▲中国への投入からスタートする、C-HRのEVバージョンは、エクステリアの一部が差別化されるだろう。床下にバッテリーが搭載されるため、サイドシルのガーニッシュは下方に拡大されて、目隠しの役割を果たす ▲中国への投入からスタートする、C-HRのEVバージョンは、エクステリアの一部が差別化されるだろう。床下にバッテリーが搭載されるため、サイドシルのガーニッシュは下方に拡大されて、目隠しの役割を果たす

まずは、C-HRベースのEVを投入

EVの分野で、日産にリードを許しているトヨタが、環境対応車の開発を加速させている。東京オリンピック&パラリンピックの開催に合わせて、量販EVを発表。燃料電池車とともに、環境対応車の拡充をアピールする。

2018年3月4日にご紹介したとおり、レクサスはLSの燃料電池車をリリースし、これに合わせてMIRAIもFRセダンへと生まれ変わる。同時にこれまで腰が重いように見えていたEVへの取り組みも大きな一歩を踏み出す。


2020年以降、TNGA-Cプラットフォーム採用のEVが、複数モデル投入される計画だ。ベースに起用されるのは、トヨタがEV化の公表を済ませているC-HRと、その兄弟車にあたるレクサス UX。

どちらもクロスオーバーSUVだが、これは床下にバッテリーが搭載できる空間的な余裕があって、パッケージに大きな影響が出ない点で、プリウスなど、セダン系の乗用車を用いるよりもEVに仕立てやすいからだ。

中国優先のC-HR EV、国内導入は約2年遅れか

C-HR EVとレクサス UX EVは、2020年以降に中国を皮切りに導入する計画だ。

日本への導入は2022年頃になりそうで、中国での発売より2年ほど遅れる。中国投入が優先されるのは、現地で2019年からNEV(新エネルギー車)規制が始まるから。EV、PHV、燃料電池車の販売が、一定量以上義務づけられるため、トヨタは現地での電動系車両の開発&生産体制を強化していくプランを掲げている。

愛Car、2モデルを極秘開発

C-HRとUXに加えて、トヨタが水面下でサプライズとして用意しているモデルが、愛Carだ。2017年東京モーターショー出品のコンセプトカーをベースにした、2人乗りのコミューターが発売されるとのニュースが一部で見受けられたが、愛Carには4人以上が乗れる一般的なハッチバックも用意される。

このハッチバックは、やはりTNGA-Cプラットフォームが用いられ、2020年の東京オリンピック&パラリンピックにおける、モビリティ(移動)の目玉としてお披露目される見込みだ。

▲2BOXのハッチバックも極秘開発されており、東京オリンピック&パラリンピック開催時にお披露目される見通しだ ▲2BOXのハッチバックも極秘開発されており、東京オリンピック&パラリンピック開催時にお披露目される見通しだ
▲2017年の東京モーターショーに参考出品された2人乗りコミューター。トヨタ社内では上のハッチバックと同様に、愛Carと呼ばれている ▲2017年の東京モーターショーに参考出品された2人乗りコミューター。トヨタ社内では上のハッチバックと同様に、愛Carと呼ばれている

航続距離を300kmから延長する秘策

愛Carは、いまのところ航続距離300km程度にとどまる模様だ。しかし、さらに距離が延長できないか模索が続いている。軽量化や効率化といった、一般的な方策の他に、注目すべき取り組みがふたつある。

ひとつは、全個体電池の起用だ。現在のリチウムイオン電池などに使われている、電解液の代わりに固体電解質を用いることで、液漏れのリスクから開放され、安全性が高いこともメリットに挙げられる。加えて、エネルギー密度の高さも魅力的で、これによって航続距離の延長と、充電時間の短縮にも期待できる。

もうひとつの方策は発電用エンジン搭載による、レンジエクステンダー化だ。これは、日産 e-POWER同様、電池の残量が減ったときに、エンジンで発電して航続距離を延ばす考え方。ここで見逃せないのは、レンジエクステンダー用のユニットに、マツダが開発した小型ロータリーエンジンが用いられることだ。

トヨタとマツダは、2017年8月に業務資本提携で合意し、合弁でアメリカに生産拠点を設けることや、EVの共同開発を掲げた。レンジエクステンダー技術の共有はこの一環だろう。

※2018年7月24日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【SPECIFICATIONS】
■予想発表時期(C-HR EV):2022年
■全長×全幅×全高:4360×1795×1550(mm)
■パワートレイン:電気モーター

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部、トヨタ