▲ファッション系のサイトや雑誌でしばしば「大人のヘルシー感が決め手!」とかの文言を目にしますが、正直意味がわかりません! で、わからないので調べてみました。そして勝手に車に当てはめてみました! ▲ファッション系のサイトや雑誌でしばしば「大人のヘルシー感が決め手!」とかの文言を目にしますが、正直意味がわかりません! で、わからないので調べてみました。そして勝手に車に当てはめてみました!

たぶん「からあげにレモンをかける」とかそういう話ではない

普段の移動には車を用いることが多い筆者だが、過日久しぶりに電車に乗っていると、向かいに座っている女性2人組がさかんに「ヘルシー」がどうのこうのと言っている。

自分ぐらいの年齢(49歳)にとって「ヘルシー」とは、自動的に「悪玉コレステロール」「中性脂肪」「ガンマGTP」「からあげにはレモンをかける」などのフレーズや事象が連想される言葉なわけだが、見たところ彼女らはまだ若く(20歳前後だろうか?)、健康そのものに見える。

なのになぜ、そこまで「ヘルシー」「ヘルシー」と連呼するのだろうか?

自分は極力「不審なおっさん」に思われない程度に聞き耳を立てた。するとわかったのは、「ヘルシー」というのはからあげにレモンをかけるとかそういう話ではなく、最近流行りのファッション用語であるということだった。

ファッション用語であることがわかったのはいいが、そもそも「ヘルシーな着こなし」とはどういうモノなのだろうか? 49歳のおっさんにはサッパリわからない。

そこで自分は手元のスマホでいくつかのファッション系サイトを回るとともに、帰りにコンビニで(不審に思われながら)大量に購入した若い女性向けファッション誌を読み込み、「ヘルシー」なるファッション用語の正体を突き止めんと試みた。

▲スマホでいろいろ調べてみた筆者。だがそれでも、わかるようなわからないような…… ▲スマホでいろいろ調べてみた筆者。だがそれでも、わかるようなわからないような……

ヘルシーとは「古典的女性っぽさ」をあえて少々減じた姿と見抜いたり!

サイトおよびファッション誌と格闘すること半日。わたしはついに「ヘルシー」なる用語の真髄をつかんだ。それは要するに以下のような着こなしのことだった。

「いわゆる女性らしいゆるふわ系のファッションではなく、シンプル系でややメンズライクな、健康的に見える着こなし。ただし“単にラフなカジュアル”ではなく、それなりに洗練された雰囲気も備えている」

……専門家ではないので間違っている可能性もなくはないが、これが、昨今女子の間で大人気となっている「ヘルシー」なるファッション的概念の正体である。たぶん。

昨今ジェンダーにまつわる話をするのはなかなか難しいが、それでもあえてすると、女性は基本的に(あくまで一般論として)ゆるふわで可愛らしい何かを好む場合が多い。男子のガンダムに対して女子のキティちゃん、みたいな。例えが古くて申し訳ありませんが。

それはそれで全然悪くないことだが、そこにずっぽりとハマりすぎるのもやや考えものではある。「全身キティちゃん」の8歳女児は許されても、全身キティちゃんの28歳女性はやや微妙……ということだ(もちろんご本人の自由ですが)。

そこで「ヘルシー」なのだ。「女性女性した何か」をあえていくぶん減らすことで、女性としてのカッコ良さ・ステキさみたいなものが逆に際立つのである。バランスが取れるのである。だからこそ今、「ヘルシー」というほんの少々メンズ寄りのテイストが、女子の間で隆盛を極めているのだ。

じゃあ「ヘルシーな車」とはどんな車か?

物事がここまで解明されたからには、男性でありかつ自動車愛好家である自分にもその概念を適用させ、「ヘルシーな車」に乗りたいところだ。なぜならば、そうすれば時流に乗ってモテるかもしれないからである(……わかりませんが)。

女性が(あくまで一般論として)可愛いゆるふわ系に行きがちなのと同様に、男性も、気をつけないと男男しすぎてしまう傾向はある。例えばだが「革ジャン+革パンツにテンガロンハットかぶって、ヘビメタ聴きながらベンツ Gクラスで爆走!」みたいな。

これはさすがに極端すぎるサンプルだろうが、そういった男くさすぎるコーディネイトから「男くささ」をある程度差っ引いてやるのが、ヘルシーへの道であるはずだ。それにより「今っぽく」なるのである。

では、洋服の着こなしはとりあえずフツーな感じにするとして、相棒となる車にはどんなモノを選べば、我々は「ヘルシー」になれるのか?

