とにかくカッコいいC-HRは実用性も兼ね備えている【クローズアップ前編】
2017/07/18
この車に乗るなら……という視点で人気車が持つ魅力に注目するカーセンサー(雑誌)の連載。今回はトヨタ C-HRをクローズアップ!
今の時代に求められるカッコよさを備えたC-HR
2015年の東京モーターショーに展示されたC-HRコンセプトは実にカッコよかった。コンセプト段階ではより大胆なスタイリングをしていたが、それを制約の多い市販バージョンによくぞここまで落とし込んだなと感心した。凹凸が多く、一見キテレツなのだが、少し離れて見るとうまくまとめられているのがわかる。これまでのトヨタ車に見られなかったスタイルだが、カッコ優先に見えていて、実用性の高い5ドアハッチで、室内空間もきちんと確保され、おまけにハイブリッドで燃費も良いなど、トヨタ車らしさも備わっている。
この車を見ていると、カッコいい車は実用性が低く、実用性を重視した車は野暮ったいという、かつての大まかな大前提が崩れつつあるのを感じる。車そのものに憧れる時代は過ぎ去り、最もわかりやすい性能の指標だった“速さ”を想起させるスタイリングの車に皆が憧れる時代でもなくなった。代わって求められるようになったのは、カッコよいうえに高い実用性と経済性が備わる車なのではないだろうか。モーレツ社員よりイクメンが求められる時代ということを考えれば、なんとなく理解できる気がする。
ユニークなスタイリングは多用途性を表現!?
横から見ると一見、3ドアハッチバックに見えるが、デザイン処理によってリアドアノブが隠されているだけで、実際には5ドアハッチバックだ。車体はリアに向かって絞り込まれたように見えるが、それもそう見えるだけで、後席は頭上、足元ともに十分なスペースが確保され、ラゲージスペースもクラス平均以上の容量が確保される。
ハイブリッド車とガソリン車から選ぶことができる。ハイブリッドだと4WDを選べないのが玉にきずだが、同じ車台を使うハイブリッド専用車のプリウスには4WDもあるから、ハイブリッドのC-HRにもいずれ4WDが追加されるのではないか。
ひと言では説明のつかない(けれど悪くない)スタイリングが何を意味しているのかを考えてみた。デザイナーは1人でドライブするのにも2人でデートに使うのにも適し、4~5人で出かけるのにも使いやすいというC-HRの懐の深さ、多用途への対応力を表現したかったのではないだろうか。説明しづらいカッコよさは今後のトレンドになるような気がしてならない。
【解説した人】塩見智
1972年、岡山県生まれ。自動車雑誌編集部を経てフリーランスライターへ。年を重ねるにつれ、派手でパワフルな車よりも実用的で経済的な車に関心を抱くように。
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