スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!

無人のニューヨークをピカピカの赤いシェルビーが爆走!

アイ・アム・レジェンド|映画の名車
(C) 2007 Warner Bros. Entertainment Inc.
『アイ・アム・レジェンド』(2枚組特別版・発売中)2007年・米 監督:フランシス・ローレンス 出演:ウィル・スミス/アリシー・ブラガ/ダッシュ・ミホク/チャーリー・ターハン/ウィロウ・スミスほか 販売:ワーナー・ホーム・ビデオ ¥3,980(税込)
ついに誕生した米国初の黒人大統領、バラク・オバマ(正確には白人と黒人のハーフだが)。こちらも米国初となる女性大統領を目指していた同じ民主党のヒラリー・クリントンと泥沼の候補指名争いを続けていたときには、早々に候補指名を取り付けた共和党のジョン・マケイン有利の声が圧倒的だった。だが、猛威をふるった金融危機がマケインの経済音痴ぶりを露呈、急速にオバマに風が吹き始め、ふたを開けてみれば圧勝というドラマチックな幕切れとなった。

断言してもいいが、いずれオバマの生涯はハリウッド映画になる。そして、早くも主演に名乗りを上げているのがウィル・スミスだ。もちろん、オバマはまだ就任式も終えてない単なる“当選者”の段階であるからして「映画化する価値のあるエンディングが完成してから」と冗談めかして言っているだけではあるが、その可能性は低くないように思う。

そんなハリウッドイチの黒人ドル箱スターが主演を務めた昨年公開の話題作が『アイ・アム・レジェンド』。原作は、リチャード・マシスンのペンによる、あまりにも有名な同名小説。映画化もこれで3度目となるが、過去2作と違って大胆にエンディングを変えたことが物議を醸している。

あらゆるメディアで大規模な宣伝を行った最近の作品なので、未見でもおぼろげに内容を把握している諸兄が多いだろう。「ハイハイ、ウィル・スミスが地球最後の男になっちゃう映画ね」←こういう内容だと思っている人、素直でよろしい。そこまでの予備知識で映画を観れば、新鮮な驚きをもって90分を楽しめること請け合いだ。

2009年に蔓延したウィルスにより、人類がほぼ死滅してから3年、感染源であるニューヨークで生き残ったロバート・ネヴィル博士は、愛犬サムを唯一の家族として、孤独と戦いながら生活していた。昼間は野生化した動物を狩り、レンタルDVD店で映画を見つくろい、まだ見ぬ生存者に向けて無線で交信を送り続けているが、太陽が沈む前には必ず帰宅。闇にうごめく“やつら”に怯えながら、寝つきの悪い夜をやり過ごしていた…。

芸達者なウィル・スミスが、人っ子一人いないニューヨークで一人芝居を続けている序盤戦は、はかりしれない孤独が伝わってきて胸が詰まる。だが、“やつら”が現れてからは趣がガラリ一変。以降は、背後から忍び寄って家族や友人を驚かす他愛もないイタズラと、なんら変わりのないドタバタ劇が繰り広げられていくのだ。また、ご都合主義はともかく、伏線が伏線として効いていないのにはガックリ。とはいえ、人払いをして静まり返ったニューヨークに、シェルビーの抜けのいいV8エンジンが鳴り響く様を観るだけでもレンタルする価値はアリ。一度でいいから東京で同じことをしてみたいものだ。

映画に登場する車たち

フォード シェルビーGT500(2007年型)

フォード シェルビーGT500(2007年型)|映画の名車
映画はウィル・スミス演じるロバート・ネヴィルが、無人のニューヨークをシェルビーで爆走する印象的なシーンからスタートする。人類が死滅して3年、徐々に朽ち果てていくニューヨークの街中を、動物園から逃げ出して野生化した、さまざまな動物たちが我が物顔で闊歩している。そこへ登場するのが、ピカピカに磨かれた赤いスポーツカー。このコントラストが実に鮮烈だ。ネヴィルが駆るシェルビーGT500は2006年秋に登場した2007年モデル。劇中と同様センターストライプをオプションで入れることが可能。

Text/伊熊恒介