スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!

シリーズ最新作の公開間近!21世紀型カーバトルムービーの金字塔

ワイルドスピード|映画の名車
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『ワイルドスピード』2001年・米 監督:ロブ・コーエン 出演:ポール・ウォーカー/ヴィン・ディーゼル/ミシェル・ロドリゲス/ジョーダナ・ブリュースター/リック・ユーンほか
映画に登場する名車たちを紹介し続けて早60回。いよいよ当コーナーも最終回である。ラスト、さよなら、グッバイとタイトルにつくような映画を取り上げようかとも考えたが、やはり最後くらいドハデにいきたい!ってなワケでベタすぎて紹介していなかった『ワイルドスピード』を華々しくブッ放そう。

実は今、このタイミングで『ワイルドスピード』を紹介するにはワケがある。4月3日に3年ぶりとなるシリーズ最新作『ワイルドスピードX4(仮)』が全米公開されるからだ。この第4弾、何が目玉かというと、第1弾に出演したオリジナルキャストが再集結している点。第2弾、第3弾と続けるうちに原型をスッカリ失ってしまった『ワイルドスピード』が真の意味で復活するのだ。したがって、日本公開前にパート1を復習しておくのがベストなり!

ロサンジェルス近郊では大型トラックをチューニングカー軍団が襲撃し、積み荷を強奪する事件が多発していた。一方、若者たちの間ではストリートレースが盛んに行われ、大金が乱れ飛んでいた。最速のFDを駆るドミニク(ヴィン・ディーゼル)が彼らの中心的存在。そのドミニクに鮮やかなグリーンのエクリプスで果敢に挑戦してきた新参者のブライアン(ポール・ウォーカー)。ブライアンは「勝負に負けたら車の所有権を譲る」と豪語したものの、あっさり敗北してしまう…。

2001年公開の『ワイルドスピード』は、安価な日本の車をチューンナップしてレースを楽しむ、“スポーツコンパクト”に熱狂する西海岸の若者たちの姿をリアルに描いたパイオニア的な作品である。無名に近いキャスト陣で臨んでいただけに、製作陣もヒットを期待していたわけではなかったが、フタを開けてみればまさかの全米ナンバーワン。空前のスポコンブームが巻き起こった。

カーバトルモノは一部のマニア向けだった日本でもスマッシュヒットを記録。なにせ続々と登場するドハデにドレスアップされた車の9割方が日本ブランドなのだ。エクリプス、FD、スープラ、GT-R、シビック…我々にとってなじみの深いスポーツカーたちを白人や黒人やプエルトリカンや中国人たちが嬉々としてドライブする姿は、なんともいえない高揚感をもたらしてくれた。

そして、本作の最大のキモといえるのがレースシーンの見せ方。エンジン内にガスを噴射することで爆発的な加速を得ることのできるナイトラス・オキサイド・システム(NOS)に焦点を当て、使用時の加速感をCGで表現、圧倒的な臨場感を演出することに成功したのだ。

『ワイルドスピード』のメガヒット以降、世界中で本作を模したカーバトルムービーが大量生産されることになったのはご存じのとおり。だが、本作を超える作品はいまだに登場していない。それは続編である『ワイルドスピードX2』『ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT』をもってしても、だ。果たしてオリジナルキャストで原点回帰を図る『ワイルドスピードX4』は、カーバトルムービーのパイオニアにして金字塔を超えることができるのか?日本公開を心待ちにしながら、最終回のペンを置こう。

映画に登場する車たち

三菱 エクリプス(2代目)

ブライアンの愛車は、チューニングのしやすさからスポーツコンパクトブームにおいて不動の地位を築いた2代目エクリプス。『ワイルドスピード』のヒットにより世界中で中古価格が高騰した。序盤でブライアンは「負けたら車の所有権を渡す。その代わり勝ったら賭け金とリスペクトをくれ」という条件でドミニクのFDに挑戦状を叩きつける。結果的に勝負には負けてしまうが、警察の乱入でうやむやに…。その後は、さらなる敵の登場でエクリプスは悲惨な運命をたどることになる。


マツダ RX-7(FD3S)

ストリートレースの顔役的存在であるドミニクの愛車は1993年式の真っ赤なFD。1991年12月にFCからフルモデルチェンジした3代目RX-7だ。ブライアンとの対決ではあっさり先行したものの、NOSのW噴射でエクリプスに一馬身ほどかわされる。だが、NOSを温存していたドミニクはゴール前であっさり追い抜き返し、余裕の勝利を収めた。


トヨタ スープラ

エクリプスを失ったブライアンのセカンドカーは鮮やかなオレンジの1994年式スープラ。廃車寸前だったが、世界最強と呼ばれていた2JZ-GTEエンジンをシッカリ積んでいた。見るからにボロボロだったが、ドミニクの実弟で天才的なメカニックであるジェシーが日本からパーツを取り寄せ、見事に甦った。エアロパーツはBOMEX製だがボンネットのみTRD。クライマックスにドミニクのダッジチャージャーと繰り広げる凄絶なドッグファイトは必見!

Text/伊熊恒介