第71回 ホンダ アコード ユーロR 【見つけたら即買い!?】
2009/06/03
■欧州パフォーマンスセダンに負けないスポーティカー
まさにエコカー全盛の昨今ですが、一方でスポーツカーはまさに冬の時代。「売れない」のはともかく、そもそも各メーカーの新車ラインナップから次々姿を消す「買えない」時代になりつつあります。特に国産車はその傾向が顕著で、トヨタはレクサスからIS Fを、スバルはインプレッサWRX STIを、スズキはスイフトスポーツを、ダイハツはコペンをラインナップしている程度。GT-RやフェアレディZをラインナップする日産、ロードスターやRX-8を擁するマツダ、ランエボやコルトラリーアートを抱える三菱は比較的元気ですが、スポーツカーが少数派であることは否めません。
そしてホンダも6月をもってS2000が姿を消し、残るはシビックタイプRのみ。2008年12月にフルモデルチェンジしたアコードにも、スポーツバージョンの「ユーロR」はラインナップされませんでした。日本で人気のないセダン、しかもスポーツ仕様ですから、販売面での劣勢が予想されたのでしょう。
実際に旧型のアコードは、日本ではそれほど人気のある車ではありませんでした。しかし欧州では一定の評価を集め、さらに北米ではホンダの高級ライン「アキュラ」(トヨタにおけるレクサスのようなブランド)から、「TSX」という名前で販売され、人気を博しています。今回は最後の「ユーロR」になるかもしれない、7代目ホンダアコードユーロRを取り上げます。
デビューは2002年10月。7代目アコードのデビュー時から設定されました。インテグラタイプRなどと同じ、2Lの直4 DOHC i-VTECエンジンを搭載しますが、新車時価格は253万円とインテグラより6万円安。最高出力は220psを発揮します。これに中級セダンらしい落ち着きを兼ね備えるため、バランスシャフトを追加して振動を軽減。静粛性も高められています。
足回りのフットワークはかなりクイックな一方で、ストロークは乗り心地に配慮した仕上がり。「ユーロR」の名のどおり、欧州プレミアムセダンのハイパフォーマンス仕様に似たテイストです。つまり、国産セダン不遇の時代ゆえに実際はかなわなかったものの、本来はメルセデス・ベンツのAMGやBMWのM、アウディのSあたりとも競える存在であるわけです。
他グレードにはないユーロRならではの仕様として挙げられるのが、まずトランスミッション。6速マニュアルシフトが組み合わされました。さらにレカロ製のバケットシートやMOMOの本革巻きステアリングホイール、アルミのスポーツペダルなど、定番のスポーツ装備も標準で備えています。
しかし、あくまでユーロRは一般道で楽しい走りを味わうためのスポーティカー。サーキットでの走行をも視野に入れたタイプRシリーズとは一線を画しています。その象徴がホンダのエンブレム。NSXやタイプRに付けられている、赤いHマークは、ユーロRには採用されていません。ちょっと残念ですが、これは速いだけではなく、4ドアセダンとしてファミリィユースでも使える実用性が備えられている象徴ともいえるでしょう。
2005年11月にはマイナーチェンジが行われていますが、グリルやバンパー、メーター回りのほかは目立った仕様変更はありません。オプションでHonda HDDインターナビシステムが設定されているので、ナビが必須という人は後期型を重点的に狙うべきといえます。
原稿執筆時点で、カーセンサーnetに掲載されているアコードユーロRは26台。最高額が229.8万円、最安値が95万円となっています。相場は走行距離の多寡、修復歴の有無に対して、キレイに比例している状態。走行距離5万km以内で、未修復歴といった程度の良い物件を手に入れるには、150万円以上の予算は必要なようです。
ただ、安心できるのがディーラー物件の割合が高いこと。半数の13台がホンダディーラーの取り扱い車両です。記録簿などからこれまでの整備状況を確認し、メンテナンスが行き届いているようであれば、多少走行距離が多い車両でも良いコンディションを保っているものが多いことでしょう。
欧米はもちろん、2002-2003日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、国内でも評価が高かった7代目アコード。しかし、日本市場では地味な存在となっていました。その分、中古車では実にお買い得になっています。
ホンダファンや国産スポーティカーを狙っている人はもちろん、BMWやアウディなど欧州ハイパフォーマンスカーを検討している人は、一度選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。コストパフォーマンスの高さは折り紙付きですよ。気になった人は下記の検索窓に「アコード ユーロR」と入れて検索してみてください。
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