アルファ ロメオ アルファGTV|伊達セレクション
写真上は96年から06年まで販売されたアルファロメオ アルファGTV。最新の中核モデルであるジュリエッタと比べれば旧態依然とした車ではあるが、「エンジン自体の楽しさ」はGTVのほうが明らかに上と言える。また写真下のBMW Z3も、加速力やコーナリングスピードは最新Z4を大きく下回るが、素直な直4/直6DOHCの味わいを安価な予算で楽しめるという点で、ある意味「最新Z4よりエライ!」と言うこともできるはずだ。
BMW Z3|伊達セレクション
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最新世代のBMW Z4 sDrive 20iは正直期待はずれだった

過日、遅ればせながら現行BMW Z4 sDrive 20iに乗る機会があった。当世流行の2L直噴ターボエンジンを搭載するBMWの新鋭(といっても登場は約2年も前だが)ロードスターである。

以下はもちろん私見にすぎないが、ツインスクロールターボのsDrive 35iはともかく、2L直噴ターボとなるZ4 sDrive 20iはあまり感心しなかった。もっと直截に言ってしまえば「これなら安い中古のZ3とか旧型Z4のほうがいいのではないか?」と、本気で思ってしまったのだ。なんというかこう、オプション込みで600万円ほどとなる車としては“エンジンの説得力”に欠けると感じたのである。

もちろん、ヨーイドンで“かけっこ”をすれば現行sDrive 20iが勝つだろう。いや、「だろう」というか間違いなく勝つ。しかし、我々は公道でかけっこをするために輸入車を買うわけではない。「では何のために買うのか?」と問われた場合の返答は人それぞれだろうが、筆者の場合は以下のとおりである。

駐車場で愛車を見て「……やっぱナイスなデザインだなぁ」とひとりごち、そして乗り込み、そこらのテキトーな交差点を曲がったり、ごく普通の高速道路などを直進するその瞬間に「……いやマジでいい車だな、コレ」と心底思いたいがために、わたしは輸入車を買っている。

そして中古車の場合はそこに「や、今回はホントいい買い物でした!」という感じの“おトク感”が加われば、言うことなしである。

中古車は、ときにバリバリの最新モデルを打ち負かす

そういった観点でいくと、現代最高のロードスターのひとつであるBMW Z4 sDrive 20iが悪い車でなどあるはずがなく、例の2L直噴ターボも決して悪いエンジンとは思わないが、「総額600万円で、このエンジンフィールかぁ……」とは思ってしまうのだ。逆に、中古のZ3や旧型Z4であれば「たったの100万円(←例えば)しか払ってないのに、エンジンもシャシーもデザインもこんなにステキでいいんでしょうか!」となることだろう。

“かけっこ”や“金持ち自慢”をしたいのであれば、輸入車は最新型であればあるほど良い。快適な乗り心地を求める場合も、なるべく新しい車のほうが圧倒的に有利だろう。しかしそうでないならば、そして“コスパ”も含めて物事を考えるのであれば、中古車はときにバリバリの最新モデルを打ち負かすことがある。

そしてそれは、今回例として取り上げたBMWのロードスターだけでなく、「ごくフツーっぽいエンジンとなった新型ジュリエッタに対する、旧世代官能エンジンを積む中古アルファロメオ各種」「大きくなってしまった現行型に対する、小ぶりで軽快な旧型ルノーカングー」などでも体験することができるだろう。

つまり、ある種の中古車とは卑下しながら乗るべきものではなく、誇りをもって乗るべきものなのだ……という話である。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
新車以上の満足感が味わえる「誇り高き旧世代」はどうですか?


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE