スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!

アジア発の世界的アクションスター、ジェット・リーの胸のすく大活劇!

ブラック・ダイヤモンド|映画の名車
(c) 2003 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved
『ブラック・ダイヤモンド』(特別版DVD・発売中)2003年・米 監督:アンジェイ・バートコウィアク 出演:ジェット・リー/DMX/マーク・ダカスコス/アンソニー・アンダーソン/ガブリエル・ユニオン/トム・アーノルド/ケリー・フーほか 販売:ワーナー・ホーム・ビデオ ¥980(税込)
ジェット・リーの活躍を見ると、同じアジア人として誇らしく思うと同時に、「早く日本人でも彼に肩を並べるアクションスターが出てこないかなぁ」と、ちょっぴり寂しくなる。可能性があるのは、現在アメリカに活動拠点を移した真田広之。『ラスト・サムライ』以降、『ラッシュ・アワー3』、『スピード・レーサー』といったアクション大作に次々と出演。ルックス、語学力、アクションのキレなど申し分ないが、惜しむらくはあと10年早かったら…。現役バリバリでアクションをこなし、主役級の扱いを受けて世界にその名をとどろかすまでのタイムリミットは、48歳の真田にとってあまりにも短い。

1982年の『少林寺』で衝撃のデビュー以降、日本人にもスッカリおなじみになった中国人俳優ジェット・リー(当時は本名のリー・リンチェイ名義)。日本中の子供たちが彼の少林寺拳法に見せられ、熱狂したものだ。1998年に『ラッシュ・アワー4』に出演を果たして以来、ワールドワイドな活躍を見せ始め、2000年にはアメリカ国籍を取得、今では出演する映画すべてが主役級扱いの一流スターである。そんなジェットがヒップホップ界のスーパースター“黒いカリスマ”ことDMXとW主演を果たしたのが、2003年公開の『ブラック・ダイヤモンド』だ。

ロスのホテルに設置された宝石商の金庫破りを実行したトニー(DMX)率いる強盗団。だが、謎の男スー(ジェット・リー)から「ブラック・ダイヤモンドだけは置いていけ」と電話で警告される。トニーたちは警告を無視してほとんどの宝石を持ち去ったが、ブラック・ダイヤモンドを狙っていたのはスーだけではなかった。トニーの愛娘を誘拐し、引き換えにブラック・ダイヤモンドを要求してきた謎のアジア系犯罪組織。だが、その時点ですでにブラック・ダイヤモンドはロスを牛耳る凶悪組織の手に渡っていた。動揺するトニーに対し、台湾人警察官であると身分を明かしたスーは、ある提案を持ちかける…。

利害関係が一致=敵の敵は味方ということで、もともと相容れないはずの2人が共闘するのは映画の黄金パターン。今回は黒人ギャングと台湾人ポリスという、組み合わせが妙味だ。見せ場のためだけにすべてのストーリーが進行するので、突っ込みどころも満載だが、ロケット砲から戦車まで飛び出るハチャメチャさと、アングラファイトクラブで屈強な黒人白人を次々にのしていくジェット・リーの胸のすく格闘シーンが、些細なほころびを帳消しにする。

数あるジェットのアクションの中でも一番仰天したのは、高層ホテルの窓から窓を命綱ナシ(あくまで劇中の設定)で降りていく“逆クレイジー・クライマー”シーン。窓枠にぶらさがりながらパッ、パッ、と手を放し、引力に従って徐々に降下していくのだが、このシーンの恐ろしさたるや…。見ているだけで下半身がキューッと締めつけられるかのような感覚に見舞われる。このシーンを観るためだけでも、レンタル料金を出す価値はアリ!!

全編出ずっぱりで、屈強な黒人白人たちに囲まれながらの演技。それでも威風堂々とスクリーンに収まり、美味しいところをすべてもっていくジェット・リー。彼のような存在感を見せることができる日本人アクションスターの出現を切に願う!!

映画に登場する車たち

フォード サンダーバード

フォード サンダーバード|映画の名車
ジェット・リー扮するスーの愛車は2002年に発売された11代目サンダーバード。初代サンダーバードを現代風にモデファイした独特のルックスで、取り外し可能なハードトップとコンバーチブルが設定された。劇中でも、サングラスをかけたジェットがサンダーバードをオープンにしてロスの街を颯爽と駆け抜ける様がひときわ印象的だ。映画公開当時は需要が供給をオーバーしてプレミアム価格で取引される事態にまで発展したが、その後は年々販売台数も減少。2005年にはとうとう販売が打ち切られてしまった。ちなみにフォードは12代目サンダーバードを発売する意向だが、まだ明確な時期はリリースされていない。
なお、正規輸入は行われていないが、並行輸入で日本に入ってきていることがあるので、下の検索窓に「フォード サンダーバード」と入れて探してみてほしい。
 


Text/伊熊恒介