「きっと、あなたのココロが走り出す。」“Your heart will race.”そんなテーマをもつ東京モーターショー2015の見どころとして各メーカーのコンセプトカーたちは外せない。コンセプトカーは今すぐには手に入らないけれど、今買える車たちだって、その時代時代の人々が考えた素敵な未来を具現化するために生まれてきたのだ。今回は最新のコンセプトカーがもつテーマに通ずる「今、手に入る車たち」をセレクトした。

▲三菱 eX Concept。アウトランダーPHEVにも採用された「ダイナミックシールド」がデザインコンセプト。押し出しの強いフロントマスクが印象的です ▲三菱 eX Concept。アウトランダーPHEVにも採用された「ダイナミックシールド」がデザインコンセプト。押し出しの強いフロントマスクが印象的です

個性的なパワートレインを持つ次世代EV

安全性の高さをビジュアルでダイナミックに表現した「ダイナミックシールド」をデザインコンセプトとして採用。コンパクトなサイズを感じさせないダイナミックなエクステリアとした「三菱 eX Concept」。コンパクトSUVに「シューティングブレーク(ステーションワゴンと同義)のもつ上質さとクーペスタイルを融合させ、キビキビと街を疾走するスポーツクロスオーバースタイルを提案」した、デザインスタディな意味合いの大きいコンセプトモデルです。車格的には、RVRの将来的な後継車と見なすのが妥当でしょう。

パワートレインは前後別々のツインモーターを車両運動統合制御システム「S-AWC」と組み合わせたピュアEVを採用。なぬ? ツインモーターとはこれまた斬新。重量の大きいモーターを前後に分けて配置すれば、重量バランスが良くなる、これ道理です。実は、内燃機関の市販車においてもツインエンジンを採用した4WDが大昔に存在していたのをご存じでしょうか? それも四駆のイメージがあまりないフランス車です。

ウソのようなホントのツインエンジン搭載車

シトロエン 2CVといえばユーモラスな外観と特異な機構を持つビンテージカーとして有名ですが、1960年代に「サハラ」という4WDモデルをラインナップしていました。通常の2CVはフロントエンジンですが、サハラはリアにも後輪駆動専用のエンジンを持つツインエンジン車。前後エンジンの連動はアクセル開度のみで、厳密にはタイヤの回転数がズレたりしていましたが、悪路を走るときだけリアエンジンを稼働させる設計だったので大目に見られていたのです。2つのモーター出力を細かく電子制御して連動させる「eX Concept」とはだいぶ違いますネ。2CVのサハラは、残念ながらカーセンサーでの検索結果0件でしたが、いつか出てくる可能性もゼロじゃない(?)はずなので一応下部にリンクを貼っておきます!

▲1960年代に僅か700台弱が生産されただけのシトロエン 2CV 4X4 サハラ。外観も通常の2CVとは差別化されていました ▲1960年代にわずか700台弱が生産されただけのシトロエン 2CV 4X4 サハラ。外観も通常の2CVとは差別化されていました
▲単独で稼働させることのできる後輪駆動専用リアエンジンを搭載。こんな機構の車、他にありません! ▲単独で稼働させることのできる後輪駆動専用リアエンジンを搭載。こんな機構の車、他にありません!
text/田端邦彦 photo/ゆさお