THE!対決

PART4 シティコミューターとして優れているのは?

Report/島崎七生人 Photo/奥隅圭之
トヨタ iQ
トヨタ iQ サイドスタイル|THE!対決
↑姿カタチはスマート的だが、普通の車を目指したと思われるiQ。既成のジャンルのどれかを狙ったのではなく、新しい世界観を作り出そうとしている。ライバルはスマートや軽自動車ではなく、フィアット500やミニといった車になるのかもしれない
トヨタ iQ インパネイメージ|THE!対決 トヨタ iQ 三角シートレイアウト|THE!対決 トヨタ iQ 9エアバッグ|THE!対決
スマート フォーツーカブリオレ
スマート フォーツーカブリオレ サイドスタイル|THE!対決
↑新たにアイドルストップを採用したスマート。このシステムは自然に作動する点が特徴で、そのドライバビリティの良さは、先代と代わり映えしないような2世代目スマートが再評価される要因となる可能性も
スマート フォーツーカブリオレ 5ATソフトタッチ|THE!対決 スマート フォーツーカブリオレ トライトップ|THE!対決 スマート フォーツーカブリオレ iPod対応オーディオ|THE!対決

既成のジャンルを狙わずに新しい世界観を作り出そうとしたiQ

iQが画期的である以上に、トヨタがiQを作り、売り出したこと自体が画期的だ。たとえ市場要求、戦略があったとはいえ、である。わかりやすくいえば、ホンダの初代ストリームに全長が1mmも違わないウィッシュをぶつけたように、確信犯的な売るための車を作るのは、トヨタではよくあるケース。しかしiQはといえば、必ずしも(どうやら日本法人もご心配のようだが)スマートとは似て非なる車の趣がある。

念を押すようだが、iQとスマートは狙いどころが大きく違っている。スマートはスマートだが、iQは姿カタチはスマート的だが、実は普通の車を目指しているのだと思う。ただしiQは既成のジャンルのどれかを狙ったのではなくて、新しい世界観を作り出そうとしている。プレミアムコンパクトなどと、世俗的な表現が適切かどうかは疑問だが、要は、ややトガったスマートとでも、経済観念を重視した日本の軽自動車とも違う、小さい車に一種のこだわりをもって乗る…そんな自動車スタイルを意識したのではないか。なので、ライバルはスマートでも軽でもなく、フィアット500、ミニといった車になるのではないだろうか?

だとしたらiQの評価は実はこれから決まるものであり、今はじっくりと実力を検証する段階なのかも。iQの価値観はどこにあるか?といったことや評価は、可能性含みで未知数の部分が大きい。

アイドルストップの採用で再評価される可能性があるスマート

一方でスマートは、車に関心のある人なら「ああ」と、だいたいのイメージは頭に浮かぶ。そんなイメージをさらに効果的に上書きすると思われるのが、今回のアイドルストップ、mhdだ。

試乗で実感できたのは、このシステムが実に自然に作動していた点。スタータージェネレーター、バッテリー、ECUとわずか3点のパーツが標準車との違いだそうだが、ドライバビリティの良さといったら「ウー厶、やるときはやるなぁ!」という印象。先代と代わり映えしないような2世代目だが、このmhdによりスマートがこの後、再評価される可能性もある。

くどいが、iQとスマートは実はかなり違う車で、そのことはきっとユーザーも肌で感じるはずだ。もとよりユーザー層は、ハナから違っているように思う。いささか堅苦しい文脈になってしまったけれど、スマートは瞬間的にコンセプトをアピールしたが、iQは遠赤外線パネルヒーターのように、ジワジワとこれから魅力のほどを伝え広めていくのではなかろうか。日常の使用領域でなら、小さな外観から想像する以上に快適な乗り心地は、この車の魅力的要素の筆頭である。
今回のまとめ
スマートは最新型でも、従来からのファンの期待を裏切らない仕上がり。他方ブランニューのiQも、細かな注文はあるにせよ、意欲作といっていい出来栄えの車だ。ここはスマートの完成された世界観も認めたうえで、iQの資質に期待を込めて注目しておくことにしよう。
今回のテスト車両
トヨタ iQ フロント|THE!対決
トヨタ iQ リア|THE!対決
トヨタ iQ インパネ|THE!対決
トヨタ iQ
テスト車両 100G“レザーパッケージ”
160万円
駆動方式 2WD
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 2985×1680×1500
ホイールベース(mm) 2000
車両重量(kg) 890
最小回転半径(m) 3.9
乗車定員(人) 4
エンジン種類 直3DOHC
総排気量(cc) 996
最高出力
[kW(ps)/rpm]
50(68)/6000
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
90(9.2)/4800
使用燃料 無鉛レギュラー
燃料タンク容量 32L
10・15モード燃費
(km/L)
23.0
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
現在調査中
タイヤサイズ 175/65R15
※実用燃費のデータはe燃費の提供です
スマート フォーツーカブリオ フロント|THE!対決
スマート フォーツーカブリオ リア|THE!対決
スマート フォーツーカブリオ インパネ|THE!対決
スマート フォーツーカブリオ
テスト車両 mhd
213.0万円
駆動方式 2WD
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 2720×1560×1540
ホイールベース(mm) 1865
車両重量(kg) 850
最小回転半径(m) 4.2
乗車定員(人) 2
エンジン種類 直3DOHC
総排気量(cc) 999
最高出力
[kW(ps)/rpm]
52(71)/5800
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
92(9.4)/4500
使用燃料 無鉛プレミアム
燃料タンク容量 33L
10・15モード燃費
(km/L)
23.0
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
現在調査中
タイヤサイズ 155/60R15
175/55R15
※実用燃費のデータはe燃費の提供です