……筆者が考えたのは、とりあえず以下の4モデルが良いのではないか? ということだ。

まずレクサス CT(現行型)の前期型

▲11年1月に登場し、現在も販売中のレクサス CT。1.8Lエンジンにレクサス・ハイブリッドドライブ技術を組み合わせたプレミアムコンパクトだ。写真は前期型で、14年1月以降はちょっと派手めなフロントマスク(スピンドルグリル)に変更されている ▲11年1月に登場し、現在も販売中のレクサス CT。1.8Lエンジンにレクサス・ハイブリッドドライブ技術を組み合わせたプレミアムコンパクトだ。写真は前期型で、14年1月以降はちょっと派手めなフロントマスク(スピンドルグリル)に変更されている

昨今のレクサス各車は派手なスピンドルグリルと派手なフォルムでイケイケな感じが強い。それはそれで悪くないが、やや「男男しすぎ」な感もなくはない。その点、レクサス CTの前期型は端正系のフロントマスクとフォルム。そしてCTはレクサスとしては全体的にカジュアルな車だが、決してカジュアルすぎない上質さも感じられる。これぞ「ヘルシーな車」の代表格といえるだろう。

そして日産 キューブも悪くない。

▲98年登場の初代はさておき、02年登場の2代目は「なるべく遅く見えるようにデザインした」という、自動車デザインにおける逆説的傑作。写真上は現行型となる08年11月登場の3代目。「角を落とした四角いデザイン」や左右非対称のバックドアは2代目から継承しつつ、全体としてより洗練されたものとなった ▲98年登場の初代はさておき、02年登場の2代目は「なるべく遅く見えるようにデザインした」という、自動車デザインにおける逆説的傑作。写真上は現行型となる08年11月登場の3代目。「角を落とした四角いデザイン」や左右非対称のバックドアは2代目から継承しつつ、全体としてより洗練されたものとなった

車におけるヘルシーを「男くさすぎる世界観からの若干の逸脱」と定義するなら、中性的な雰囲気が強いこの車は最高にヘルシーである。ただし若干カジュアルすぎるきらいもあるので、キューブを選ぶ場合は、着ている洋服の方を若干ドレス寄りにする必要はあるだろう。

マツダの初代ロードスターも最高だ。

▲89年9月から97年12月まで販売され、日米両国でスマッシュヒットとなったオープン2シーター。現在は第4世代(ND)が新車として販売されているが、こちらの初代(NA)も中古車市場ではいまだかなりの人気を誇っている。写真は最初期モデルで、その後も微妙なマイナーチェンジを施しつつ、長らく販売され続けた ▲89年9月から97年12月まで販売され、日米両国でスマッシュヒットとなったオープン2シーター。現在は第4世代(ND)が新車として販売されているが、こちらの初代(NA)も中古車市場ではいまだかなりの人気を誇っている。写真は最初期モデルで、その後も微妙なマイナーチェンジを施しつつ、長らく販売され続けた

若干アメリカンな雰囲気になった2代目、グラマラスになった3代目、そしてイタリア車も真っ青のイケメンになった現行4代目も当然ステキだが、シンプルきわまりない初代のデザインは文字どおりヘルシー。妙な改造はせずキレイめに乗れば、いまだ上質感というか両家の子女感のようなものも醸し出せるはず。中古車相場が若干高騰しているのは玉にキズだが、選んで損のない選択である。

輸入車でも構わないなら、旧型のミニ クラブマンはどうだろうか?

▲旧型ミニのシューティングブレーク(狩猟用ワゴン)バージョン。現行クラブマンはかなり大柄となり、ドアも普通に4枚付いているが、こちら初代クラブマンは比較的小ぶりで、後部ドアは右側の「クラブドア」という小さなドアのみ。後席へのアクセスに関してはやや不便だが、この絶妙なサイズ感はかなりおしゃれだ ▲旧型ミニのシューティングブレーク(狩猟用ワゴン)バージョン。現行クラブマンはかなり大柄となり、ドアも普通に4枚付いているが、こちら初代クラブマンは比較的小ぶりで、後部ドアは右側の「クラブドア」という小さなドアのみ。後席へのアクセスに関してはやや不便だが、この絶妙なサイズ感はかなりおしゃれだ

居住性や積載性で考えれば現行型の方が有利なわけだが、かなり巨大になってしまったそのサイズからは威圧感、すなわち男男しすぎる雰囲気が若干感じられないでもない。やや小ぶりな(しかし普通に使うには十分なサイズな)旧型クラブマンの方が、ここで言うヘルシーには近いだろう。

またそもそもクラブマンは狩猟用のシューティングブレークということで、まぁ実際に狩猟に使う人はいないだろうが、上質感というか貴族感のようなものもほのかに感じられるのが特徴である。

以上4モデルの「ヘルシーCAR」。……お役に立つ内容だったかどうかは我ながら不明だが、時代のムードをそれなりにつかんだ選択だとは自負している。気になる方は、ぜひ個別の物件の方もチェックしていただけたなら幸いだ。

text/伊達軍曹
photo/PIXTA、BMW、トヨタ自動車、日産自動車、マツダ