km/h加速は4.4秒! ▲こちらはiシリーズのスーパースポーツ、i8。1.5Lエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド仕様で、0-100km/h加速は4.4秒!

iシリーズの3番目のモデルだけに、i5はエコロジーを前面に打ち出したMIRAIとは少し毛色が異なるキャラクターが与えられそうだ。例えば、エクステリアはBMWがスポーツアクティビティクーペと呼ぶX6を連想させるクロスオーバークーペとなる見通しだ。これは、床下にコンポーネンツを収めることでフロアが高くなるのを、逆手に取った発想かもしれない。大きいタイヤを履いてSUV風にすればフロアの高さは目立たなくなる。プレミアム感を演出するため、キャビンは4人乗りにデザインされ、後席中央には大型コンソールが設置される可能性が高い。

コンポーネンツには、トヨタと共同開発したものが用いられる。具体的には燃料電池スタックと水素タンクはトヨタ製となる。ただしi5はMIRAIと違って前輪駆動方式でなく4WDになるようだ。すなわち前輪だけでなく、後輪にも駆動用モーターが配される。なお、このモーターはBMWが独自に調達する見込みだ。

結果、i5は優れた動力性能を手に入れるだろう。0-100km/h発進加速は、なんと4.5秒。同じテストをMIRAIが10秒、日産 リーフが11秒でこなすことを踏まえると、i5の強靭さがよく分かるだろう。最高時速は220km/hに達する模様だ。

MIRAIの約140psと違って、i5のモーター出力は約280psに達する見込みだから、こうしたパフォーマンスが発揮されて当然だ。航続距離にこだわるエコカーとは一線を画す存在となりそうだ。i5の生産は2021年初頭から始まる予定。

※2015年1月6日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【SPECIFICATIONS】
■予想発表時期:2021年1月
■全長×全幅×全高:4800×1850×1655(mm)
■パワートレイン:電気モーター

text&photo/マガジンX編集部